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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』2004年8月1日付

国立大特許料:96%が赤崎名大名誉教授の青色LED


 国立大学が昨年度、大学所有の特許で得た4億円を超すライセンス料収入の
96%が、赤崎勇・名古屋大名誉教授の青色発光ダイオード(LED)に関す
る発明で占められていることが文部科学省の調査で分かった。寿命が長く、明
るく輝く青色発光ダイオードは「世紀の発明」といわれ、信号機に使われるな
ど需要が急増している。

 文科省の03年度産学連携実態調査で判明した。同年度に特許が他者に使わ
れた国立大(大学共同利用機関、高等専門学校含む)は14機関で、ライセン
ス料収入の総額は約4億2700万円。そのうち約4億1000万円が赤崎さ
んがかかわる6件の特許だった。

 赤崎さんは名大教授時代、窒化ガリウムを使って、電気を通すと青く光る半
導体を世界で初めて作った。これを日亜化学工業の研究者だった中村修二・米
カリフォルニア大教授が製品化した。

 特許は85〜87年に出願され、共同研究した名大、豊田合成、科学技術振
興機構の3者が所有している。ライセンス料は国庫を通じて3者に分配される。
約半分の収入を得た名大は「研究成果を社会に還元するのが大学の本来の役割
で、収入はその結果に過ぎない」としている。赤崎さんら6人の発明者には、
ライセンス料の一部が「報奨金」として支払われる。

 文科省は、大学での発明は大学が知的財産として保護・活用するように勧め
ている。産学連携の機運も高まっており、国公私立大と企業や自治体との共同
研究は昨年度、過去最高の9255件。特許出願は2462件だった。【元村
有希子】