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『西日本新聞』2004年9月14日付 共同研究 最高の918件 産学連携が活発化 九州の国立大学法人、国立高等専門学校(高専)と企業の共同研究が、二〇〇 三年度は前年度比13・3%増の九百十八件と過去最高になったことが十三日、 九州経済産業局の調査で分かった。全国の11・6%にあたる。同局は「産学 官の連携が活発になり、順調に伸びている」として、本年度は目標の千件に達 するとみている。 同局が文部科学省や各校に聞き取りしてまとめた。今年四月の国立大学法人 化など改革の動きに伴い、教育機関は収益性や独自性がより求められるように なった。一方、企業側は新規事業の創出に大学の研究内容を生かそうと、共同 研究が増えているとみられる。 各校とも産学官連携組織などをつくり、企業に積極的に働きかけている。久 留米高専は数年前から五万円程度の少額の研究にも力を入れている。同校は 「地域には中小企業が多く、高額の共同研究を実施するのは難しい。身近なテー マで小さな問題を一つずつ解決していく方法が、企業にも、学生たちにも役に 立つ」という。 ただ、九州大などでは、企業と研究グループが一対一で取り組む共同研究で はなく、大学内の複数のグループが一社と研究する「包括提携」が増えている。 共同研究では特定の問題を解決するための研究が主流だが、包括提携では「将 来のビジョンや可能性につながる研究が多く、人材育成など広がりを持つメリッ トがある」(九州大)という。同大では昨年度から現在まで十件の包括提携契 約を結んだ。 九州経産局産学官連携推進室は「包括提携など共同研究以外の研究手法が多 様化し、共同研究は増えるだろうが、伸びは鈍化するだろう。今後は研究数が 伸びることよりも、成功事例が増えることがより重要になってくる」と指摘し ている。 |