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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 123 (2004.06.09 Thu)
http://letter.ac-net.org/04/06/09-123.php
ログ http://letter.ac-net.org/log.php

━┫AcNet Letter 123 目次┣━━━━━━━━━ 2004.06.09 ━━━━

【1】都立大の危機 --- やさしいFAQ 緊急情報より
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html

【2】都立大の危機 FAQ 廃校 or 改革? 就任承諾書をめぐって
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-t.html#s-dasanai
T-3: 「それで本当に2004年6月17日までに就任承諾書が管理本部に
そろうんでしょうか?」

【3】衆議院文科委における小柴氏の総合科学技術会議批判
第159回国会 文部科学委員会 第22号 平成16年5月26日(水曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009615920040526022.htm

【4】ノーム・チョムスキー(鈴木主税訳)
「メディアコントロールーー正義なき民主主義と国際社会」抜書
集英社新書 ISBN 4-08-720190-2 (原著1991年 訳2003年4月)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0190-a/
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都立大学の方々が大きな困難な直面されているが、独立行政法人制
度の本質を純粋な形で体現した「首都大学東京」がそのまま実現さ
れてしまうかどうかは、大学の大半が独立行政法人化してしまった
日本(学校法人も今回の私立学校法改正により独立行政法人に近づ
いた)にあっては、大学関係者の大半に直接影響することである。

この困難は、戦場における困難と同質のものがあり、当事者の気質
や価値観や世界観や倫理観により多様な行動が生じるのは自然なこ
とだが、個人的利益を考えても、大学が結束し役所と交渉した方が
有利なことは自明である以上、囚人のジレンマの陥穽を何としても
避けていただきたい、と祈るばかりである。(編集人)


━ AcNet Letter 123 【1】━━━━━━━━━━ 2004.06.09 ━━━━━━

都立大の危機 --- やさしいFAQ 緊急情報より
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html
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◎ 2004年6月7日: 都立大学・短期大学組合が 「就任承諾書」「意
思確認書」提出にあたっての5項目の要求
(http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0607.pdf)を発表。 T-1, T-2

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◎ 2004年6月8日:「世界」(7月号)発売。準特集「私たちはなぜ
『首都大学東京』にNOと言うのか」

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◎ 2004年6月11日(金)に都議会文教委員会が13時から開かれます。
大学管理本部がいったいどのような答弁をするのか見守る必要があ
ります。 12時から傍聴券が先着順で配られます。時間の許す方は是
非傍聴を。 東京都議会のページは
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/。

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◎ 2004年6月5日:都立大学・短期大学組合の(傾斜配分に関わる)
公開質問状(5/10)(http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0510.pdf)に
対して5月27日付で文書による「回答」があったことが公表された。
高橋理事長予定者宛の公開質問状だったが,経営準備室事務局,大
学管理本部管 理部の泉水 一氏からの「回答」となっており,高橋
理事長予定者からの回答では ない。しかもその内容は極めて場当た
り的で呆れ果てた内容。詳しくは, 都立大学・短期大学組合の 形
式、内容ともに不誠実な回答に抗議する: 5・10公開質問への「回
答」とその批判(「手から手へ」第2287号
http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0604.pdf)を参照。

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◎ 2004年6月5日:昨日の緊急4大学教員集会(18:06〜21:07)は,
学会シーズンに もかかわらず参加者120名〜200名で,議論白熱する
場面も。各組織からの現状報告に加え, 就任承諾書の実体が紹介さ
れる。助手有志からは新たな声明(*1)が発表され, 「就任承諾書
(助手に対しては「意思確認書」)提出の前提となる諸条件を 明確
にすることを強く求める」という決議(*2)を若干の修正を含んで採
択。
*1 http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/joshu060704.html
*2 http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kinkyu4dai-ketsugi060404.html

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◎2004年6月3日:「開かれた大学改革を求める会」ニュース第7号
(http://www.geocities.jp/hirakareta_daigakukaikaku/news7.pdf)
緊急発行。6月3日人文学部臨時 教授会では,(1) 新大学における大
学院の構成, (2) 教員の身分・労働条件が明示されない限り就任承
諾書を提出しないことを決定。

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◎ 2004年6月8日発売予定の岩波書店『世界』728号(2004年7月号)
に準特集「私たちはなぜ『首都大学東京』にNOと言うのか」が組ま
れる。

・川合 康「都立新大学問題?何が起こっているのか 開かれた大
学改革を求めて」(P.200-208)

・ アラン・ジュフロア起草 西川直子訳・解説 「[フランス発] 
東京都知事への要望書」(P.218-222)

・ 経済学グループ  浅野皙・神林龍・戸田裕之・村上直樹・脇
田成 「都立新大学構想の評価と経済学者たちの選択」(P.209-217)

