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『岩手日報』2004年10月9日付 新生・県立大 見えぬ「顔」 滝沢村の県立大は、独立行政法人となる来年4月まで半年を切ったが、退任 予定の西澤潤一学長(78)の後任学長と新設される理事長が決まらず、大学 関係者などから「大きな組織改革に向け大学の顔が見えない」との声が出てい る。 西澤学長は任期を1年残し、来年4月開校する「首都大学東京」の学長に転 身することが決まっている。同大は新たなシンボルが決まらないまま、独立行 政法人化への準備を進めている。 設置者の増田知事が中心となり後任の人選を進めているが、8日の定例会見 で学長人事を問われ、「今、進めている。いろいろクリアしたい。もう少し時 間をもらいたい」と述べ、西澤学長の後任はまだ決定していないことを認めた。 来年4月1日から独立行政法人となる県立大は、県議会9月定例会に「公立 大学法人県立大」の定款を提案し、可決された。定款で学長は、知事が任命す る理事長が学長選考会議の選考に基づき認定する−とされ、経過措置として最 初の学長は「選考会議の選考に基づかず理事長が行う」としている。 しかし、実質的には独立行政法人化後の初の理事長だけでなく最初の学長も 増田知事の意向で決まるとみられている。県立大の関係者は当初、定款を提案 する9月議会前までには具体的人名が出され、人名とともに定款を提案できる とみていた。 西澤学長は、県立大創立以来、大学の体制づくりの中核にあり、シンボル的 存在だ。人選の遅れで法人化について教員など大学スタッフへの説明も具体性 を欠いているのが実情。ある教員は「学長は大学の顔。誰が就任するか分から なければ、法人化後のイメージもわかない」と戸惑いの表情だ。 大学入試センター試験の願書の受け付けが始まるなど入試シーズンが迫って おり学生募集の面からも、次期学長の早期決定が求められている。 同大の関係者は「踏み込んだ中期目標(6年間)や具体的な計画を立てるこ とが困難。西澤学長の建学の精神を継承できる適任者が早く決まってほしい」 と望んでいる。 |