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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Academia e-Network Letter No 176 (2004.09.11 Sat) http://letter.ac-net.org/04/09/11-176.php ─────────────────────────────── 本日(9月11日)大学評価学会第1回秋季研究集会 10:00〜20:00 場所:キャンパスプラザ京都(JR京都駅前)4階第3講義室 参加費:無料(懇親会費2000円) 詳細:http://university.main.jp/blog/News2004-08-12.html http://university.main.jp/blog/archives/001783.html ━┫AcNet Letter 176 目次┣━━━━━━━━━ 2004.09.11 ━━━━ 【1】IDE 2004年9月号 今月のテーマ:産学交流と大学改革 巻頭言:慶伊富長氏「大学の社会的効用」 【2】お便り紹介、米国在住研究者(もと国立大学教員)より #(編註:最高裁判事国民審査の際に「情報提供」がない、と いう趣旨の前号No 176 での編集人コメントの誤りの指摘など) 【3】お便り紹介、国立大学教員より #(編註:「特別教育研究経費」の性格の変化について) 【4】OPEN-J BOOMERANG 461 (2004.9.10) より http://www.peace2001.org/gpc/gpc_mn/mn_200409.html ━ AcNet Letter 176 【1】━━━━━━━━━━ 2004.09.11 ━━━━━━ IDE 現代の高等教育 2004年9月号 今月のテーマ:産学交流と大学改革 巻頭言 慶伊富長氏「大学の社会的効用」 (IDE 理事、北陸先端科学技術大学院大学名誉教授) ────────────────────────────── IDE 購読等問い合わせ先:IDE 事務局 〒105-0003 東京都港区西新橋 2-16-1全国たばこセンタービル8階 電話:03-3431-6822 ────────────────────────────── #(編註:巻頭言の慶伊富長氏(IDE 理事、北陸先端科学技術大学 院大学名誉教授)「大学の社会的効用」から抜書を紹介したい。種々 の懸念や重要な指摘が、圧縮されており、短いが読みごたえがある。 「バートン・クラークは日本の研究大学を「応用主義大学」 と呼んだ。今後は「実用主義大学」と呼ばれるようになる のだろうか。」 「知的財産本部整備(申請33件、国立大学25校)不採択と なった大学は当面、文部科学省の支援対象とならないとい う。その当面が長引けば、日本の国立大学は25校と60校程 に分類されることになるのであろうか。」 「このたびの大学改革(大学評価から合併・法人化・知的財 産の大学帰属)は、サッチャー首相やレーガン大統領が景 気回復の一環として行った大学改革(1980年より約10年)に 酷似している。日本政府が意識的に参考にしたのであれば、 その改革後に英米政府が実行した大学補助金削減政策も当 然視野に入っているであろう。」 「研究費拡大の惰性がついたころからの突然の削減に、アメ リカ研究大学は売れるものは何でも売る「商業化」に追い こまれる羽目になった。これらの前例を見れば、日本の国 立大学が法人化とともに産学連携への過剰反応を起す危険 性は十分あると思うのである。」 「英米政府が改革の目標としたのは、多数の優れた高級技術 者を輩出する日本の大学の工学セクターであった。」 「先般のスイス発信の国際競争力比較「日本の大学は最低ラ ンク」の根拠は、なんと日本企業トップのアンケート回答 結果であった。人材養成実績を企業は全く評価していない、 しかも「最低ランク大学」の刻印をおすのであれば何をか いわんやである。厳しい入試や授業を我慢しても、卒業後 の低賃金が定評となれば高校生の理工系離れが進行するの は当然といえよう。大学院を重点化したが工学系博士課程 はいまだに定員割れのままである。企業トップにも大きな 責任があると思う。」 「ルーチンワークへの院生動員は、学生の「大学院離れ」と 「学位レベルの低下」、さらにはシーズを産み出す基礎研 究機能の「大学離れ」にいたる不安がある。」 種々の問題の指摘のあと、以下のように警告している。 「景気後退時に産業界から大学批判が起こるのは古今東西ど こでも同じであろう。大学は批判を受けて変身を余儀なく されつつも発展し続けてきた歴史をもつ。大学でしかでき ない研究、そのなかでこそ育つ有用な人材の養成、これこ そが大学の最大の社会的効用であり、「売るものだけでな いあるものを持つ大学が生き残る(クラーク・カー)」の 「あるもの」であろう。大学は、政・官・産と対等にして 緊張感のある「連携」をすることによって、後世に「一国 が栄えた時そこに優れた大学があった(ホワイトヘッド)」 と評価されるようにしたいものである。」 