新首都圏ネットワーク |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Academia e-Network Letter No 168 (2004.08.28 Sat) http://letter.ac-net.org/04/08/28-168.php ━┫AcNet Letter 168 目次┣━━━━━━━━━ 2004.08.28 ━━━━ 【1】 国立大学法人化後の問題点に関する櫻井充参議院議員質問主意書 2004.8.5 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/160/syuh/s160015.htm および、答弁書 http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000621.html 【2】日本の教育を考える10人委員会 http://10nin-iinkai.net/ 義務教育の地域格差は国を滅ぼす!! http://10nin-iinkai.net/data/teigen.pdf p12: 実は、過去にも一般財源化したことがある(昭和27年) 【2-1】「私は基本的にこう考える」より http://10nin-iinkai.net/teigen.html 藤田 英典(国際基督教大学教授) 義務教育費国庫負担制度の廃止・一般財源化には反対である。 【3】毎日新聞2004.8.25 <民事再生>青山ブックセンターが営業再開 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040825-00000013-mai-soci 【4】ウェブクリップより http://ac-net.org/index.php?catid=9 ━ AcNet Letter 168 【1】━━━━━━━━━━ 2004.08.28 ━━━━━━ 国立大学法人化後の問題点に関する質問主意書 2004.8.5 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/160/syuh/s160015.htm および、答弁書 http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000621.html ────────────────────────────── #(編註。答弁書部分は新首都圏ネットワーク提供データ。 縦線の行が質問主意書の部分。 櫻井議員による国立大学法人法についての第三質問主意書 第一:国公私立大学通信 2003.09.03(水) http://ac-net.org/kd/03/903.html 第二:AcNet Letter No 26, 2003.11.17 http://letter.ac-net.org/03/11/17-26.php ) ────────────────────────────── │ 質問主意書 質問第一五号 │ │ 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 │ │ 平成十六年八月五日 │ │ 櫻 井 充 │ │ 参議院議長 扇 千 景 殿 │ │ 国立大学法人化後の問題点に関する質問主意書 │ │ 今年度から国立大学は国の一機関から「国立大学法人」という │ 独立した組織に変わった。大学とその各部局独自の方策をとる │ ことが容易になるなど、法人化によって改善された面はあった │ ものの、法人化によって失ったことも大きい。大学における教 │ 育研究は日本の国力の源泉であり、これをおろそかにするよう │ な制度であってはならない。 │ │ このような観点から、以下質問する。 │ ├───────────────────────────── │ 一 運営費交付金への効率化係数への適用について │ │ 1 国立大学法人の予算は、独立行政法人通則法による一般の │ 独立行政法人と同様に運営費交付金等が削減されるようになっ │ ている。すなわち、毎年一%の効率化係数を乗じて、年々、研 │ 究費などが減少していくこととなる。このようなことは、国立 │ 大学法人法制定の経緯・趣旨及び同法案の国会の委員会におけ │ る附帯決議などに照らして、不当と言えるものであり、大学の │ 活力をそぐものではないか。 │ │ 2 設置基準上必要とされる専任教員の給与費相当額等を対象 │ 外にするなど配慮が見られるが、十分とはいえない。国立大学 │ 協会も訴えていたことであるが、運営費交付金を義務的経費と │ して効率化係数を適用しないようにすべきではないのか。 └───────────────────────────── 一について 国立大学の法人化は、自律的な環境の下で国立大学をより活性化 し、優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む個性豊かな魅 力ある国立大学を育てることなどをねらいとするものであるとこ ろ、国立大学法人への運営費交付金においても、一定の経営改善 努力を求めることは必要なことと考えている。