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『週刊医学界新聞』第2597号 2004年8月23日 学会主導の情報開示へ 第59回日本消化器外科学会開催 さる7月21−23日の3日間にわたり,第59回日本消化器外科学会が,愛甲孝会 長(鹿児島大)のもと,鹿児島市の鹿児島市民文化ホールにおいて開催された。 「敬天究理」を理念とする今回は,日本消化器外科学会が中間法人化されて はじめての学術総会となる。「任意学術団体にとどまることなく,社会に開か れた学会としての再出発」との愛甲会長の意向から,学術講演,研究発表の他 に,社会に向けてメッセージ発信を目的とした特別企画などが行われた。 特別企画「消化器外科学会からの社会への提言」(司会=慶大 北島政樹氏, 北里大名誉教授 比企能樹氏)では,消化器外科医を取り巻く環境の変化につ いて,医師,行政,メディア,NPOなど,さまざまな立場の講演者による提言が 行われた。 法人化,臨床研修必修化で何が変わったか 最初に登壇した中村達氏(浜松医大病院)は国立大学の法人化,および卒後 臨床研修必修化により,医療現場がどのような影響を受けたのかについて口演 した。 氏はまず大学法人化の結果,労働体制に大きな変化が起きたと指摘。労働基 準法の適用によって入局の少ない救急部や集中治療部,麻酔科などで人員不足 が起こり,消化器外科から医員を派遣,また他院に派遣していた麻酔科医を引 き上げさせるなど,「医員の再配分」の必要性が生じたことを述べた。 また,研修医の労働時間が制限されたことにより,これまで研修医が行って いた業務を看護師が担当するなど,病棟の業務体制が全体的に過剰労働の傾向 になってきたことをあげた。 卒後臨床研修必修化による変化としては,法人化による人員不足の状態に加 えて研修医の教育も担当しなければならず,指導医の負担が大きくなったこと から研修医の指導が十分にできないのではないかとの懸念を示すとともに,浜 松医大で行ったアンケート調査の結果を報告。研修医がローテートする科では 「短期研修で教育効果があるのか疑わしい」,「学生実習の域を出ない」, 「小児科は新研修医では無理なことが多い」などの問題点が浮き彫りとなった ことを述べた。 (後略) |