トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』2004年9月21日付

<首都大学東京>設置認可を文科相に答申


 大学設置・学校法人審議会は21日、東京都が都立4大学を統廃合して来春
の開学を目指している「首都大学東京」の設置を認可するよう河村建夫文部科
学相に答申した。答申に当たって、設置審は「(統合前の)教育研究資源を有
効活用し、統合の趣旨・目的が生かされるよう設置者(都)と大学間の連携を
十分図る」など5項目の「留意事項」を付けた。認可は9月末となる見通し。

 首都大学東京を巡っては、4月末の認可申請後、「トップダウンの計画立案」
などと都の姿勢に反発する教員21人が新大学への就任を拒んだため設置審は
7月末の認可答申を見送っていた。留意事項は設置審が運営面で一層の努力を
求める場合に付けられる。

 一方、設置審は来春に開学を予定する中部大学大学院の応用生物学研究科な
ど公私立8大学の大学院の研究科や専攻も認可するよう答申した。【千代崎聖
史】

     ◇

 一時は来春の開学が危ぶまれた「首都大学東京」はようやく学生募集を始め
る見通しが立った。新大学が受験生や社会の認知を得るには、分かりやすく具
体的な大学像を早く示す必要がある。

 都立大、科学技術大、保健科学大、都立短大を母体とする新大学は主眼を
「大都市で活躍するための課題解決力」育成などに置き、基礎研究よりも「役
に立つ実学」を重視する。法学部、文学部といった旧来の枠組みではなく、都
市教養、都市環境、システムデザイン、健康福祉の4学部(定員予定1510
人)で構成。青年海外協力隊などの社会経験や他大学の授業で単位認定する
「単位バンクシステム」も掲げる。石原慎太郎都知事は21日の都議会で「東
京のシンクタンクとして機能させる」と述べた。

 ただ、都市教養学部の目的が「大都市における新しい教養の創成」ではいか
にも分かりにくく、設置審は5項目にのぼる「留意事項」の中で、理念の明確
化を求めた。都が8月26、27日開いた説明会の参加者は各千数百人。都立
大だけの前年度実績から半減した。大手進学塾関係者は「模擬試験の結果を見
る限り、入試の難易度も今春よりかなり下がると予想される。受験生には理念
や教育内容が分かりづらいようだ」と話す。

 都大学管理本部は「教員側とも密接に連携して準備を進めている。都市教養
学部は幅広く理解されるよう努めていきたい」と話す。【奥村隆】