新首都圏ネットワーク |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Academia e-Network Letter No 169 (2004.08.31 Tue) http://letter.ac-net.org/04/08/31-169.php ━┫AcNet Letter 169 目次┣━━━━━━━━━ 2004.08.31 ━━━━ 【1】家永氏の教科書で日本史を勉強した宇多田ヒカル氏の所感 国立大学独立行政法人化問題週報 No 101(2002.12.31) 2002/12/06 Hikki's WEB SITE:家永三郎氏への弔辞(2002.12.2) http://ac-net.org/wr/wr-101.html#[101-edu-5] 【2】三酔人教科書検定問答ー弁護士・執筆者・編集者の会話ー 1994.6.19 弁護士 藤田 康幸氏 http://www.yfujita.jp/ts/sansui.html ━ AcNet Letter 169 【1】━━━━━━━━━━ 2004.08.31 ━━━━━━ 家永氏の教科書で日本史を勉強した宇多田ヒカル氏の感想 2002/12/06 Hikki's WEB SITE:家永三郎氏への弔辞(2002.12.2) http://ac-net.org/wr/wr-101.html#[101-edu-5] http://www.toshiba-emi.co.jp/hikki/from_hikki/bn2002_j.htm ────────────────────────────── #(編註:東京都教育委員会は、都立最初の中高一貫校の6年生で扶 桑社の歴史教科書を使うことを決めた。教科書を詳しく比較したわ けではないが、正しさだけでなく読みものとしての「面白さ」にお いても対抗できる教科書がこれから必要となるのではないかと感じ ているが、実はそういう教科書はすでにあるのだが検定で不可とさ れているだけのようである。 宇多田ヒカル氏は、家永三郎氏が2002年に逝去された直後に弔辞を インターネットで表明したが、その中で、高校で家永氏の「新日本 史」を勉強し深く動かされたと書いている。東芝が「引用禁止」と しているページからであるが(引用は禁止できることなのであろう か)、若い世代の見識の高さと感性の鋭さを示すものとして、敢え て引用したい。 こういう「面白い」教科書が、いわば子供向けには歴史的真実を書 きすぎているとして検定で不可とされる一方、読みものとしては 「面白い」が歴史的真実の観点から重大な瑕疵がいくつもあること が多数の歴史学者から指摘されている教科書が検定で可とされてい ることになる。教科書を選定した方々が、読みものとして面白いか どうか、ということで判断したとすれば、見識の有無はこの際問わ ないことにしたとしても、フェアーでないと言うべきであろう。 Hikki's Web Site > Message from Hikki 2002.12.2 より http://www.toshiba-emi.co.jp/hikki/from_hikki/bn2002_j.htm 「前回の書き込みの12時間前くらいに、、、 12月2日(月)07時11分 「教科書裁判」に半生を捧げた家永三郎さんがお亡 くなりになりました。 私もさっきニュースで見たばっかり。 中学時代に「日本語」のクラスで勉強した国語の教 科書以外に文部省検定の教科書を使ったことの無い 私には、あまり接点なさそうな話なんだけど、、、 実は高校で彼の「新日本史」を勉強してたんだ! 唯一日本語で授業がすすめられる「日本語」のクラ スは文学が中心だというのに、先生が高校最後の本 として家永三郎さんの「新日本史」を選んだのです! イワクつきの事件にもモレナク触れたその本が、文 部省検定をパスできなくて裁判にまで発展してたっ て聞いて興味は湧いたし、それまでの日本史や日本 社会のクラスは結局全部英語だったから、日本史を 日本語で勉強できるのも嬉しかった。 でもね、私は一番、文面にあらわれる筆者のキャラ クターがありがたかったなあ! 口癖が「〜は特筆に値する」だったりさ! そういう色があるってことは教科書としては良くな いのかもしれないけど、、、でも私は!人間っぽい あったかさを感じたよ、こう、「子供に教えたいん だ!」っていう情熱をね。 唯一好きじゃない科目が「歴史」という私も、勉強 しやすかったよ。 