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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 177 (2004.09.13 Mon)
http://letter.ac-net.org/04/09/13-177.php

━┫AcNet Letter 177 目次┣━━━━━━━━━ 2004.09.13 ━━━━

【1】Birnbaum氏論説の紹介 佐藤清隆氏(広島大学)
「ガバナンスとマネジメント
ーアメリカの経験と日本の高等教育への示唆ー」
高等教育研究叢書第80号 原文:p1-25,訳:p26-45
(2004年7月発行、広島大学高等教育開発センター)
http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/tmp_djvu.php?id=56915

【2】全国国公私立大学の事件情報ブログ No 1796,2004.9.11
http://university.main.jp/blog/archives/001796.html
藤山嘉夫商学部教授
「新しい行政経営(NPM)と公立大学−流動の横浜市立大学から−」
『社会文化学会』第7号(年報)2004年9月10日発行,晃洋書房,1500円

【3】ブログ 壊れる前に... 2004.9.12 平和をフィードしたい
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2004/09/post_10.html
http://topaz.ecis.nagoya-u.ac.jp/~yohno/wpnj.rdf

【4】ミクロネシアのヤップ島で起こっていること
低気温のエクスタシーブログより 2004.9.12
http://ch.kitaguni.tv/u/1023/%bb%fe%bb%f6%a1%f5%bc%d2%b2%f1%cc%e4%c2%ea/0000122310.html

━ AcNet Letter 177 【1】━━━━━━━━━━ 2004.09.13 ━━━━━━
投稿

Birnbaum氏論説の紹介 佐藤清隆氏(広島大学)
「ガバナンスとマネジメント
ーアメリカの経験と日本の高等教育への示唆ー」

高等教育研究叢書第80号 原文:p1-25,訳:p26-45
(2004年7月発行、広島大学高等教育開発センター)
http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/tmp_djvu.php?id=56915
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各位、    2004-9-11

                  広島大学  佐藤清隆


現在、私たちは国立大学法人化による荒波のただ中にあります
が、きわめて示唆に富む論考が、アメリカ・メリーランド大学
のR.Birnbaum氏より、高等教育研究叢書第80号(2004年
7月、発行 広島大学高等教育開発センター)に寄稿されまし
た。この叢書は昨秋に開催されたセンターの研究員集会の記録
で、Birnbaum氏の論文は英語のオリジナルと完全和訳(全45頁)
で紹介されており、和訳のタイトルは「ガバナンスとマネジメ
ント-アメリカの経験と日本の高等教育への示唆-」です。本稿
は、高等教育の理念から見た管理運営のあり方について、日米
を比較して考察するだけでなく、日本の国立大学法人化に対し
ても鋭い指摘が散りばめられています.本稿、ならびにこの叢
書に掲載されたいくつかの論文が、現下の法人化の進行と今後
の行く末を分析する上で大変参考になると思いまして、このネッ
トでご紹介させていただきます(センターの連絡先は広島大学
のホームページでお調べください). 

私見ながらBirnbaum氏の論文について、日本の法人化の行く末
を含めた大学論をこれほどに深く率直に考察することが、アメ
リカの大学研究者によってなされたことに感動しました.論文
の詳細はお読みいただくとして、以下に幾つかのメッセージを
ご紹介します.(ただし、これらは前後の文脈で読むべきもの
ですので、ご注意ください)

*最高の国際標準に見合う大学に発展させるための要件は、資
源、時間、時間、そして、「合理的」と「文化的」な側面を
持つシステムである.

*アメリカの学長は、迅速な決定ができるからではなく、キャ
ンパス文化はもとより物事が実現する政治的、構造的プロセ
スに精通しているからこそ、リーダーシップを発揮している.

*大学の有効性は、効率やスピードではなく、信頼性や信用、
そしてより迅速な決定を可能にするプロセスに基づいている.
管理プロセスにおける教授の関与は、意思決定を遅らせるか
もしれないが、議論を通してより確実なものとなり、各機関
に秩序と安定性をもたらす.

*(大学の質の評価について)アメリカの経験から得られた教
訓は、質が外的統制や画一性ではなく、内的な発達と個性に
よって高められるということである.

