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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』2004年8月4日付

インターン:大学院にも導入 高度人材育成で産学連携


 文部科学省は、学生が関心のある業界で一定期間働く「インターンシップ」
を、高度化して大学院教育にも導入する。大学院で身に着ける専門性は、就職
時に強みになる半面、企業には「視野が狭くて使いにくい」など不満感も強い。
こうしたミスマッチを減らす効果も狙った「高度人材育成の産学連携」だ。新
規事業として、約10億円を来年度予算の概算要求に盛り込む。

 日本経団連産業技術委員会が3月、国の総合科学技術会議に提出した文書
「産業界の視点からの大学(院)での人材育成について」がきっかけとなり、
具体化した。

 「大学院版インターンシップ」は、院生が自分の専門分野を生かせる企業に
長期間(1〜3カ月以上)通い、社員同様の立場で研究開発や企画、営業など
の仕事に就く。大学と企業は契約を交わし、院生には報酬を支払う一方、成果
や職務上の守秘義務を求める。報酬など諸経費の一部を、国が支援する。

 来年度の対象者は1000人程度。大学院をもつ国公立・私立大100校を
公募で選び、各校に1000万円を支給する計画だ。企業での経験は、大学が
単位として認定する。長期間にわたるため、国が認定要件を示し、「高度さ」
を保つよう企業にも協力を求める。

 文科省の実態調査によると、インターンシップを体験した大学生は02年度、
初めて3万人を超えた。しかし2週間以内(実働10日以内)が71%を占め、
学生にとっては就職のコネ作り、企業にとっては「お客さん」に終わっている
との指摘もある。大学院生の割合は6%だ。

 同省は「就職を希望しない研究者志望の院生が、企業の研究開発現場を経験
することは、社会のニーズを知るなど広い視野を身に着ける点で有意義だ。大
学院で学んだ経営学やMOT(技術経営)理論を、企業で実務として体験して
もらうなどの手法もある」としている。【元村有希子】