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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』夕刊 2004年8月20日付

教職養成:国公私大に競争原理、プロジェクトを公募へ・・・文科省、40校選び財政支援


 教員の資質向上を目指し、文部科学省は来年度から、全国の国公私大を対象
に教員養成プロジェクトを公募し、優れた取り組みの大学を重点的に財政支援
する仕組みを始める方針を固めた。教員養成にも競争原理を導入し「優良校」
を現在検討されている専門職大学院の候補につなげたい考えだ。来年度は4テー
マで計40校を選ぶ見込みで、来年度の概算要求に10億円を盛り込む。

 文科省によると、都道府県・政令市教委から03年度「授業がうまくできな
い」「保護者と信頼関係を築けない」などの理由で「指導力不足」と認定され
た公立学校の教員は481人。00年度の65人から増え続け、公立校教員の
約2000人に1人の計算となる。

 河村建夫文科相の私的諮問機関「これからの教育を語る懇談会」(座長、牛
尾治朗・ウシオ電機会長)では、実践力のある教員養成が重要課題として浮上
し、教員養成の専門職大学院(教員版プロフェッショナルスクール)の設置の
方向性が固まりつつある。河村文科相が今月公表した義務教育改革私案にも盛
り込まれた。

 制度化には時間がかかるため、まず現行の教員養成学部にも「特色ある大学
教育支援プログラム」や「現代的教育ニーズ取り組み支援プログラム」のよう
な国公私大を通じた競争原理を取り入れて資質向上を図り、選定した「優良校」
を専門職大学院設置時の候補とする構想を固めた。

 具体的には▽大学教員への外部人材の登用▽教育実習の在り方▽教育委員会
との連携協力−−など四つのテーマで各10校を選定、実践的な指導力のある
教員養成に取り組むプロジェクトに2500万円の財政支援を2年間続ける。
来年6月をめどに公募し、8月には選定を終えたい意向だ。【千代崎聖史】