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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』大阪夕刊 2004年6月1日付

大学非常勤講師:組合、再出発 合併で新組織設立――関西

 ◇低賃金、契約解除・・・泣き寝入りしない

 関西に二つあった大学非常勤講師の労働組合が今春合併し、「関西圏大学非
常勤講師組合」(新屋敷健・執行委員長、約100人)として再出発した。少
子化の影響で厳しさを増す大学経営のしわ寄せで、低賃金や突然の契約解除な
ど理不尽な待遇に泣かされている非常勤講師は多い。国立大学でも独立行政法
人化で非常勤講師の雇用の不安定化が懸念されており、「非常勤だからといっ
て泣き寝入りしないで」と呼び掛けている。

 母体は、95年結成の「京滋地区私立大学非常勤講師組合」と、99年結成
の「阪神圏大学非常勤講師労働組合」。それぞれ団体交渉や相談活動に当たる
一方、合同で勤務実態の調査などに取り組んできた。しかし、両地区の大学を
掛け持ちする講師が多い▽国立大の独法化の問題に一致して対応するため組織
強化が必要――などの事情から今年3月に合併した。

 私立大は、講義の4割を非常勤講師が担っているとされる。しかし大半の大
学で研究費補助がないなど、教授や助教授らとの待遇の格差が大きい。また、
昨夏の合同調査では、大学の教授職や弁護士などの本職がない非常勤講師の年
収は、平均287万円。5割近くは「授業数が減った」などの理由で契約を打
ち切られた経験があった。今春、ある私立大であった事例では、雇用契約を交
わした後の3月末、大学側から「学生が集まらなかった」として、授業時間削
減と給与減を告げられた。団体交渉で「契約不履行」と主張し、1年分の給与
保障を約束させた。

 内藤義博書記長は「不当な扱いには声をあげて権利を守るべき。非常勤講師
の待遇改善は、大学の教育力向上にもつながる」と話している。問い合わせは
ホームページ(http://www.hijokin.org/)。【宇城昇】