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国立大法人化、非常勤講師にしわ寄せ 33大学で賃下げ


朝日新聞ニュース速報

 4月に法人化された際に非常勤講師の賃金を1割程度も減額した国立大学が、
全国89大学のうち11大学に上ることがわかった。1%前後の減額を合わせる
と、賃金を引き下げたり、年度内の引き下げを検討したりしている国立大は計3
3大学になる。国立大は法人化で経営の効率化を迫られており、そのしわ寄せが
弱い立場の非常勤講師にも及んでいるようだ。

 首都圏大学非常勤講師組合と関西圏大学非常勤講師組合の両労働組合が調べた。

 時間給を1割前後減らしたのは福岡教育大(最高ランク6900円→6000
円)▽大阪外語大(同6450円→5900円)▽大分大(同6200円→50
00円)▽浜松医科大(同6100円→5200円)▽岡山大(同6000円→
5500円)▽信州大(同5850円→5120円)▽静岡大(同5850円→
5300円)▽神戸大(同5800円→5200円)▽香川大(同5700円→
5000円)▽高知大(同5400円→5000円)▽富山医科薬科大(585
0円→5260円)。

 各大学は「周囲の大学を調べた結果、単価が少し高いとわかった」(福岡教育
大)、「講師や待遇を決めた時点では法人化後、人件費にあてられる予算がどの
程度あるかはっきりせず、額を抑えた」(神戸大)などと説明している。

 関西圏大学非常勤講師組合によると、非常勤の仕事だけで生活する講師(専業
非常勤講師)は全国で2万5000人前後。平均年齢は42.4歳、平均年収は
約287万円で専任教員の3分の1ほどにとどまっている。

 1%前後の賃下げは国家公務員の月給が昨秋、人事院勧告で平均1.1%引き
下げられたのに伴う措置。だが、非常勤講師の賃金がもともと少ないことを踏ま
え、非常勤講師に限っては賃下げしなかった国立大も多数あった。

 法人化前、国立大には国が非常勤職員手当を配っていた。だが、4月以降は国
からの交付金のうち、人件費部分は専任教員の定数をもとに計算されるようにな
った。非常勤講師分は含まれておらず、各大学は非常勤講師に対する賃金の工面
に頭を悩ませている。

 加えて交付金は05年度以降に毎年1%ずつ削られることになっており、国立
大はコスト削減を迫られている。賃下げの背景にはこうした実情があるようだ。

 同組合の担当者は「非常勤講師は立場が弱いので、賃金を削っても言うことを
聞くと大学側は踏んでいるのではないか。痛みを一方的に押しつけるのは許せな
い」としている。
[2004-07-27-10:03]