*(資源の分配と評価に関して)量的な指標の使用がなし得な
いことが2つある.1つは、卓越性の本質、----、そしても
う一つは、測定がより難しい側面では、大学の発展は進まな
いということである.---量的な指標は「人間性」や「好奇心」
と言った概念にとっては敵となる.

*(日本における教員の任期制に関して)日本がテニュアを廃
止するならば、取り組むべきいくつかの問題がある.1つ目
はもっとも重要で、すぐれた終身任用(テニュアか別の方法
を通じて)教員で構成される重要なコア集団なくして世界ク
ラスの大学を作ることができるのかどうかということである.
アメリカにはそうした大学はないということは疑いようがな
い.

━ AcNet Letter 177 【2】━━━━━━━━━━ 2004.09.13 ━━━━━━
転載

全国国公私立大学の事件情報ブログ No 1796,2004.9.11
http://university.main.jp/blog/archives/001796.html
横浜市立大、藤山嘉夫商学部教授 
市大問題に関する最新論文発表!
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「横浜市立大学藤山嘉夫商学部教授の横浜市大問題に関する最
新論文が「社会文化学会」の学会誌に掲載されました。

藤山嘉夫「『新しい行政経営(NPM)と公立大学−流動の横浜市
立大学から−」(『社会文化学会』第7号(年報),2004年9月
10日発行,晃洋書房,1500円)。

目次
はじめに
1.中田市政の誕生と大学の市場化
2.NPM型教育「改革」の基本特徴
3.学長・事務局の秘密主義・トップダウン
4.生命体としての大学

少しだけ紹介。同論文は,新自由主義の立場にある中田宏市長
の行政改革・民営化手法は,1990年代アメリカとイギリスを席
巻した行政改革であるところの「新しい行政経営(New Public
Management)」であり,市大改革もこの手法に沿って行われたと
主張しています。すでに,同手法は近年の東京都教育委員会の
公立学校教育改革において導入され,ここでの改革の特徴が市
大におけるトップダウンの特徴とあわせて「あり方懇」答申を
祖型とする市大「改革」諸案の骨格とぴったりと符合する,と
述べています。

NPM型教育「改革」とはいかなる特質を持ったものか,それが市
大改革のなかでどのように進められたのか,これらの諸問題を
事実経過を踏まえつつ説得的に展開されています。特に,同論
文において印象に残った数ある文章のいくつかをここに示せば,
「横浜市立大学の伝統の歴史は,国際的にも優れた研究業績を
あげ,かつ,学問共同体たる大学の特性を厳格に踏まえるとい
う大学人として当然の良識を有する優れた歴代の学長によって
領導されつつ作り上げられてきた。後生の歴史家は,小川恵一
学長の名を,市大の歴史,ひいては日本の大学史に消し去りが
たい汚点を打つものとして歴史にとどめるだろう」との言葉で
す。そして,この市大の歴史的転換点にあたって,学問の自由
と大学の自治の見識に裏打ちされた優れた歴代の学長のうち,
いま最も想起すべきは第4代目学長の三枝博音であると述べてい
る点です。三枝博音は「鎌倉アカデミア」をどのように考えて
いたのか,これが本論文のまとめ,すなわち第4章「生命体と
しての大学」の内容です。全体として,横浜市大問題がよくわ
かり,読みごたえのある論文でした。
(文責・ホームページ管理人)」


━ AcNet Letter 177 【3】━━━━━━━━━━ 2004.09.13 ━━━━━━
転載

ブログ 壊れる前に... 2004.9.12 「平和をフィードしたい」
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2004/09/post_10.html
http://topaz.ecis.nagoya-u.ac.jp/~yohno/wpnj.rdf
──────────────────────────────

「9月11日を機にして、World Peace Now Japan(*1) に掲載され
るリンクを集め、 rss フィード(*2)として公開することにし
た。このブログの左下のほうに置いたリンクがそれである。
(*1)http://www.worldpeacenow.jp/
(*2)http://topaz.ecis.nagoya-u.ac.jp/~yohno/wpnj.rdf