・ 東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程1年 吉田達也
「読者談話室:大学は独立心を忘れたのか」(P.18)

◎ 2004年6月1日: 緊急4大学教員集会の 呼びかけメッセージ
(pdf)が公表されました。 6月4日の緊急4大学教員集会では,学生
や院生の参加も呼びかけています。


━ AcNet Letter 123 【2】━━━━━━━━━━ 2004.06.09 ━━

都立大の危機 FAQ 廃校 or 改革? 就任承諾書をめぐって
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-t.html#s-dasanai
T-3: 「それで本当に2004年6月17日までに就任承諾書が管理本部に
そろうんでしょうか?」
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ポーカス博士

先日の4大学緊急教員会議で出た話しによると、科技大ではあの時
点で様式3の書類作りに追われている教員が不平をもらしていたと
いうことだから、科技大では様式3に関しては少なくとも期限内に
提出されそうだ。保科大と短大は,少人数だということもあり,ほ
とんど学長や学部長の目の前で書類を書かされたりするという噂も
あるので,間違いなく書類は完成するじゃろう。問題は、都立大じゃ
が,6月10日の設置審の結果待ちという話も出ている。この日の設置
審では5月28日のヒアリングの結果が報告され,その後の審議のおよ
その方向が決定づけられると言われているからな。6月14日の教学準
備会議で,大学院問題がどのように扱われるかというのも大きなポ
イントだ。たとえ人文学部教授会が2つの条件(大学院問題と雇用・
身分保障の問題),さらに4大学緊急教員集会の議決にあった助手
再配置問題の条件がつきつけられても,それで大学管理本部が具体
的に回答するとは考えられない。さて,どうなるか?

ここからは,まったくわしの個人的予想なので信用しないで欲しい,
ただの個人的 speculation だ。2004年6月17日までに集まる都立大
からの就任承諾書は半数に満たないだろう。工学部や理学部では,
就任承諾書を出す出さないは個人の資格で考えるという意見が支配
的なので,個人として出す教員が出てくるはずだ。6月17日というの
は,あくまで大学管理本部が設定した日付なので,実際には7月のあ
る日が最終締め切りのはずだ。ということは,意思確認書の時にあっ
たように,管理本部から学長予定者,理事長予定者、管理本部長名
でまたまたなんらかの催促の文書が出てくるに違いない。あのおぞ
ましい役人の世界の文書がまた回ってくるのかと思うと,ぞっとす
る。

「首大」構想に基本的に賛成している都立大執行部の一部の人間は,
今回の就任承諾書では,「教員の身分・雇用に関わる問題は関係な
いから」,「とにかく文部科学省に書類を提出することが重要だ」
と圧力をかけてくるだろう。実際に,教員の身分・雇用に関わる部
分は,法人への就任承諾書で初めて明示されるはずなので,今後の
定款の決定とも絡むから,もう少し先に決めても良いと考える人達
がいる。しかし,それは罠だ。 ここで就任承諾書を出しておいて,
法人への就任承諾書を拒むことは,かなり法的に見て微妙なのだ。
意思確認書の時のように,書類そのものが法的な根拠のなかった場
合とは違うのだ。今回の就任承諾書は正式な法的な手続きにのっとっ
た書類だ。今はとりあえず出しておいて,法人への就任承諾書の時
に考えればよい,という問題ではない,とわしは考える。


━ AcNet Letter 123 【3】━━━━━━ 2004.06.09 ━━━━━━

衆議院文科委における小柴氏の総合科学技術会議批判
第159回国会 文部科学委員会 第22号 平成16年5月26日(水曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009615920040526022.htm
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○・・・加藤(紘)委員 どんなことでも、世の中のことは政治家
が最終的には責任をとらなきゃならぬのだと思います。ただ、なか
なか我々にも、目ききとしての能力は欠けているものですし、基礎
学力もない。そうなると、じゃ、実質的に日本の科学技術研究の最
後の責任者はだれなのだと。

・・・・・・日本では総合科学技術会議ということになるんです。
今、実際は、会議の座長は総理大臣ですから、一カ月に一遍かそこ
いら会議が開かれて小泉さんが全部見ているわけにはいかない。そ
うすると、その中の四人の常任の委員さんがおられる、その人たち
なのかなと。

僕は、形として言えば、それぞれの四人の方が学長をされた方とか、
全部専門家ですから、その方が最終的には我々にかわって物を考え
て提案していただいて、そして最後に我々がそれでいいですねと、
総理も我々政治の人間も言うという形にはなっているんだけれども、
それが機能しているかねというテーマもあるんだと思います。どう
ぞ。

