新首都圏ネットワーク |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Academia e-Network Letter No 175 (2004.09.10 Fri) http://letter.ac-net.org/04/09/10-175.php ━┫AcNet Letter 175 目次┣━━━━━━━━━ 2004.09.10 ━━━━ 【1】Biglob > All About Japan > マネー > 子育てにかかるお金 (豊田眞弓氏担当)「国立で831万円、私立で920万円・・・ 大学生を持つ家庭の年収 2004.08.29」 http://dir.biglobe.ne.jp/col/finance/ikujimoney/closeup/CU20040828B/index.htm 【2】財務省の財務総合政策研究所 「社会階層・意識に関する研究会」報告書 2003年7月2日 http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk064/zk064.htm ━ AcNet Letter 175 【1】━━━━━━━━━━ 2004.09.10 ━━━━━━ Biglob > All About Japan > マネー > 子育てにかかるお金 (豊田眞弓氏担当)「国立で831万円、私立で920万円・・・ 大学生を持つ家庭の年収 2004.08.29」 http://dir.biglobe.ne.jp/col/finance/ikujimoney/closeup/CU20040828B/index.htm 全国国公私立大学の事件情報ブログ経由: http://university.main.jp/blog/archives/001782.html ───────────────────────────── #(文部科学省が2004年に発表した「2002年度学生生活調査」 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/03/020324.htm の紹介。調査数は「大学、短期大学及び大学院の別、さらに大学及 び短期大学については、昼間部、夜間部別、大学院については修士 課程、博士課程別に、下記の抽出率によって在籍学生(平成12年 5月1日現在の学校基本調査による。)から抽出した数で、全国2, 995,324人中から65,334人を調査対象とした。(調査 有効44,471人、回収率68.1%)」 27枚の詳細な表がある (以下、総計部分のみ。括弧内は、国立、公立、私立、平均) 居住形態別・収入平均別額及び学生生活費の内訳 学生生活費支出 大学昼間部 1,638,300 | 1,551,500 | 2,188,000 | 2,058,200 大学院修士 1,752,500 | 1,677,200 | 2,166,500 | 1,898,000 大学院博士 2,142,400 | 2,261,700 | 2,557,000 | 2,248,000 居住形態別・地域別学生生活費の内訳 大学昼間部 自宅通学:1,193,600 | 1,178,700 | 1,803,100 | 1,708,700 下宿: 1,907,500 | 1,849,300 | 2,715,300 | 2,460,100 家庭の年間収入別学生数の割合(千円) 年間平均収入: 8,410 | 8,410 | 9,870 | 9,530 (大学院修士: 8,630 | 8,450 | 10,140 | 9,170 ) (大学院博士: 8,450 | 8,850 | 11,640 | 9,230 ) 家庭からの給付程度別・アルバイト従事者の全学生に対する割合 アルバイト従事者の従事時期別・職種別学生数の割合 設置者別・家庭の年間収入別奨学金の希望及び受給の状況 設置者別・奨学金の種類別学生数の割合 ━ AcNet Letter 175 【2】━━━━━━━━━━ 2004.09.10 ━━━━━━ 財務省の財務総合政策研究所 「社会階層・意識に関する研究会」報告書 2003年7月2日 http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk064/zk064.htm ────────────────────────────── #(編註: 上の文部科学省統計によれば、国公立大学生と私立大学生では、 家庭の年収は約150万円の違いがあるが、国立大学生でも、家庭 の年収は全世帯平均(総務省統計局資料*)より約200万円多い。 *http://www.stat.go.jp/data/soutan/2003np/2.htm 大学合格 と塾等通いとの相関が高い現状を反映しているが、社会階層分 化の諸問題と複雑に関連していることは誰でも推測するであろ う。 社会階層が分化し固定することを好ましいと考える「上流階級」 は多く、それを明らさまに述べる有識者も増えてきており、さ らに、最近の政策は全体として露骨に社会階層分化を推進して いる。しかし、そのような政策が世論レベルでは支持されるは ずはないので種々のカモフラージュが行われているに違いない。 