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新首都圏ネットワーク


『デーリー東北』2004年9月12日付

青森県、保健大など独立行政法人化を検討


 青森県は、県農林総合研究センターなど四試験研究機関と県立保健大学につ
いて、二○○八年度をめどに地方独立行政法人への移行を検討する。同法人に
移行すれば、独立会計や実績評価などの導入で成果主義や自己責任の側面が強
くなる。研究機関は稲の品種改良など従来の業務に加え、利益につながる研究
の導入など運営に工夫が求められることになる。

 地方独立行政法人化の検討は、県行政改革大綱(改定一次素案)に盛り込ま
れた。対象に見込まれているのは▽県工業総合研究センター▽県農林総合研究
センター▽県水産総合研究センター▽県ふるさと食品研究センター―の四試験
研究機関。

 県立保健大学は、地方独立行政法人の一つに含まれる公立大学法人化を検討
する。同法人は、弘大など国立大学が移行した国立大学法人に準じた扱いにな
る。

 地方独立行政法人法は今年四月の施行。地方公共団体が直接実施する必要が
ないものの、民間では維持できない試験研究や社会福祉事業などの事業を効率
的に進めるために導入された。現段階では市町村を含め、県内での導入例はな
い。

 同法人は、独立会計が採用され、県が支出する「運営交付金」で運営される。
法人側はこれまでのように細かい用途に縛られず、自己裁量で運営費を弾力的
に使用できる。理事長や監事は知事が任命するが、法人内の人事権が理事長に
属するなど自己責任が強まる。

 運営は第三者の評価委員会が年度ごとに実績を評価する。適切な運営が行わ
れていないとの結論に達すれば、法人の廃止もあり得る。

 今後は職員を公務員とするか、非公務員とするかなどの検討課題が生じる。
ただし、大学教員は法律上、非公務員に規定される。五施設の職員は計六百八
十一人(四月一日現在)おり、大規模な改革となる。

 このうち、三百四十二人と最も多い職員を抱える農林総合研究センターは水
稲から野菜、花き、畜産まで研究範囲が幅広い。利益に結びつくことが想定さ
れるのは優良種雄牛の精液提供などに限定されるため、同センター総務室は
「法人化の移行前に組織体制の見直しが必要になる」との認識を示している。