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『毎日新聞』2004年7月29日付 大学改革:留学生受け入れを2割増へ 兵庫教育大 兵庫教育大学(兵庫県社町)が国立大学法人になったのを機に、向こう6年 間で留学生の受け入れを2割増やす中期計画が文部科学省から認められた。こ れに合わせ学生の海外派遣や交流協定を結ぶ大学との人的交流も推進する予定 で、国際化に適応できる教員養成に向け成果が期待される。 文科省は今後5年間に留学生が3万人程度増員すると見込んでいるが、具体 的な数値目標を掲げる大学は少ない。兵教大は開学直後の82年から中国、韓 国を中心に留学生を受け入れ、今年度は私費留学生42人、国費留学生8人の 計50人が学んでいる。 兵教大は最近2年間、卒業者の教員就職率が60%台後半を維持、全国の教 育大学の中でトップを競っている。教員試験の面接では「教育をいかに熱く語 れるか」という点も基準の一つになっており、大学では留学生に接する機会を 増やすことが学生の資質向上につながり、教員試験にもプラスになると判断、 留学生増員計画を立てた。 留学生と共に学ぶ学生から「視野が広がった」という意見も寄せられている。 計画では6年間で年間の受け入れ数を10人程度増やすため、今年秋から関 西の他大学とともに、タイの地域総合大学との留学生交流プログラムに参加、 まず2人の短期留学生を受け入れる。来年秋に日本語・日本文化研修留学生を 受け入れるプログラム作りにも入っている。 このほか東京、大阪などで開かれる留学生フェアにも積極的に参加、今後は 開発途上国を中心に世界各地からの留学生を募集したい考えだ。 増員による目的のひとつである留学生と地域住民との交流も活発だ。地元の 社町は「産学住」一体の学園都市を掲げており、「やしろ国際交流協会」は留 学生を支援しようと、フレンドシップファミリーを設け、留学生が気軽に日本 文化に触れる手助けをするなど精神的な支えになっている。 学内の相談体制も充実させており、国際交流会館に留学生相談室を開設、教 員や学生チューターが細かな相談にのる。自転車のパンク修理をしたこともあ り、この話を聞いた地元の「社ライオンズクラブ」が今春、自転車10台と日 本文化に関する視聴覚ソフトを留学生にプレゼントし、喜ばれた。地域交流に も着実な成果が上がっている。 濱名外喜男副学長は「いろいろな地域や国の人が手を携えて全体的な教育力 のアップに結びつけたい。教育には時間がかかり、細々としたことでも持続が 大事。2割増が結果としてできたらいい」と話し、今後は一方的な受け入れだ けでなく、外国へ留学生を送り出す相互交流にも取り組むという。【平野幸夫】 |