その一つと言えなくもない調査研究がある。財務省の財務総合 政策研究所は2002年11月から半年間、社会階層・意識に関する 研究会を計6回開催した。実施目的は以下の通り。 「中流社会の崩壊」が叫ばれる中で、日本社会における所得 格差拡大等の社会階層分化及び(親の社会階層に子供の教育 水準が依存するなどにより)階層の固定化が進んでいるとの 指摘があるが、これらを検証するとともに、今後のわが国の 経済社会の在り方について活力、効率性、公平性等の観点か ら議論する。 予想通り、以下の2003年7月2日付報告書では、まとめ部分で、 「社会階層については、全体として、現時点で大きな変化があ るとまでは言えない」と結論づけ、しばしば指摘される諸問題 は将来起る可能性が高いことと位置付け、今後の施策に注意を 喚起している(それ自身は意義があることだが、これまでの施 策の責任は免除される)。 (余談になるが、この口調は、参議院の5倍程度の定数格差につ いて「到底看過することができないと認められる程度に達して いるとはいえず云々」という2000年9月の最高裁判決*を連想さ せる。なお、判事15名中10名が合憲5名が違憲と判断しているが、 最高裁での「多数決」には意味があるのだろうか。国民審査と いうチェックが全く機能していないので、そういう分布となる ように人事をすることは容易であろう。国民審査では、各判事 の判決リスト等の最低限の情報提供がされないし、マスメディ アも、意図してかどうかわからないが、ほとんど報道しないの で、機能するはずがない。 http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/teisuuhannketuyousi.htm ) 「社会階層・意識に関する研究会」報告書 2003年7月2日より http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk064/zk064.htm 「・・・・・・以上、各研究成果を総覧すると、所得格差、 社会階層については、全体として、現時点で大きな変化があ るとまでは言えない。しかし、静態的な所得格差は、年齢効 果を主因に近年わずかな拡大を示し、また、動態的な所得階 層間の移動確率は低下し、所得階層が固定化する兆しをみせ ている。しかも人々の生活程度に関する意識のみならず、満 足度も所得階層との関連をわずかながらも強め、意識面にお いても階層間の差が広がる傾向にある。その要因が日本の経 済社会構造の変化によるものなのか、景気停滞によるものな のかはデータの追加等で見極める必要がある。 こうした状況が今後も継続していった場合、低位にある人々 のやる気は削がれ、向上心が失われてしまう危険性さえある。 社会の活力となる「やる気」を失ってしまう社会階層の二極 化、固定化は避けなければならないであろう。結果の平等を 達成するだけでは、人々インセンティブは高まらない。人々 のインセンティブを高めていくためには「努力が報われる」 仕組みが必要であるが、その結果として表れる格差を、いか に人々が納得できる範囲に抑え、その意識を「嫉妬」に転化 させず、「やる気」につなげていけるかが重要である。その 大前提として、誰にも公平な機会が与えられ、いつからでも 再挑戦のできる、やり直しのきく社会が形成されなければな らない。 経済の低迷が長期化し、高齢化が進展すると、どうしても所 得格差の拡大・階層の固定化が起こりやすくなる。閉塞感を 打破し、活力ある日本社会を築いていくには、これまで以上 に機会の均等や再挑戦の可能性を重視した施策が必要となろ う。」 ──────────────────────────── 第3回(2003.1.16)に刈谷剛彦氏が教育に関しては社会階層分化 に関連して種々の問題が生じていることを報告し、教育の階層 差にたいする教育政策の「不作為」を指摘している。 http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk064_3.htm ・教育問題は、就業等の「機会」とリンクする将来の階層格 差に関する問題だが、教育は階層差を持つにもかかわらず、 実際の教育政策では「不作為」と言えるほどに考慮されてお らず、基礎となる時系列データすらない状況。 ・「子供の自主性」を主体とした「教育改革」により、勉強 しない子供が増え、勉強時間も減る現象がみられ、親の学歴、 職業で分けたグループでは、上位よりも下位の減少が明らか に大きく、階層差の拡大を伴って勉強しなくなっている。 ・学力テスト調査でも、全体的に下方シフトだが、下位ほど 点数が落ち、学力分布の格差は広がっている。階層との関係 で、家庭の「文化的階層」に関係する基本的生活習慣では、 特に「通塾」の影響は顕著に強まり、また、「朝食」の影響 力も強まっている。 ・「新しい学力観」(意欲や態度、関心)でいわれる「学力」 でも、家庭の文化的な環境(親がニュースをみるか、絵本の読 み聞かせ、コンピュータの有無等)で明確に差が表れる。また、 ペーパーテスト学力が高い子供ほど意欲的に関わっているな ど、家庭環境の格差の影響は拡大している。 ・階層問題としては「公立離れ」が一番大きい。公立以外の 受験生増加、東大合格者の公立高校占有率は3割強に減少 (99年)と公立離れが進んでいる。高校ランクと親の学歴格 差は明確にあり、中高一貫型有名進学校など中学の時点で違 う階層グループに分かれて学力格差が広がっている。これに 「教育改革」が拍車をかける。 ・最近の文部科学省調査でも学習離れや学力低下は明らかで、 この変化をみて教育政策を考えないと、10〜20年後に大人に なったときの対応では手遅れ。 ・高卒無業者の属性は階層的な偏りを持つなど、学力格差が 労働市場に影響している。 ・さらに「意欲・努力の格差」は論じられるべき大事な問題。 格差と重なり合って、機会がないため意欲がなくなる悪循環 が起きている。価値観の変化の中で若者が意欲を失うだけで なく、労働・教育市場の変化も反映していると思われる。 ──────────────────────────── [自由討議] <苅谷教授報告に関するコメント> ・出身階層の影響は、経済的、家庭文化的、遺伝的な側面が あると思うが、なぜ階層が影響力を持っているのか、総合的 な評価が必要。 ・消費での格差や職業上の威信格差が見えにくくなっている 中で、唯一階層や格差を表現できるのが教育(ただ、誇りで はあっても、酒の席の自慢話にしかならないかも)。 ・自ら「勉強しない」選択をする人々が階層とリンクして 「階層下位文化」ができることの是非。(←階層を前提に社 会全体のデザインを考えるなら、必ずしも完全に否定はでき ないが、問題はこの点を俎上に載せないままに議論・推進さ れる今の教育改革。格差を伴った学力・学習意欲の低下に歯 止めがかからなくなる。) ・長期的な教育達成に関する階層格差は英国的な下位文化を 形成するか。日本では戦前から戦後にかけての階層格差は大 きかったが、下位文化が存在したかは疑問。 ・母学歴の影響上昇に加え幼児期の接触まで考えると、母親 の影響はかなり大きいのでは。 ・自らの選択の余地がない階層分化はナンセンス。教育とし ては規制で効率の悪い公立学校ではなく、私立学校の教育機 会を階層に関わらず平等に分配することが良い。 ・通塾の影響が大きく、親の所得・階層で差があるならバウ チャーを塾に出してはどうか。 ・バウチャーの効果はどうか。親の学校選択の際に階層的な 影響を受けているのでは。 ・「意欲の格差」は今の若者を表す的確な概念と思うが、公 教育や家庭環境よりも、不況による厳しい労働市場の要因が 強く「勉強・努力しても仕方ない」となっているのでは。 ・昔、貧しい家庭の子供が意欲を持って勉強していた理由を みるべき。 ・意欲が低下した理由は、確かに不況や労働市場の変化が大 きく、悪循環になっているが、教育の変化とリンクしている ことも事実で、教育での歯止めをしなかったことが問題。 ・基礎学力崩壊が小学高学年で起き、中学で勉強離れが進み、 下位の高校でドロップアウト、労働市場に放り出され、雇用 機会を求める際にも基礎学力の有無が問われてしまう。 ・解決策としては、学年に応じた水準を明確にし、できなけ れば身に付けさせること。 ・「機会」の平等と自由という問題に絡んでくるが、今は能 力を持っていなければ自由が発揮できない状況で、遺伝や家 庭等の制約をどこまで公立学校がカバーするかが問題。 ・若年労働市場で、フリーター等の若年男性の非正規化があ るが、これが階層化につながるか。過去にも前例があったと 思うが、今は質的に新しい変化が起きているのか。 ・若年失業の問題は、中退者も含めてカバーされない人が増 え続け、多数を形成したときにどうするかという点で「格差」 とは異なる問題を持つ。 ──────────────────────────── 財務省の財務総合政策研究所 社会階層・意識に関する研究会出席者 座長 樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授 執筆メンバー(50音順) 石田 浩 東京大学社会科学研究所教授 猪木武徳 国際日本文化研究センター教授 大沢真理 東京大学社会科学研究所教授 太田 清 政策研究大学院大学教授 大竹文雄 大阪大学社会経済研究所教授 苅谷剛彦 東京大学大学院教育学研究科教授 玄田有史 東京大学社会科学研究所助教授 盛山和夫 東京大学大学院人文社会系研究科教授 関沢英彦 博報堂生活総合研究所長 八代尚宏 日本経済研究センター理事長 山田昌弘 東京学芸大学教育学部助教授 非執筆メンバー(50音順) 鈴木不二一 連合総合生活開発研究所副所長 福原義春 資生堂名誉会長 ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org 趣旨:http://ac-net.org/letter/ ログ:http://ac-net.org/letter/log.php #( )内は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分 登録:http://letter.ac-net.org/s.php 転送歓迎(転送時に:http://ac-net.org/letter 併記希望) |