もとより、その算 定に当っては、効率化係数を適用しつつも、「大学の教育研究機 関としての本質が損なわれることのないよう、国立大学法人と独 立行政法人の違いに十分留意すること」との国立大学法人法(平成 15年法律第112号)の国会審議における附帯決議等にのっとり、そ の対象から大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)等により必要 とされる専任教員の給与費相当額を除外するなど、大学における 教育研究の特性に配慮した仕組みとしているところである。 また、各大学の教育研究上の努力に応じ運営費交付金を措置でき る仕組みとして「特別教育研究経費」を設けたところであり、こ れにより、各大学の個性や特色をいかした教育研究上の意欲的な 取組を予算面から支援することとしている。 ┌───────────────────────────── │ 二 教育研究経費の実質減について │ │ 法人化によって大学の運営の在り方が大きく変わり、大学運営 │ のコストは上昇している。例えば、訴訟に係ることが国として │ の対応から大学独自の対応となり、そのため各大学は保険をか │ けるなどして対応している。一方で大学全体の予算はむしろ減 │ 少傾向にあり、実質的に教育研究の経費が減少している。この │ ことをどう考えているか。 │ │ また、各大学の努力に応じ増額できる仕組みとして「特別教育 │ 研究経費」の制度があるが、どの程度改善されるのかが疑問で │ ある。国立大学法人を予算面から充分に支援できる制度設計を │ どう考えているのか示されたい。 └───────────────────────────── 二について 国立大学が法人化し、国の施設等機関ではなくなることに伴い新 たに必要となる賠償責任保険などの経費については、平成16年度 予算において、所要の措置を講じたところである。 また、一についてで述べたとおり、国立大学法人への運営費交付 金については、「特別教育研究経費」を設け、教育改革、大規模 基礎研究の推進や新たな研究分野・領域への挑戦など、各大学の 教育研究上の意欲的な取組を支援することとしており、今後とも、 国立大学法人の業績が着実に実施されるとともに教育研究活動の 活性化が図られるよう、所要の運営費交付金を措置していくこと としている。 ┌───────────────────────────── │ 三 大学への評価について │ │ 大学への評価については、大学側が作成する中期計画に数値等 │ が盛り込まれ、その達成度を国立大学法人評価委員会が評価し、 │ さらに総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が意見を述 │ べることとなっている。その他にも様々な組織が違う視点から │ 評価するが、評価の視点が大学側からは必ずしも明確でないと │ 思われる。特に、数値目標が立てにくい基礎的な研究や長期的 │ な研究についての評価基準が明示されておらず、研究現場の懸 │ 念を招いていることをどのように考えるか。 └───────────────────────────── 三について 国立大学法人評価委員会の評価は、国立大学法人法第35条にお いて読み替えて準用する独立行政法人通則法(平成11年法律第 103号)第34条第1項及び第2項の規定に基づき、中期目標の期間 における中期目標の達成状況の調査及び分析をし、その結果を 考慮して当該中期目標の期間における業務の実績の全体につい て総合的な評定をして行うものであり、国立大学法人に対して 責任を持って予算を措置することを踏まえ、その国費が有効か つ適切に使用されたかどうかを国として検証する視点から行う ものである。 一方、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、政府全 体の立場から、国立大学法人法第35条において読み替えて準用 する独立行政法人通則法第34条第3項において、国立大学法人評 価委員会の行った評価の結果について、必要があると認めると きに国立大学法人評価委員会に対して意見を述べることができ ることとされており、国立大学法人の評価を直接行うものでは ない。 また、国立大学法人の教育研究の評価については、教育研究の 特性に十分配慮しつつ、専門的な観点から評価を行う必要があ ることから、国立大学法人法第35条において読み替えて準用す る独立行政法人通則法第34条第2項の規定に基づき、国立大学法 人評価委員会から独立行政法人大学評価・学位授与機構にその 評価の実施を要請し、その結果を尊重することとされている。 より具体的な評価の在り方については、「国立大学の評価に当っ ては、明確かつ透明性のある基準に従って行うとともに、基礎 的な学問分野の継承発展にも十分配慮すること」との国立大学 法人法の国会審議における附帯決議等にのっとり、国立大学法 人評価委員会及び同機構において今後とも検討を行うこととし ている。 ┌───────────────────────────── │ 四 教員の負担増について │ │ 中期計画の作成や様々な評価への対応などの大学運営に費やす │ 時間が増えたことにより、教員が教育研究を行う時間が減って │ いるが、これについてどのように考えるか。また、定員削減の │ ために職員が削減された影響もあり、法人化後は教員の教育研 │ 究以外の負担は増える一方にもかかわらず、裁量労働制の導入 │ で勤務時間の増加などが考慮されていない。法人化により職員 │ の負担も増えており、教員を支援する職員の増員を図るなど、 │ 何か解決策は考えているのか。 │ │ 五 時間外労働の賃金不払いについて │ │ 平成十六年七月十三日、広島大学教職員組合が、同大学に時間 │ 外労働の賃金不払いがあるなどとして、広島労働基準監督署に │ 立ち入り調査を求める告発をしている。運営費交付金の減額に │ より、今後、時間外労働の賃金不払いがより懸念される。四月 │ 二十二日の参議院文教科学委員会では、大学内の問題として答 │ 弁しているが、そもそも業務量を増やしたのは政府であるのに、 │ なぜ政府が責任を持って手当てをしないのか。予算措置を含め │ た制度的な改善策が必要ではないのか。 └───────────────────────────── 四及び五について 国立大学の法人化により、各国立大学法人の自主的な判断に基 づき柔軟かつ機動的な組織編成や人員配置、多様な雇用・勤務 形態の活用が可能となったことから、各国立大学法人自らが、 超過勤務の縮減など教職員の負担軽減を図りつつ、教育研究活 動を着実に実施することが重要であると考えている。もとより、 労働基準法(昭和22年法律第49号)第37条第1項および第3項に規 定する割増賃金については、使用者である各国立大学法人にお いて適切に支払うべきものである。 ┌───────────────────────────── │ 六 実態の把握及び施策への反映について │ │ 以上に述べた理由により大学全体の力が落ちているとの意見が │ あるが、国立大学法人化後の大学の実態はどれくらい把握して │ いるのか。また、今後、アンケート等による実態の把握及びそ │ の施策への反映はどのように行うつもりか。 │ │ 右質問する。 └───────────────────────────── 六について 各国立大学法人の運営状況については、学長会議等の会議や日 常的な情報交換等を通じ把握に努めているところであるが、今 後とも、社団法人国立大学協会等と連携しながら、実態の把握 を行うとともに、必要に応じ、適切な施策を推進してまいりた い。 ━AcNetLetter168【2】━━━━━━━━━━2004.08.28━━━━━━ 日本の教育を考える10人委員会: http://10nin-iinkai.net/ 提言:義務教育の地域格差は国を滅ぼす!! http://10nin-iinkai.net/data/teigen.pdf ────────────────────────────── 佐和 隆光(京都大学経済研究所所長・ 日本の教育を考える10人委員会委員長) 市川 昭午(国立大学財務・経営センター名誉教授) 尾木 直樹(教育評論家・法政大学教授) 糟谷 正彦(住友生命顧問) 黒崎 勲(日本大学教授) 斎藤 貴男(ジャーナリスト) 野口 克海(園田学園女子大学教授) 樋口 恵子(評論家・東京家政大学名誉教授) 藤田 英典(国際基督教大学教授) 渡邉 光雄(福島県原町市教育長) ────────────────────────────── #(編註:PDFファイルはOHP 形式。p11 に以下が記載されている: ┌────────────────────────────┐ │ 実は、過去にも一般財源化したことがある │ │ 同じ過ちを繰り返してはならない! │ │ │ │ 実は、昭和25年〜27年にも、地方分権の考えのもと、一 │ │ 般財源化されたことがあります(シャウプ勧告)。 │ │ │ │ シャウプ勧告による一般財源化により、義務教育の地域 │ │ 間格差の発生、保護者への教育費の負担増大から、義務 │ │ 教育国庫負担制度が復活しました。 │ │ │ │小学校児童一人あたりの教育費(昭和27年) │ │ 第一位:東京(14,421円)、最下位:茨城県(7,661円)│ │ 約2倍の差 │ │ │ │小学校における教育財源(昭和27年) │ │ 総 額 163,302,773千円(100%) │ │ 公 費 101,232,074千円(62%) │ │ 寄 附 金 4,902,506千円(3%) │ │ 保護者負担の教育費 57,168,193千円(35%) │ │ (寄附金を除く) │ │ 約1/3が保護者の負担! │ └────────────────────────────┘ ────────────────────────────── 【2-1】「私は基本的にこう考える」より http://10nin-iinkai.net/teigen.html 藤田 英典(国際基督教大学教授) 義務教育費国庫負担制度の廃止・一般財源化には反対である。 ────────────────────────────── #(編註:各委員が意見を表明している。) 「日本の義務教育は、教育の質、学力水準や少年犯罪水準(の低さ) などの点で世界のトップレベルにある。また、各種の調査・報告 によれば、校内暴力、いじめ、不登校なども、欧米先進国に比べ て軽微だとは言えても、劣悪だと言える根拠はない。上記制度は、 そうした日本の高い義務教育水準の重要な基盤となっているもの であり、欧米の教育関係者も高く評価している。上記制度の廃止 は、それらの点での水準低下を招く危険性が大きい。 最近の教育改革は、議論のすり替えや偏見に根ざすものが多すぎ る。今回も財政面と地方分権化の関心によって先導されたもので ある。一般財源化により、首長の裁量になれば、財政事情の厳し い自治体を中心に、義務教育費が他の財源として流用され、教育 の地域格差が今以上に拡大することになる。 