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新首都圏ネットワーク



he-forum 各位

既報の通り、労基署への告発にあたって「声明」を発表しましたので
お知らせします。

広島大学教職員組合書記局
書記次長 小笠原 亨
tel 082-422-7556
mail: toruoga@hiroshima-u.ac.jp

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声明:広島中央労働基準監督署への告発にあたって

平成16年7月13日

広島大学教職員組合執行委員長 佐藤清隆


本日(平成16年7月13日)私たちは、国立大学法人広島大学・
東広島事業場で行われている労使協定違反、および不払い労働を
根絶するために、国立大学法人広島大学を広島中央労働基準監督
署(以下、労基署)へ告発しました。これまで6月16日と6月
30日の2度にわたり、労使の話し合いで状況の改善を求めて来
ましたが、法人当局の施策に根本的な改善が見られず、また申入
れに対する回答に誠意が欠けているために、やむを得ずに告発す
る事態となりました。


1.なぜ告発するのか

私は東広島事業場の労働者の過半数を代表して、本年4月からの非公
務員型の国立大学法人広島大学の発足にあたって、東広島事業場の
職員の労働条件を規定する労使協定を、広島大学長との間で締結し
ました。その中で、教員を除く職員の一定の時間外・休日労働を認
めるとともに、厳しい限定をつけながら、特別時間外労働を設ける
ことをやむを得ず認めました。これは特別な場合に限定されること
を前提として、通常の時間外労働の限度を越える時間外労働につい
ての特別枠を設けるものです。

しかし4月の法人化後に、東広島事業場の多くの職場では、この特別
時間外労働の制限をオーバーする時間外労働が恒常的に野放しになっ
てきました。法人化後4ヶ月目になっても、この事態は根本的に変わっ
ていません。この事態を黙視することは、過半数代表者として許さ
れるものではありません。さらに基本的な問題は、法人当局が職員
の勤務時間の把握を怠っていることにあります。また労働基準法は、
時間外労働に対する割増賃金の支給を使用者側に義務付けています
が、本事業場においては(1)勤務時間の適正な把握が行われてお
らず、(2)使用者側の予算の範囲内に時間外労働の支払時間が制
限されているため、不払い労働が生じています。これらの違反はい
ずれも刑事罰(30万円以下の罰金、ないしは6ヶ月以下の禁固刑)
の対象となる重要な問題です。

ここに述べた労使協定違反と不払い労働を根絶するためには、労基
署の調査が不可欠と認識して、広島大学教職員組合は、広島中央労
働基準監督署に告発をいたします。


2.このままでは未来永劫、過重労働と不払い労働がつづく

私たちは広島大学が高度な教育研究を行い、その社会的な責任を果
たすために誠実に勤務しています。しかしその勤務条件は、労使協
定と労働基準法に則るべきであり、それらからの逸脱があってはな
りません。使用者の責任とは、「労使協定の範囲において働かせ、
働いた分の賃金は払う」ことに尽きます。事あるごとに「大学も民
間を見習わねば」とされている民間企業では、これが常識です。広
島大学が、このような社会的常識を逸脱していてよいのでしょうか?

仮に大学の運営上に必要な過重任務が生じ、なおかつ運営費交付金
を中心とする財政的保証に問題がある場合には、必要で最適な人事
配置と可能な限りの勤務の軽減化を図ることが求められます。まさ
に、そこにこそリーダーシップが問われるのです。しかし残念なが
ら本事業場では、正確な労働実態が把握されないままに、次から次
へと新しい仕事が上から降りてきて、「自分の仕事はきちんとやり
たい」という労働者の誠実さにつけ込んで、脱法的な過重勤務と不
払い労働が放置されているのです。職員の物理的な勤務能力以上の
仕事が押し付けられ、その上ただ働きをさせられている状態が続け
ば、職員は疲弊し、いずれは正常な勤務が妨げられ、広島大学の社
会的責任を果たせなくなります。

法人当局は、法人への移行期だけの、一時的な過重労働だといいま
すが、それは不払いの理由にはなりません。さらに来年度からは、
効率化係数により運営費交付金が減額され、いっそうの財政難とな
ります。今ここで事態を根本的に改善しなければ、現在以上の過重
労働と不払い労働が、未来永劫続く可能性があります。私たちは、
それを認めるわけにはいきません。

なお本学の他の事業場においても、同じような労働実態が放置され
ています。今後ともそれが改善されない限り、同様な告発を行わざ
るをえません。