なお、文部科学省研究環境・産学連携課長の田中敏氏の「大学政策 からみた産学連携」という論説もある。) ━ AcNet Letter 176 【2】━━━━━━━━━━ 2004.09.11 ━━━━━━ お便り紹介、米国在住研究者(もと国立大学教員)より #(編註:前号No 176:最高裁判事国民審査の際に「情報提供」 がないという趣旨の編集人コメントの誤りの指摘など) ────────────────────────────── いつも拝読し、考える材料として大変有意義なニュースレター だと思っております。 | (余談になるが、この口調は、参議院の5倍程度の定数格差に | ついて「到底看過することができないと認められる程度に達 | しているとはいえず云々」という2000年9月の最高裁判決*を | 連想させる。なお、判事15名中10名が合憲5名が違憲と判断し | ているが、最高裁での「多数決」には意味があるのだろうか。 | 国民審査というチェックが全く機能していないので、そうい | う分布となるように人事をすることは容易であろう。国民審 | 査では、各判事の判決リスト等の最低限の情報提供がされな | いし、マスメディアも、意図してかどうかわからないが、ほ | とんど報道しないので、機能するはずがない。 | http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/teisuuhannketuyousi.htm | ) #(編註:http://letter.ac-net.org/04/09/10-175.php#2 ) 私も全面的に同意見です。ただ、事実としては、最高裁の各判 事の判決リストは、選挙前に提供されておりました。東京に住 んでおりましたが、駅などで選挙広報と一緒に置いてありまし た。十件程度の主要な裁判に関して各判事が判決に賛成であっ たかどうかというような簡単なリストだったように記憶してお ります。簡単ではありますが、そのリストを読むだけでも、非 常にはっきりと各判事の「色」が分かり、各判事を信任するか どうか余り迷わずに決めることが出来ました。過去二回、その リストを見ながら各判事にマル・バツを付け、投票所に向かっ たのを覚えております。 問題は、裁判所の監視が機能していないことを誰も論じないこ とです。本来はマスメディアの仕事なのですが、マスメディア 自体が「正しく」機能しないような微妙な制御がなされている のですから、手詰りに見えます。 最高裁を含め、裁判所の人事がいかに政府に制御されるに至っ たかはKarel van Wolferen 著「The Enigma of Japanese Power」(1989年、Pan Macmillan。後に他の出版者からも刊行。) を読み良く分かりました。 ────────────────────────────── #(編註:訳本 日本/権力構造の謎 ハヤカワ文庫 NF (177) カレル・ヴァン・ウォルフレン (著), 篠原 勝 上巻: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/ 1章 "ジャパン・プロブレム" 2章 とらえどころのない国家 3章 抱き込みの包囲網 4章 〈システム〉に仕える人びと 5章 アドミニストレーター 6章 従順な中産階級 7章 国民の監護者 8章 法を支配下におく 下巻: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/ 9章 リアリティの管理 10章 文化にかこつけた権力 11章 宗教としての〈システム〉 12章 支配する権利 13章 儀式とおどし 14章 支配力強化の一世紀 15章 不死鳥の国 16章 世界にあって世界に属さず 参考:ウォルフレン「人間を幸福にしない日本というシステム」 抜粋:http://ac-net.org/common-sense/00b-wolferen.html 編註終) ━ AcNet Letter 176 【3】━━━━━━━━━━ 2004.09.11 ━━━━━━ お便り紹介 #(編註:「特別教育研究経費」の性格の変化についての情 報提供と照会。) ────────────────────────────── いつも配信ありがとうございます。今回、もしそちらで情報 があれば、お尋ねしたく、メールをお送りいたします。 法人化前より、「特別教育研究経費」が各大学の教育・研究 に応じて、つまりは競争に応じて配分される、という点が明 らかにされていたと思います。しかし、7・8月頃文部科学 省から、私どもの大学に通達されたところでは、この予算枠 は、前年度の予算全体の約2.5%ほどの部分に特定される、と いうことです。つまり、「特別教育研究経費」とは、前年度 予算に上乗せされるのではなく、前年度予算の一部を占める、 ということなのだそうです。したがって、かりに競争に負け れば、この予算が確保できず、効率化計数による減額を含め れば、結局、大学運営費のかなりの部分が減額になる、とい う結果になる、ということです。また、使途が特定されてい るため、「特別教育研究費」は、人件費としては使用できな い、という仕組みになっております。