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新首都圏ネットワーク


『徳島新聞』2004年9月23日付

徳大が「利益相反委」 教職員の兼業など監視、是正勧告も


 徳島大学は、教職員の兼業や研究成果の事業化などで生じる利益や責務によっ
て大学での教育・研究活動の公正さが疑われる事態(利益相反)を防ぐ「利益
相反委員会」(委員長・渋谷雅之研究担当理事)を発足させた。防止に向けた
対応を学内で統一、就業規則に反していなくても、委員会が倫理面で問題があ
ると判断すれば是正のための勧告を出す。学外からの収入の報告や委員会の勧
告順守を就業規則の中で義務化することも今後検討していく。

 委員会は渋谷委員長を含む理事五人、各学部長五人、地域共同研究センター
長の十一人で構成。教職員から聞き取り調査をするアドバイザーも置いた。今
月中に各学部、センターから一人ずつ、相談窓口となる教職員を選出する予定。

 統一した対応は<1>教職員は学外からの収入や、未公開株式の保有などを
同大知的財産本部に届け出る<2>利益相反の恐れがある場合は、アドバイザー
が聞き取り調査を実施する<3>聞き取りの結果を踏まえて委員会が協議、問
題があると判断すれば現状を是正するよう勧告を出す−など。

 新薬の臨床試験にかかわる利益相反については従来通り、同大病院臨床研究
倫理審査委員会が対応し疑わしいケースがあれば委員会に報告する。

 当面は勧告に背いた場合の罰則規定はなく、収入の届け出の有無も各人の自
由だが、今後就業規則の中で義務化することを検討していく。

 大学の産学連携が活発化するのに伴い、文部科学省は今年四月の国立大学法
人化を機に、利益相反に対応したルール作りを指示した。東京大学など一部を
除き、まだルールを策定していない大学が多く、六月には大学発医薬ベン
チャー・アンジェスMG(大阪府豊中市)の臨床試験を担当する大阪大病院の
教授が同社の未公開株を取得していた問題が発覚した。

 渋谷委員長は「産学連携に安心して取り組んでもらうためのルール。産学連
携にブレーキをかけることにならないよう、慎重に運用していきたい」と話し
ている。