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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2004年8月17日付

「大学発ベンチャー」、半数が赤字 経産省調査


 経済産業省の調査によると大学での研究成果をもとに設立した「大学発ベン
チャー」の半数は赤字に陥っている。起業から事業化までの期間も一般の中小
企業と比べて長い。急増している大学発ベンチャーだが経営面での課題は多い
ようだ。

 今年3月に大学発ベンチャー362社から聞き取りした結果をまとめた。3
62社のうち直近の決算で経常黒字だった企業が125社(34.5%)に対
し、赤字は190社(52.5%)だった。

 旧科学技術庁が00年に技術系ベンチャー約1300社を対象にした調査で
は、赤字企業の割合は全体の23.3%だった。これに比べると大学発ベン
チャーの赤字企業の割合は多い。起業してから4年後の比較でも、一般の中小
製造業では9割以上が事業につなげているのに対し、大学発ベンチャーは約5
割だ。

 同省は、「ノウハウを持たない研究者が起業し、営業戦略を練る人材が不足
していることが原因の一つ」とみている。

 大学発ベンチャーは、国立大学教員の兼業規制が緩和された97年以降、急
増し始めた。経産省によると、03年度末までに設立された大学発ベンチャー
は799社に達する。業種別ではIT関連が40.9%と最も多く、バイオ・
医療が36.7%で続いている。今年4月、国立大学が法人化されたことで起
業に拍車がかかると予想されている。