したがって、かりに競 争に勝ってこの予算を確保したとしても、この予算は大学の 恒常的運営には役に立たない、ということになります。その 結果、たとえば私どもの大学では、現在でている欠員のほと んどが補充できない、という事態なっています。 大学当局側から受けた説明によれば、当初「特別研究経費」 はたしかに、今年も予算枠としてはあったが、文部科学省か らの説明では、使い方に関しては、大学側の裁量に任せる、 ということだったそうです。ところが本年7・8月頃、文部 科学省が財務省に予算案を提示して説明したところ、財務省 側から、「特別研究経費」は監査の対象である、と言われた とのことで、そこで急きょ文部科学省は、各大学にその旨通 知した、というか、この競争的予算枠が、勝ち残った40大 学に配分される、というルールを示してきたようです。それ が今年の8月頃だったということです。したがって、大学側 としては、予算全体を見直し、夏前までに計画していた人事 案件を白紙にせざるをえず、その結果、教員の補充ができな い、という事態に至ったということです。 法人化のルールとして、効率化計数による減額以外は、さし あたって予算配分の現状は維持、というものがあったように 記憶していますが、これでは事実上の減額ではないかと思い ます。 以上のような、「特別教育研究経費」の配分方法に関して、 おそらく全国の教育系大学ではいろいろと問題が発生し始め ているのではないかと考えますが、そちらの方で、この問題 について情報があればご教示願えれば幸いです。」 ━ AcNet Letter 176 【4】━━━━━━━━━━ 2004.09.11 ━━━━━━ OPEN-J BOOMERANG 461【みんなでBE-IN】 2004.9.10 より http://www.peace2001.org/gpc/gpc_mn/mn_200409.html ────────────────────────────── ■山田和尚■ 沖縄で特に嬉しかったのは、夜中のコザの街で若い米兵と仲良く なって、『911』のビデオを見せることができたことだ。コザ の街を歩いていた20代前半の二人連れのヤンキーと仲良くなっ て、ころ合いをみつけて「あっそうだ!面白いビデオを持ってん だけど、どこかで見せたいなぁ」と持ちかけたら、嬉しいことに ビデオがあるお店に連れていってくれたのである。店の中には若 いヤンキーが7人いて、すぐに一緒に見ようと言い出した。何か よほど面白いビデオだと思ったのか、ママがビデオのセッティン グをしている間に、可愛い顔のヤンキーが隣の店にいた7人を連 れてきた。合計17人の夜間上映会である。 以前の『戦争中毒』の時も同じようなことをして緊張した経験が あったが、私の今回の心境は違っていた。と言うのもすでに彼等 の仲良しの『仲間』になっていたからである。 ビデオが始まると彼等の今までの明るい表情がすぐに真剣な表情 へと変わり、冒頭のペンタゴンの解説から身動きひとつせず、見 入っていた。 嬉しかったのは誰一人として途中で帰らずに真剣に見入ってくれ たことだ。悲しかったことは、彼等は何も知らされていない、何 も知らないという事に尽きる。にもかかわらず、たとえ仕事とは 言え、命をかけている。 ビデオが終わって少し静かな時間がたったころ、一人の若い兵士 が「俺は、やめるよ」と兵士をやめると言い出した。彼はこのビ デオを見て「これは、おかしい」と初めて自分自身で思えたので あろう。 この夜は朝までかけてビデオを2回上映した。合計28人の兵士 が見てくれた。ほとんどの兵士が兵士であることをやめたいと言っ てくれた。彼等にとって、この夜は敵の銃口よりも危機感が芽生 えたに違いない。それは唯一のより所としてきた愛国心が崩れた からに違いない。 朝になって別れる時に、一人の兵士が「このビデオが欲しい」と 言い出した。もちろん私はそのつもりであったが、「どうするん だい」と問いかけてみた。「コピーして、基地の友人に配りたい」 と言ってくれた。「アメリカにも、送って欲しい」と私は付け足 した。 ひょっとして、このビデオ1本で基地の中が変わるかもしれない。 みんなでやるともっと早く変わるかも知れない。そのために、ま ずは親しい友人になることだ。 ────────────────────────────── グローバル・ピース・キャンペーン日本事務局 http://www.peace2001.org open-j@peace2001.org OPEN-J BOOMERANG 配信責任者 山田和尚 バックナンバー:http://www.peace2001.org/gpc/gpc_mn/ 配信開始連絡先:open-j@peace2001.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org 趣旨:http://ac-net.org/letter/ ログ:http://ac-net.org/letter/log.php #( )内は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分 登録:http://letter.ac-net.org/s.php 転送歓迎(転送時に:http://ac-net.org/letter 併記希望) |