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秋田大学での任期制の問題について、組合のニュースです。 任期制について訴える! 現在、秋田大学では、以下の職について任期制が適用されています。 ○評価センター:助教授:任期4年:再任可。再任一回限り。 ○教育文化学部ドイツ語担当:助教授又は講師:任期3年:再任可。再任1回限り。 ○ベンチャービジネスラボラトリー:教授又は助教授:任期5年:再任可。 上記二つについては、この4月1日から適用されており、最後のものはこれから採用がな されるようです。 組合では、これまでも一貫して任期制の安易な適用に反対してきました。就業規則や、 中期計画への意見の中でも、「任期制を安易に拡大せず、臨時的分野、プロジェクト的分 野に限定し、本人の自発的な同意を条件として、有形・無形の圧力をかけない。」ことを 要求しています。政府側は、研究者の流動化を進めることが研究の進展につながるとの見 解をとっています。組合として、任期制をすべて否定するものではありませんが、以下の ような点は見逃せません。 ○身分の不安定化は、研究者の生活権を脅かす。 ○病気等の際の救済がなくなり、育児、介護等が不利益となる。 ○安定的な身分を求めて、人材が流出する。 ○短期的に成果の出る研究が優先され、基礎的、長期的な研究が阻害される。 また、「大学の教員等の任期に関する法律」では、国公立、私立を問わず、次の各号の いずれかに該当するときに限り、任期を定めることができるとしています。 ○先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる 教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究 組織の職に就けるとき。 ○助手の職で自ら研究目標を定めて行うことをその職務の主たる内容とするものに就ける とき ○大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けると き。 助手であるから、若手研究者であるから身分が不安定でいいという道理はありませんので、 2番目のような任期制の助手への適用には反対します。それを除けば、1番目、3番目に あるように、任期制を適用できるのは、「先端的、学際的、総合的な教育研究」と、「期 間を定めた教育研究」だけです。 秋田大学についてみれば、評価センターは、評価に関する研究を行うのであって、1番 目にも3番目にも該当しないと見るのが普通でしょう。評価の対象は、人文科学、自然科 学など総合的かもしれませんが、評価研究自体は総合的でも、先端的、学際的であるわけ でもありません。ベンチャービジネスラボラトリーも同じ範疇でしょう。 さらに、ドイツ語担当にいたっては、1番目、3番目には全く該当しません。現にドイ ツ語教育を担当する日本人教員には任期制が適用されていないのですから、当然です。考 えられることは、ドイツ人だからということですが、外国人であることを理由にして差別 的な扱いをすることは認められないはずです。国立大学の場合には、国家公務員であるこ とから、外国人教員の3年任期が課せられていたのに対し、法人化後、この規制は撤廃さ れました。この点からも、外国人であることを理由とした差別は許されません。 また、ドイツ語教育担当教員に任期制が適用されることにより、他の日本人外国語教育 担当教員や、他の一般の教員にも適用される危険性が高まることも見逃せません。今は、 一部の教員に適用されているだけだということで、ほとんどの教員は傍観視していますが、 決して他人事ではないのです。 秋大ネットで既報していますが、京都大学での再任拒否事件で、京都地裁は今年3月31 日の判決で、再任を拒否された教授の訴えを退けています。任期が切れた時点で身分を失 ったのであり、再任するかどうかは、使用者側の全くの任意だとされたのです。新採用の 時、業績があっても採用されない場合があるのと同様に、再任審査の時も、どれだけ業績 があろうと、使用者側には再任の義務はなく、使用者の裁量に委ねられるとされたのです。 それ故、現在の任期制に関して組合として以下の項目を要求します。 ○任期制の安易な拡大をこれ以上行わないこと。 ○現在、任期制が適用されている職について、任期制の可否を検討し、再任の回数制限を 撤廃したり、一般教員と同様の身分としていくこと。 ○任期制が適用される職について、任期が終了する時点で、審査等により、一般の身分に 移行できる手続きを整備すること。 ○再任等の際における不服申し立ての手続き、機関を設け、公正な審査ができるような体 制を整えること。 ○外国人であること等を理由とした差別をやめること。 ○教員の選考手続きを明確にし、学部等の関連分野教員の参加を確保すること。 ************* 佐藤修司(Shuji SATO) 秋田大学教育文化学部 010-8502 秋田市手形学園町1-1 ssato@ipc.akita-u.ac.jp TEL/FAX 018-889-2541 ************* |