○小柴参考人 今加藤議員の言われたことは、私もふだんから感じ
ております。非常に大事な問題だと思うんです。

それは、今加藤さんが言われた、四人の専門委員がおられて、その
方が判断を下すということになっているわけですけれども、実は私、
昨年そのことにちょっと関係したことがございまして、痛切に感じ
ましたことは、私、きょうぜひ議員の皆さんに申し上げて、考えて
いただきたいんです。

これは、私が生涯にわたって長という名前のつく職について管理職
手当をもらったことがないから言っているんじゃありません。それ
とは別に、学長とかなんとかの長になって管理職として立派な業績
を上げた先生方が、例えば医学部の先生だった、あるいは何学部の
先生だったからといって、その分野の学問でちゃんとした判断がで
きるという保証は何もないんです。しかし、今までの歴史を見ます
と、各省のお役人がそういう大事な委員として推薦する場合に、結
局は、学長職をどれだけやったかとか、そういうことが判断の基準
になって推薦されているわけです。

私が申し上げたいのは、その専門委員というのは、例えば四人いて、
四つの分野において本当にその分野の研究を評価し判断のできる、
そのことで一番日本の中で信頼できる人になっていただきたい、こ
ういうふうに思うんです。ですから、それは必ずしも学長さんの中
にいるとは限りません。

申し上げたいことは、科学技術総合会議という名前で呼ばれている
会ですけれども、二、三年前の尾身大臣のころに策定された、科学
技術のこれからの基本的に重要なことというので選ばれたのは、例
えばナノテクノロジーとかバイオテクノロジーとか、全部が技術に
直結して利益を生み出しそうな科学、そういうのだけ選ばれたんで
すね。私、ある折があって尾身さんにそのことをポイントアウトし
たんですけれども。実は、そういう技術に直結した科学の研究とい
うことは、その分野にちょっと足を置いた人間ならば、この研究は、
やれば、二、三年後にこのくらいの成果が得られて、このくらいの
利益になるということは判断できるんです。

問題はどこにあるかというと、五十年、百年たってもどういう結果
になるかだれも予測は絶対にできない、そういう基礎科学をだれが
判断して、どういうふうにプロジェクトを選んでいくか、これは本
当に難しいんです。だからこそ、だれがやっても一〇〇%正確な答
えが出ないんだったらば、一番当たりのいい人に勘を働かせてもら
う、これ以外にないんですよ。

では、一番勘の働きが当たるような人というのはどういう人かとい
えば、その分野でちゃんとした実績を上げて国際的にも評価された、
その人に、本気でこの問題を考えてくださいよ、本気で考えて考え
て考え抜いたあげくのヤマカンというのは当たりがよくなるんです。
それは、申し上げられると思います。


━ AcNet Letter 123 【4】━━━━━ 2004.06.09 ━━━━━━

ノーム・チョムスキー(鈴木主税訳)
「メディアコントロールーー正義なき民主主義と国際社会」
集英社新書 ISBN 4-08-720190-2 (原著1991年 訳2003年4月)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0190-a/
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087201902/
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「・・・民主主義社会のもう一つの概念は、一般の人々を彼ら自身
の問題に決してかかわらせてはならず、情報へのアクセスは一部の
人間のあいだだけで厳重に管理しておかなければならないとするも
のだ。
そんな民主主義社会の概念があるかと思われるかもしれないが、
実のところ、優勢なのはこちらのほうだと理解しておくべきだろう。
・・・・・・」

「1916年に、ウッドロー・ウィルソンは「勝利なき平和」を綱領に
掲げて大統領に再選された。第一次世界大戦さなかのことである。
世論は平和主義一色で、ヨーロッパの戦争にアメリカがかかわるい
われはないとされていた。

しかし実際には、ウィルソン政権は戦争に関与していったので、何
らかの措置を講じる必要が生じた。政府主導の宣伝委員会ーーいわ
ゆる「クリール委員会」ーーが設立され、半年足らずでみごとに平
和主義の世論をヒステリックな戦争賛成論に転換させた。

・・・・彼等の目的は、当時の極秘審議録に書かれているように、
「世論の動向を操作する」ことにほかならなかった。

だが、それよりも肝心なのは、彼らがアメリカ社会の知識階層の考
えを操作しようとしたことだ。そうすれば、その連中がイギリスに
よってでっちあげられた宣伝を広め、平和主義の国を好戦的なヒス
テリー集団に変えてくれる。

その思惑は当った。みごとに当った。そして、これが一つの教訓と
なったのである。国家による組織的宣伝は、それが教育ある人々に
支持されて、反論し難くなったら、非常に大きな効果を生む。この
教訓は、のちにヒトラーをはじめとして多くのものが学び、今日に
いたるまで踏襲されてきている。」

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