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新首都圏ネットワーク


(he-forum 既出は略)
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Academia e-Network Letter No 185 (2004.09.25 Sat)
http://letter.ac-net.org/04/09/25-185.php

━┫AcNet Letter 185 目次┣━━━━━━━━━ 2004.09.25 ━━━━

【1】東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会声明
多数の問題点をそのままにした設置認可は遺憾
―管理本部・学長予定者らは設置審の問題点指摘に誠実に応えよ―
手から手へ2299号 http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0924.htm

【2】「プロ野球ストライキの法的問題」
全国国公私立大学の事件情報ブログ 2004.9.23
http://university.main.jp/blog/archives/001892.html

【3】茨城大学教職員組合 委員長日誌 第6号04/09/23
久し振りのストライキによる勝利の報!
日本プロ野球選手会のストライキの法律問題・その2
<会社合併と労働関係の承継>
http://park16.wakwak.com/~ibakyo/iincho/nissi/006.pdf

━ AcNet Letter 185 【1】━━━━━━━━━━ 2004.09.25 ━━━━━━

東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会声明

多数の問題点をそのままにした設置認可は遺憾
―管理本部・学長予定者らは設置審の問題点指摘に誠実に応えよ―

手から手へ2299号 
http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0924.htm
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#(編註:公表された設置審答申「留意事項」以外に口頭で伝えら
れたといわれている「その他の意見」の概要3点が紹介されている:
「都市教養学部」の名称変更、設置者から教職員への正確な情報提
供、学問分野間の均衡のとれた教育研究体制の必要性。)

━ AcNet Letter 185 【2】━━━━━━━━━━ 2004.09.25 ━━━━━━

「プロ野球ストライキの法的問題」
全国国公私立大学の事件情報 No 1892 2004.9.23
http://university.main.jp/blog/archives/001892.html
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「茨城大学教職員組合執行委員長深谷信夫氏の日誌第5号「プ
ロ野球選手会のストライキ問題を考える・1」が「首都圏ネッ
ト」HPで紹介された。私のHPでもリンクしておきたい。

http://park16.wakwak.com/~ibakyo/iincho/nissi/005.pdf

日本プロ野球選手会会長であるヤクルトの捕手・古田敦也は,
私が29歳の時,大学で初めて授業というものを1年間担当した際
に(外国書講読というマイナーな少人数科目),たまたま受講
生として教えた6名ほどの学生(うち同じ野球部員は4 名ほどい
た)のうちの1人である。当時,U部経営学部3回生と大学院生
(研究生2年目)という関係であった。彼にとって私は数多い教
員の一人であったに違いないが(あるいは教員とみなされてい
なかったかもしれないが),私にとっては,数少ないいわば人
生最初の学生であった。そして人生最初の授業科目ということ
もあって,いまだに当時の出席簿を「記念」として残している
(ただし,それをみると試合等の公欠があり出席率はそれほど
よくない)。授業では,自分もできない英語の読み方(発音)
はともかく,題材としてはアメリカ労働問題の原書を取り上げ
た。

ところで,今回,プロ野球労組が史上初めてストを決行し,こ
れをめぐってさまざまなニュースが飛び交っている。ゴシップ
記事にはほとんど興味はないが,ストの法的正当性をめぐる議
論には関心がある。これについては経営側のみならず,学者も
コメントを出しているのを知った。例えば,阪大労働法の小嶌
典明氏の下記のような記事である。これによれば,今回のスト
ライキは「経営権の問題」に抵触し正当性はないと解釈してい
るようだ。しかし,狭い意味での労働条件以外の問題を「経営
権」の問題とされることには大きな疑問を感じる。合併問題は
労働者の生存権と関わりがないとは言えない。これまで同氏の
著作物は,特に時事問題に関して言えば政府行政サイド寄りの
論調のものが多い(と感じている)。

古田がプロ野球の有名選手になろうとはかつて想像もしていな
かったが(ただし当時の関西大学野球界ではスラッガーであっ
たと思われる),プロ野球労組の責任者になろうとはもっと想
像だにしなかった。今回のストを契機に野球のみならず労働問
題や労働法についても勉強したに違いない。その成果の上にたっ
て,もし損害賠償等の法的手段に訴えられても,断固としてた
たかってほしい。(ホームページ管理人)」

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(記事1)経営者側が選手会に損害賠償請求へ(スポーツ報知9/18)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040918-00000011-sph-spo
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(記事2)プロ野球スト 「正当性のないスト」は違法行為 
小嶌典明教授(スポーツ報知9/20)
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◇小嶌典明・教授 大阪大・労働法