義務教育は、自由権ではなく社会権であり、すべての人が一定水 準以上の教育をうけることのできる環境を構築・保障しなければ ならない。同時に、地方が独自に創意工夫し、教育の改善・充実 を図ることができるようにするためにも、本年4月から実施され た上記制度の総額裁量制には賛成である。 なお、最近の改革動向について2点コメントしておきたい。(1) 学校選択制は、勝ち組と負け組をつくり、学校を序列化し、しか も、学校を無用な競争に駆り立て、教育の安定性を阻害すること になる。小中学校段階の教育は地域に根ざした生活圏の中で行わ れるのが最善である。(2)客観的・業績主義的な教員評価は、 教職の自律性・包括性・協働性を阻害し、モラル・ハザードを招 く危険性が大きい。客観的・管理的な評価ではなく、形成的な当 事者評価(保護者・生徒や地域の人たちも当事者)が好ましい。」 ━ AcNet Letter 168 【3】━━━━━━━━━━ 2004.08.28 ━━━━━━ 毎日新聞2004.8.25 <民事再生>青山ブックセンターが営業再開 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040825-00000013-mai-soci ────────────────────────────── #(編註:洋書販売大手「洋販」が支援し9月29日に再開。閉店前の 従業員がそのまま就業。関連記事:[AcNet Letter 144: 2004.7.24] http://letter.ac-net.org/04/07/24-144.php ) ━ AcNet Letter 168 【4】━━━━━━━━━━ 2004.08.28 ━━━━━━ ウェブクリップ http://ac-net.org/index.php?catid=9 ────────────────────────────── 08/28 サードインパクト:・・・扶桑社教科書の内容はもちろん問 題だらけだと思うが、しかしこれほどの「反面教師」ならぬ「反面 教科書」として使える教材は、それこそほかにはないと思う・・・ http://www.geocities.co.jp/Playtown/1541/zakki-new.html ────────────────────────────── 08/28 低気温のエクスタシー Blog: サマーワでまた砲撃!> otto 氏コメント> 日本社会は自衛隊を見殺しにするつもりでしょうか。 http://ch.kitaguni.tv/u/1023/%bb%fe%bb%f6%a1%f5%bc?%f1%cc%e4%c2%ea/0000116494.html ────────────────────────────── 08/28 メディアの辺境地帯通信:袴田事件の再審請求を拒否> ビートニクスさんのコメント「なぜ、裁判所は、ある時から再審開 始決定をしなくなったのか、それは最高裁判所の大きな方針ではな いか・・・・・」 http://henkyonews.cocolog-nifty.com/articles/2004/ ────────────────────────────── 08/26 miyadai.com: ...「多様性ベース−信頼ベース−社会ベース」 の社会が良いのか、「流動性ベース−不信ベース−国家ベース」の 社会が良いのか... http://www.miyadai.com/index.php?itemid=145&catid=4 ────────────────────────────── 08/23 Blog::TIAO:03-09-30> マスメディアの壁もいつかは崩れ去る だろう。それもそう遠くない将来に。でもそこに現れる景色は、見 通しのいい自由な世界だとは限らない。 http://blog.readymade.jp/tiao/archives/000303.html ────────────────────────────── 08/21 メディアの辺境地帯通信:警察庁=マスコミはなぜ、6日で はなく19日に「外国人摘発増加」を流したのか http://henkyonews.cocolog-nifty.com/articles/2004/08/post_2.html ────────────────────────────── 08/19 Letter from Yochomachi 8/11: ・・・日本政府も、自分が火 をつけた日本の「ウヨク」感情に自分の行動を縛られつつある。国 民感情を政治的にもてあそぶと、ろくなことはない。こういう醜い ことになる。非常に危険だ。 http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C478131471/E1587470024/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人連絡先:admin@letter.ac-net.org 趣旨:http://ac-net.org/letter/ ログ:http://ac-net.org/letter/log.php #()内は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分 登録:http://letter.ac-net.org/s.php 転送歓迎(転送時に:http://ac-net.org/letter 併記希望) |