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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2004年8月1日付

阪大と大阪外大、「統合」さぐる 9月から協議本格化


 大阪大(大阪府吹田市)と大阪外国語大(同府箕面市)が統合を探る話し合
いを進めている。実現すれば国立大では最大規模の統合となるが、具体的な条
件を固め、学内の理解を得るのはこれからだ。話し合いは9月から本格化する。

 両大学は今春、今後6年間に取り組むべき課題を挙げた中期計画でともに
「統合も視野に入れたさらなる連携協力の可能性を検討する」と明記。副学長
ら5人ずつが入った連絡協議会を5月に設置し、すでに3回の会合を終えた。

 「統合を希望する私の考えは、大阪大の総意とみてもらってかまいません」。
7月22日、大阪外大を訪ねた宮原秀夫・阪大学長は大阪外大の幹部たちを前
に力を込めた。

 是永駿・大阪外大学長(中国現代文学)も「個人的には実現を願う」との立
場。だが、大阪外大では教授会の議題にすら上っていない。統合の具体的な条
件を今後練り、双方が持ち帰って学内の理解を求めていく。

 阪大はアジア重視を打ち出し、アジアの大学との連携などを進めようとして
いる。大阪外大にそろう世界中の言語・文化の専門家が阪大に来れば好都合だ
し、文系・理系の枠や学部を超えた研究、教育の広がりにもつながると期待で
きる。

 大阪外大にとっては総合大学との統合で、24ある言語教育を維持・発展さ
せられるかどうかが関心事だ。半世紀以上の伝統がある大阪外大には、日本の
大学で唯一の専攻というハンガリー語など数々の財産がある。

 阪大と大阪外大は01年ごろ、「北摂会」という場をつくって統合を話し合っ
たことがある。副学長、学部長ら20人ほどが集まり、会合を数回もったが、
阪大側から協議を打ち切った。「阪大にとって利益が薄い」などが理由だった
とされる。

     ◇

 〈大阪大と大阪外国語大〉 大阪大は工、基礎工、理、医、薬、歯、法、経
済、文、人間科学の10学部の総合大学。学生は大学院生を含めて約2万人。
大阪外国語大は外国語学部の単科大学で、学生数は同約4千人。キャンパスは
ともに大阪府北部の北摂地域で、約3.5キロしか離れていない。

     ◇

 〈国立大学の統合〉 国立大学法人化の半年前の昨年10月、神戸大と神戸
商船大、島根大と島根医科大、香川大と香川医科大、東京商船大と東京水産大
など10組20大学が一斉に統合した。その前年には、山梨大と山梨医科大な
ど2組4大学が統合ずみ。これらの半数以上は、地方国立大と同じ県内の国立
医科大の統合だった。