◆移籍事項持ち出した選手会に疑問

選手会はスト決行を決めた際の交渉で、近鉄・オリックスの合
併凍結、来季からの新規参入促進のほかに近鉄選手の移籍の自
由を主張した。合併と新規参入は「経営権の問題」とみなされ、
労働者がストを打つことの違法性議論につながるから、選手の
雇用問題にかかわる移籍問題を争点に加えることでストの違法
性を弱めようとしている―との見方もあるようだが、それはう
がった考え方だ。

ストの本来の狙いが、合併と新規参入の問題解決にあることは
今さら言うまでもない。だとすると、移籍という労働条件に関
する事項が、果たして本質的な争点になるか、甚だ疑問だ。合
併問題がほぼ決着の流れになっている今、新規参入問題につい
て、どう折り合いをつけるかが最大の焦点。移籍の事項を持ち
出した選手会は「本気なのかなあ」と感じる。

(新規参入問題を主な決行理由とした)ストが違法か合法かは
断定できないが、「正当性がない」という意味では違法だとも
言える。選手会が労働組合かどうかという議論もある。ストが
正当か不当かは、経営者側が損害賠償請求の訴訟を起こした場
合に法廷で争われるが、ファン離れなどの懸念があるため、
(提訴は)あるとしても、ずいぶん先になるだろう。

━ AcNet Letter 185 【3】━━━━━━━━━━ 2004.09.25 ━━━━━━

茨城大学教職員組合 委員長日誌 第6号04/09/23

久し振りのストライキによる勝利の報!
日本プロ野球選手会のストライキの法律問題・2
法律問題・その2 <会社合併と労働関係の承継>

http://park16.wakwak.com/~ibakyo/iincho/nissi/006.pdf
http://www.shutoken-net.jp/040924_1ibadai.html
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さて、プロ野球選手会がまぎれもなく労働組合であり、選手
会は、憲法と労働組合法が保障する労働基本権を行使できる。
それでは、今回の近鉄とオリックスの合併問題について、プ
ロ野球選手会は、発言し、行動する権利があるのだろうか。
経営問題に労働組合は口を出すな、という解説もある。はた
してそうだろうか。この問題を考えるためには、<会社合併
と労働関係の承継>という法律問題を確認しておく必要があ
る。

つまり、会社が合併するとき、労働者の雇用や労働条件はど
うなるのか、逆に言えば、使用者は、合併に際して、労働者
の雇用と労働条件にどこまで手をつけることができるのか、
という問題である。

結論からいえば、会社が合併をする場合は、労働者の地位そ
の他の労働条件はすべて、合併先に引き継がれる。これは、
学説・判例の一致した考え方である。ここまでだとほっとす
る。

しかし、これはあくまで「合併時点」においてということで
あり、「合併前」や「合併後」の雇用と労働条件問題とは別
である。こういう問題の建て方が、法律論の難解さなのかも
しれない。つまり、来年4月に合併をするからと、この10
月に、人員整理をするとか、合併したとき、労働条件がバラ
バラでは困るからと、不利益変更もふくめた労働条件の変更
を行うとか、合併会社に移った翌日に、人員整理が行われる
とか、新人事制度が導入されるとか、いろいろな場面が想定
しうる。つまり、合併は労働関係を引き継ぐんだから、こう
した解雇や労働条件の変更は違法だ、とはいえない、という
ことになる。今回のプロ野球球団の合併でも新球団には25
名の一軍選手しか残れない、という枠がはめられている。そ
れぞれが、個別に、整理解雇の正当性や、労働条件の不利益
変更の有効性の問題として検討される。

さて、ここで確認しておくべきことは、次のことである。合
併をするかしないかは、経営者の決定権限のなかにある。し
かし、その合併で雇用と労働条件に変動が生じるならば、労
働組合は、合併問題について、労働組合としての要求を掲げ、
団体交渉を要求し、団体交渉が決裂したならばストライキを
行うことができる。これは、憲法と労働組合法によって保障
された労働者と労働組合の権利である。だから、いわゆる経
営問題と雇用・労働条件問題とを、峻別することはできない。
形式論ではない、実態論なのだ。経営問題だから、労働組合
は口を出すなとはいえない。ということである。以上は、労
働法の常識的考え方である。

だから、プロ野球機構とプロ野球選手会とが団体交渉の場で、
新球団参入の審査方法についてまでの経営問題について、労
使合意に至ることができるのである。(つづく)

[プロ野球労使の合意の報を聞きながら04/09/23]

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