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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』島根版 2004年9月29日付

県立3大学を統合・法人化
改革で魅力向上狙う


 県は、県立3大学を統合・法人化する改革方針を、28日の県議会総務委員
会で明らかにした。少子化や国公立大法人化の流れを踏まえ、改革で、より特
色を打ち出して大学間の競争を乗り切る狙い。将来の財政負担軽減も目指す。
07年4月の実施を目指し、外部有識者を含む検討委員会などを設けて準備を
進めるという。

 対象は県立大学(浜田市野原町)、県立島根女子短期大学(松江市浜乃木7
丁目)、県立看護短期大学(出雲市西林木町)の3大学。

 改革案によると、公立大学法人「島根県立大学(仮称)」を新設。県立大を
「総合政策学部」の浜田キャンパスとする。女子短大と看護短大は「短期大学
部」に統合したうえ、それぞれ、松江キャンパス、出雲キャンパスとする。
「松江キャンパス」は男女共学に変更し、現在の家政、保育、文学の3科を統
合・再編して新たな学科を検討する。「出雲キャンパス」は看護学科を置く。

 統合によって、3大学が研究情報を共有し、一般教養教育を共通実施できる
ほか、事務部門をまとめることで管理職の合理化が可能になるなどの利点を挙
げる。法人化では、予算や人事面で大学の自主運営度が高まり、理事長(学長
を兼務)を置いて意思決定を迅速化する効果があるという。

 県立大は、02年から独自に「大学将来構想検討懇談会」を設けて法人化を
議論。同大学評議会は今月、同懇談会の「早期に法人化の方向を定めるべきだ」
とする中間報告を了承している。

 県は、少子化による18歳人口の減少で起こる大学間競争の激化に対し、統
合・法人化による大学の魅力や特色づくりで乗り切りたい考えだ。また、4年
制大学を持つ全国58自治体のうち20自治体が法人化を検討・決定している
こともあり、改革を急ぐとしている。

 統合・法人化後の学生定員や職員数、組織などの詳細は、10月から3大学
と協議を始める。05年4月には検討委員会を設け、同年9月にも改革基本計
画を策定する予定という。

 3大学の運営費は、約7割が県財政の負担。県総務課は、統合・法人化で大
学の自助努力による財政運営の効率化も期待する。しかし、「今回の改革は大
学を強くすることで、合理化が主眼ではない」と説明している。