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『朝日新聞』2004年10月4日付 科研費補助、申請しないと経費1割カット 熊大が導入へ 文部科学省の科学研究費補助金(科研費)に応募しないと、大学から配る研 究経費を1割カットする――。そんなペナルティーを、熊本大学(崎元達郎学 長)が来年度に導入することを決めた。「やりすぎだ」との声も出たが、「国 立大学法人化で大学間の競争が激しくなるなか、地方大学が生き残るには、外 部から研究資金を得て、評価を高める努力が欠かせない」と決定した。 科研費は文科省が研究者からテーマを公募し、審査のうえ支給する。大学の 基礎研究に欠かせない資金で、04年度の予算は1830億円だった。 同大は今後6年間をにらみ、科研費や寄付金なども含めた外部からの資金を 03年度と比べ25%アップするとの中期計画を掲げた。 しかし、同大の科研費の採択件数(新規と継続合計)の順位は01年度の1 9位が、02・03年度は21位、04年度は22位に。同大によると、申請 率も70%(04年度)どまり。そこで考えたのが未申請者の研究費カットだっ た。 会議では反対論も出たという。「大切なのは科研費をとることではなく、教 育研究をきちんとすることだ」。だが、「外部資金を少しでも得ようとする姿 勢こそ欠かせない」と決めた。 ペナルティーだけでなく奨励策も考えた。 37歳以下の若手教員が申請して不採択だった場合、審査の評点が高かった 10テーマを限度に大学から研究費約50万円を支給する。38歳以上で3年 以上続けて未申請だった教員が申請し、不採択だった場合も、50テーマを上 限に各10万円を出す。今年度、申請していなかった45歳までの教員には、 採択の多い教員が「親身に助言」することも決めた。 「つい出し忘れたり、どうせダメだとあきらめたりと、さまざまなケースが あるようだ」と小野友道理事。「大学全体の戦略に一人ひとりが参加している ことを自覚して申請してほしい」と話している。 |