同じ過ちや戦争を繰り返して欲しくないから、って いう彼の願いは、どこまで届いてるんだろう。家永 さんが亡くなっても、これからどんどん大事になっ ていくテーマだべ!!!あの時読めてよかったと思 う!「新日本史」もずいぶん修正して出版したみた いだけど、まあ学校で配られなくてもさ、読みたい 人が読めれば、いいんじゃないかな!どんな規制を 受けても、こうやって、この本の話は彼のメッセー ジとともに広がっていくんだもんね。」 ────────────────────────────── 数学教育の意義について語るMessage もある。中高生に数学を勉強 したいとこれほど思わせるメッセージはないのではないだろうか。 2003年10月30日(木)09時50分 「☆レコーディング順調っす☆」 http://www.toshiba-emi.co.jp/hikki/from_hikki/bn2003_j.htm イラク戦争開戦の日のメッセージも印象的である。 2003年3月20日(木)15時13分「ついに始まりました。」 http://www.toshiba-emi.co.jp/hikki/from_hikki/bn2003_j.htm ━ AcNet Letter 169 【2】━━━━━━ 2004.08.31 ━━━━━━ 三酔人教科書検定問答ー弁護士・執筆者・編集者の会話ー 1994.6.19 弁護士 藤田 康幸氏 http://www.yfujita.jp/ts/sansui.html < 教科書検定 http://www.yfujita.jp/ts < プライム・ロー(Prime Law)サイト http://www.yfujita.jp ────────────────────────────── #(教科書検定制度における、執筆者と出版社がおかれている状況が わかりやすく解説されている。「弁護士」のいくつかの発言が意 表を突く: 「一般の人は、裁判を起こすのを難しく考えすぎなんだよ。一般の 民事裁判の場合なら、勝訴する可能性がどの程度あるか、目的を 達成する手段として適切かどうかなどを慎重に考えないといけな い面があるけれど、教科書検定訴訟は基本的に「権利のための闘 争」なんだから、要は、権利のために闘うかどうかだよ。」 「執筆者」の「裁判を起こすと、裁判のために相当時間をとられる だろう。」に対し: 「家永訴訟のことを考えて言っているんだろうが、家永訴訟は大弁 護団で裁判をやってきたので、会議も多いし長いが、もっと小回 りのきく形で裁判活動をできると思うよ。家永さんみたいな負担 はかからないと思うよ。」 「家永さんや高嶋さんだけが闘っているから、余計に大変なんだ。 家永さんは一番バッターだったから、先覚者としての大変さがあっ たと思うけれど、これから闘う人はもっと楽だと思うよ。」 「原告側に負担がないとは言わないけど、対応する文部省や法務省 だって負担が増えるんだよ。文部省や法務省だって、こんなに訴 訟が起こされるのではかなわん、もっと検定を緩やかににた方が いいという判断をすることだってありうるよ。家永訴訟が係属し ていること自体が、文部省が好き勝手な検定をする抑制要因になっ てきたと思うが、もっと抑制要因が働くことが考えられるよ。」 対話の最後より(執:教科書の執筆者、弁:弁護士): 執:弁護士が執筆者の代理人になってどれだけの意味があるかな? 弁:あくまでも検定は法律に基づいて行われなければいけないの だから、法律的に通りやすい議論をするという面で意味がある し、もし訴訟になった場合に、争いやすい検定経過になること が考えられる。それと、さっき言ったように、下手な判断はで きないという牽制効果が期待できるだろう。 執:全国各地で教科書検定訴訟が係属し、しかも検定の現場では、 弁護士からの書面がいつも出されるという状況を作るべきだとい うことか? 弁:そうなんだよ。そういう状況を作らないといけないんじゃな いか? 執:現状からすると、夢のようだな。) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org 趣旨:http://ac-net.org/letter/ ログ:http://ac-net.org/letter/log.php #( )内は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分 登録:http://letter.ac-net.org/s.php |