いくつか、あらかじめ言い訳じみたことを書いておこう。ま
ず、私は World Peace Now Japan の関係者ではない。無許可・
非公認でフィードを作成・公開していることになる。フィー
ドに生じる問題はすべて私の責任であり、World Peace Now
Japan の関知するところではない。逆に、サイトの内容に関
しては、私は全くの部外者である。また、サイトの変更等に
よって、私の力ではフィードが作成できなくなる可能性もあ
る。つまり、いつまでフィードが提供できるかは全く約束で
きないということだ。さらに、このフィードには重大な欠陥
が一つある。それは、生成される見出しがサイト内のリンク
に限られているということだ。リンクではなく、"地の文"で
重大な発表等があっても、それをフィード生成スクリプトは
拾ってくれない。だから、このフィードを講読するだけでは、
更新の状態が把握できない可能性がある。ひょっとすると、
それは危急の時期に特に起こりそうなことでもある。(人手
で書き足すこともできるようにしてあります。もし World
Peace Now Japan の"地の文"の中にフィードすべき内容を発
見された方は、ぜひご連絡ください。)

フィードは、毎日午前5時と午後5時、自動で生成される。
World Peace Now Japan のサイトでは、画像からリンクが張
られていることがあるが、その場合、見出しでは「■」や
「□」だけにしてしまっている。文字コードはシフトJIS
である。とりあえず、Bloglines(*3) で講読できることは確
認した。アイテム数は30。ただし、リンク元が複数あれば、
いくつかの見出しが同じURLを指し示すこともある。
(*3)http://www.bloglines.com/

サーバの perl のバージョンが古いため rss 関連のモジュール
ではなく自前のコードで動かしていることもあり、いろいろと
不具合が出てくるかもしれない。ここ十日ほど動かしてみて、
すでに修正を要した問題がいくつかあった。まだ問題が出尽く
したわけではないだろう。

実は、今年の初め、青空文庫新着情報RSS(*4)と同時に
World Peace Now Japan の rss 化をしていたのだが、その時
はもう少し複雑な処理を織り込んでいたため、サイトの構成
がちょっと変わった途端に使いものにならなくなってしまっ
た(その経験から学んで今回は単純にリンクを拾うだけなの
で、リンク集的なコンセプトが変わらない限り、何とか機能
し続けると思うのだけれど)。その時は、hana さんの
Peace Event Calendar(*5) がこまめに情報を伝えてくれてい
たので、私はそれに頼ってしまい、フィードを作り直す努力
をしなかった。(あ、hana さんが久々の更新(*6)。お帰りな
さい!)ネットでの情報収集を rss に強く依存している私は、
フィードのない World Peace Now Japan には足が遠くなりが
ちである。そんな怠け者の自分が少しでも平和運動に関わっ
ていけるようにと作ったフィードである。私と同じように無
精な人が利用してくれればうれしい。

(*4) http://topaz.ecis.nagoya-u.ac.jp/~yohno/aozora/whatsnew.rdf
(*5) http://peace-event.seesaa.net/
(*6)http://peace-event.seesaa.net/article/574938.html

────────────────────────────
#(編註:RSS は RDF Site Summary、または、Rich Site
Summary の略。詳しくは
http://www.kanzaki.com/docs/sw/rss.html
http://www.atmarkit.co.jp/aboutus/rss/rss.html
などを参照。

サイト内のコンテンツの要約(URL,サイト名,title,概要,日付
等)の一覧を「共通規格」に従い記述したもの(あるいはそれを
記載した頁)をRSS と言い、それを提供するサービスをRSSフィー
ドと呼ぶようである。ブログツールはRSS を自動生成する機能
がついている。

種々のRSS 処理プログラムを使うと、関心のあるサイトのRSSを
収集して自動処理して整理・表示等ができる。従来の「アンテ
ナ」機能を拡張したものが簡単に実現できるようになった。

「共通規格」がいくつか競合しているが、3〜4種類程度なので、
RSS 処理系はどの規格にもだいたい対応できるようである。

RSSを提供していないサイト(新聞社など)について、頁の規則
性を利用してRSSを生成して提供するサービスが、他のサイトで、
かなり以前から行われている。http://bulknews.net/ など。

この記事にあるように、RSSを提供していない、重要なサイトに
ついてRSSフィードすることは極めて意義の大きいことである。

AcNet でも RSSの収集を実験的に行っています:
http://ac-net.org/rss
上のようなRSS フィード例があればご連絡ください。)


