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『科学新聞』2004年7月30日付

総合科学技術会議 科技関係予算大幅改革
運用費交付金見直しも


 国立大学法人の運営費交付金が削られ、競争的資金になるかもしれない。総
合科学技術会議は23日、平成17年度科学技術関係予算の改革について決定した。
SABCの優先順位付けをすべての施策で行うほか、新たな予算編成方法とし
て連携施策群を創設する。また、第2期科学技術基本計画の競争的研究資金倍
増実現に少しでも近づけるため、国立大学法人や独立行政法人の運営費交付金
を含めて予算の見直しを行い、競争的研究資金を対12年度比で150%以上の確保
を目指す。

 すべての科学技術関係予算をチェックする。16年度概算要求の場合は、科学
技術関係施策は約1600項目あったが、実際に総合科学技術会議の評価対象となっ
たのは大型プロジェクトなど約350項目だった。17年度予算では、すべての関係
施策についてSABCを付けるほか、国立大学法人、独立行政法人についても
チェックの対象にする。例えば「業務が非効率の場合はそのことも指摘する」
(茂木敏充・科学技術担当大臣)。8月末の概算要求を受けて、10月には優先
順位を付ける。計画の見直しなどの指摘事項について、11月に改善状況をチェッ
ク、Sには予算増を、Cには削減率を高めることなどを財務省に申し入れる。

 科学技術連携施策群を創設する。国家的・社会的に重要で関係府省の連携が
効果を持つテーマを、各省庁と調整して総合科学技術会議が9月の本会議で決
定する。テーマ毎に施策をまとめた施策群毎に連携推進ワーキンググループ
(WG)を設け、重複などを排除する。WGの中心となるコーディネーターに
は有識者議員か外部の専門家を選出。

 現在のテーマ候補は、ポストゲノム、新興・再興感染症対策、ユビキタスネッ
トワーク、次世代ロボット、バイオマス、水素利用/燃料電池、ナノバイオテ
クノロジー、地域クラスターの8テーマ。各省庁の施策から抜け落ちたものに
ついては科学技術振興調整費で対応していく。

 競争的研究資金の倍増は第2期計画の数値目標だが、16年度現在で「まだ2
割の伸びでしかない」(茂木大臣)。そこで、各省庁に競争的研究資金を対12
年度比150%以上の概算要求を求める。「国立大学法人や独立行政法人の運営費
交付金なども含めて見直し、競争的研究資金にしていく。17年度は全体で4500
億円を確保したい」(茂木大臣)という姿勢を見せている。

 河村建夫・文部科学大臣は「バランスの取れた研究活動を進めるためには基
盤的な研究費も重要。運営費交付金を競争的研究資金に転換していくことは、
大学法人化の理念に基づいての議論が必要」と話しており、国立大学法人の運
営費交付金がどうなるかは微妙だが、「財政状況が厳しい中、科学技術も聖域
ではない」(谷垣禎一・財務大臣)と厳しい情勢にはかわりない。