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山形大工学部セクハラ問題身内への甘さ露呈
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セクハラ問題が相次いだ山形大工学部のキャンパス=13日、米沢市の同学部正門で 防
止委調査を黙殺

  女子学生の訴えは、キャンパスで隠蔽(いん・ぺい)された−−山形大学工学部で発
覚したセクハラ問題。その悪質さにもかかわらず、大学当局が事態と真摯(しん・し)に
向き合わなかった結果、学生の被害はなくなるどころか、短期間に訴えが相次いだ。

  女子学生からセクハラ相談があったと大学側が認めたのは2件。03年7月、男性教
授(63)が酒に酔って一人暮らしの女子学生のアパートに押し掛けた。別の男性教授(
61)は今年3月、大学院への進学希望の女子学生に「学会に参加した方がいい」と誘い
、同じ部屋に泊まらせるなど、どれも悪質なものだった。

  山大では、セクハラ相談員を学内に置き、問題があれば教授らで構成する防止委員会
が調査することになっている。今回はともに調査まで行われ、訴えの大筋は認めた。

  にもかかわらず、再発防止の先頭に立って、綱紀粛正を図るべき学部長が独断で2人
の依願退職を認めたことで、問題が学部内の一部に隠蔽されることになった。

  アパートに押し掛けた教授はかねてから授業前の飲酒などを指摘されており、今年3
月まで学部長だった遠藤剛・同大副学長は「社会的常識から考えてまずいことがあった」
ことは認めた。

  だが、「本人から直接聞いていないし、示談も済んだ」として、学内規則で定められ
ているにもかかわらず、調査報告書の内容を学長に報告せず、「高齢で、もともと辞任の
意向があった」とし、何ら処分もないまま、この教授の依願退職を認めて退職金を支払っ
た。

  小山清人学部長も、2人目の教授を処分しなかったことについて「自ら辞職したこと
で解決済み」との認識を示した。

  同大は4月に独立行政法人に移行したが、学内にも「身内に甘い」という声が根強い
。問題が発覚した13日、遠藤副学長は朝日新聞社の取材に一転して、「当時の工学部の
対応に問題があった」ことを認め、教授への退職金の返還請求を含め、大学として改めて
対応を検討する考えを示した。
(8/14)