━ AcNet Letter 177 【4】━━━━━━━━━━ 2004.09.13 ━━━━━━
転載

ミクロネシアのヤップ島で起こっていること
低気温のエクスタシーブログより 2004.9.12
http://ch.kitaguni.tv/u/1023/%bb%fe%bb%f6%a1%f5%bc%d2%b2%f1%cc%e4%c2%ea/0000122310.html
──────────────────────────────

「ネット知人であるオーストラリア在住の日本人「千早」さん
から届いたメール。

──────────────────────────
千早@オーストラリア・風邪引きです。

このメールは転送可です。

<ヤップ島で起こっていること>

この度は通訳の仕事で行ったある南の島でのできごとを誰か
一人でも多くの人に知って欲しくて、このメールを書きまし
た。

ある島とは、ミクロネシアにあるヤップ島という島です。

ご存知かもしれませんが、ミクロネシアは昔、南洋と呼ばれ、
第2次大戦でアメリカに統治権を譲渡するまでは日本の一部
でした。 このため70歳以上のお年よりは流暢に日本語を
話します。現在はアメリカの委任統治下にありますが200
7年にはその契約も切れます。

ヤップはゴーギャンやサマセット・モームのタヒチのように
平和で豊かな島で先進国の価値観を押し付けなければ、衣食
住の全てが海と森にあふれる島です。

人の心も豊かで、島には世界時間の概念がなく、星の位置や
風の向きや潮の高さで行動します。島民は島と人を敬い、酋
長と長老の教えにより平和を保ち、少なくとも数百年前とほ
ぼ変わらない生活をしています。貨幣は今でも人身大の石の
貨幣を用います。

その島に仕事で2年続けて行きました。

今年はつい先週帰ってきたばかりですが、今年が去年と違っ
たのは、島に若い男性を見なかったことです。 現地の人に
聞くと、兵隊に行っているといいます。

ミクロネシアに軍隊があるのかと聞くと、ミクロネシアは関
係ないけど米軍に職業軍人として志願してイラクに行ってい
るというのです。

村の人の話を聞いてからよく見てみると、スーパーや学校に
米軍のリクルーターの張り紙が至るところにありました。定
期的な面接による採用でどんどんイラクへ送り込まれたよう
です。若者は2年のイラク兵役で2年間本土の大学で勉強で
きる契約。もう少し年が行った男性は、近代化しつつある生
活のため現金収入源 として、家族に車や冷蔵庫などを買っ
たり、そして子供を島の外で勉強させるために。

一体島のどのくらいの男達がイラクへ行ったのかと聞くと、
8割以上だろうとの答えでした。島には歴史的な大型台風が
4月に直撃したばかりで、家や学校の再建に島は男手を必要
としています。

島にいてイラクで起きていることを把握している人は一握り
です。高校生の男の子に会いましたが、イラクがどこにある
のかもよく知らないのに9.11事件は悪で、自分は悪と戦
う"真の戦士"になりたいと言いました。サムライが好きで、
正義のために闘うのが"真の戦士"だと言います。

よく考えてみると、一部を除いて、イラクに駐留する米軍兵士
が誰なのか伝えられることはあるのでしょうか。

米軍はデータとして持っている筈だと思うけど、アメリカ人で
はない兵士、兵士になることを社会システムに強いられた数は
どのくらいいるのでしょう。

イスラム教徒のいない、戦争のことを考えることのほうが難し
いような、平和なのどかな小さな島で、イラクへ行った息子を
持つ母の半分は心を痛めているといいます。しかし母親たちの
半数は息子が希望して"戦士"になったことを誇りに思っている
そうです。

どんな小さな記事でも、どんな媒体でも良いので、このことを
書いて、いろいろな人に知ってもらいたいと思いメールを書き
ました。もしパブリッシュできなくても、機会があったらこれ
を読んだ個人が友達や誰かに伝えてくれたら一人でも多くの人
がこのことを知ってくれたら嬉しく思います。

そこにある自然と人と、共に生するということ 相手を攻撃的す
るということが、あらゆるものの発展や持続性を奪うというこ
とを昔からの知恵で知っていて、教えてくれたのがヤップ島で
した。
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ログ:http://ac-net.org/letter/log.php
#( )内は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
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