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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 116 (2004.05.26 Wed)
http://letter.ac-net.org/04/05/26-116.php
ログ http://letter.ac-net.org/log.php

━┫AcNet Letter 116 目次┣━━━━━━━━━ 2004.05.26 ━━━

【1】 センター入試出題者氏名公表問題についての緊急声明
5月25日現在、61大学の132名が賛同
http://ac-net.org/appeal/6

【2】都立大の危機 FAQ 廃校 or 改革? ★緊急情報★ より
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html

【3】再任拒否の処分性を認めた韓国大法院の判決
#(神戸大学大学院法学研究科の阿部泰隆教授が解説。
京大井上教授再任拒否事件にも言及。)
http://ac-net.org/dgh/blog/archives/000600.html

【4】Publicity 927 2004.5.23 より
静かなジェノサイド〜イラク侵略背景(その2) から
http://www.emaga.com/bn/?2004050063296899015235.7777

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#(民主主義は両刃の剣であり、極めて危険な制度でもあることは、
ヒットラーが選挙で権力を掌握したことで良く知られていることだ
が、先月、日本で起きたバッシング事件から、多くの人がそれを再
認識したように思える。民主主義の危険性を制御できるのは教育以
外にはない。構成員の大多数が、自分に目覚め、自分自身の価値観
とモラルを形成し、多様な生き方と価値観と考えかたが豊かに共存
する社会でない限り、自分のない人々を操作し動員する天才的能力
だけがある人が権力を掌握する危険性に対し民主主義は無防備であ
る。日本では半世紀にわたり、財界や産業界が初等中等教育に恒常
的に働きかけ、余り強い自我を育てさせず、政治への関心をもたせ
ず、黙々と仕事をこなす人に育てることを理想するような教育シス
テムを構築してきた。しかし、皮肉なことに、このような教育は、
財界や産業界にとってもきわめて危険な社会を形成してしまったと
いえる。成長した危険性に対し、小手先の対処法は効かない。一人
一人が自分を見出し、そこを基盤に歩み始めることを励ますような
教育が広がっていく他に道はない。初等中等教育の現場では、そう
いう努力が広汎に行われているが、それは奨励されず、正反対の方
向に「教育改革」は進んでいる。教育行政に責任のある人たちは、
民主主義のもつ底なしの危険性について、もう少し目を向けるべき
ではなかろうか。)


━ AcNet Letter 116 【1】━━━━━━━ 2004.05.26 ━━

センター入試出題者氏名公表問題についての緊急声明
5月25日現在、61大学の132名が賛同
http://ac-net.org/appeal/6

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賛同者所属機関名:東京大学(11名),新潟大学(7名),北海道大学
(6名),東北大学(6名),神戸大学(5名),愛知県立大学(5名),山形
大学(5名),岩手大学(4名),岡山大学(4名),筑波大学(3名),滋賀
県立大学(3名),千葉大学(3名),岐阜大学(3名),東京都立大学
(4名),金沢大学(2名),大阪大学(2名),広島大学(2名),島根大学
(2名),名古屋市立大学(2名),京都大学(2名),三重大学(2名),九
州大学(2名),東京海洋大学(2名),福島大学(2名),大分大学(2名),
愛知教育大学(2名),弘前大学(2名),琉球大学(2名),佐賀大学
(2名),名古屋大学(2名),神戸学院大学(1名),北海道教育大学
(1名),埼玉学園大学(1名),横浜市立大学(1名),大阪市立大学
(1名),名城大学(1名),詫間電波高専(1名),高知大学(1名),県立
広島女子大学(1名),山口大学(1名),山梨大学(1名),南山大学(1
名),和歌山大学(1名),東京外国語大学(1名),四国学院大学(1名),
早稲田大学(1名),富山大学(1名),立命館大学(1名),宮崎大学(1
名),名古屋工業大学(1名),東京工業大学(1名),京都教育大学
(1名),大阪教育大学(1名),札幌学院大学(1名),奈良教育大学
(1名),大学非常勤講師(1名),日本大学(1名),北陸大学(1名),群
馬大学(1名),大阪外国語大学(1名),小樽商科大学(1名)

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メッセージ紹介:
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【1-1】 2004.05.25 (Tue)センター試験の問題は、教科専門委
員会(いわゆる出題委員)だけで作成されるのではありません。教
科専門委員会が提示した問題案について、高校側委員会や有識者委
員会などが素材から表現、出題内容までを細部に渡ってチェックし、
教科専門委員会はそれらの意見を問題作成に反映させるという作業
を何度も繰り返します。したがって、センター試験の問題について
は、個人の委員や個々の委員会が責任を問われるべきものではなく、
最終的にセンターが全責任を負うべきものです。はたして、そのこ
とをセンターはちゃんと説明したのでしょうか。もし、そうした説
明がなされた上で、出題委員の氏名公表を要求しているのであれば、
それは単なる嫌がらせであって、センターはそれを実施すべきでな
いと考えます。もし、情報公開上必要だと判断せざるをえない事態
が生じた場合には、教科専門委員だけでなくセンター試験の問題作
成に関わった全委員の氏名を公表すべきであり、教科専門委員のみ
を公表することは制度的にも誤った方法であり、センターへの批判
を教科専門委員へとすり替えようという悪意に満ちた方策であると
言わざるをえません。(県立広島女子大学/国際文化学部)

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【1-2】 2004.05.24 (Mon) 氏名公表は、大学入試の中立性を喪
失させるばかりでなく、日本の教育研究を誤った方向へ導くことに
もなります。絶対反対です。(高知大学/教育学部)

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【1-3】 2004.05.24 (Mon) 「出題を引き受ける人が皆無になる」
というよりも、「名前を公表されても大丈夫」な出題をしようとする
人しかいなくなることが、怖いことです。(都立大学/人文学部)

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【1-4】 2004.05.24 (Mon) センター試験は、当初から内容の点
でも問題があったのですが、出題者の氏名公表ということになれば、
ある思想信条を持った人達だけが出題を担当するという大問題を引
き起こす事になるのは間違いありません。それが、教科書選定に影
響を及ぼし、高校生の思想に大きく影響し、社会にはね返ってくる、
そんなことをあの人達は狙っているのでしょう。色々なリスクを避
けるため各大学の個別入試でも出題者は公表しないのに、センター
試験の出題者を公表しろとは、問題の傾向を教えろと言っているの
と同じであることをわからないのでしょうか。
(神戸大学/国際文化学部)


━ AcNet Letter 116 【2】━━━━━━ 2004.05.26 ━━━

都立大の危機 FAQ 廃校 or 改革? ★緊急情報★ より
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html

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◎ 2004年5月25日,朝日新聞社説「■都立大統合――現場の声をよ
く聞いて」が掲載される。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

◎ 2004年5月28日(金),都議会文教委員会開催。(1) 法人評価委
員会条例案,(2) 入学考査料・入学金条例案が議題にあり,資料配
布と理事者説明が予定されている。2004年6月10日(木)の文教委員
会では,「大学改革」関連の請願陳情審査1件が扱われる予定。

◎ 2004年5月20日,首都大学東京各学部長・研究科長宛に「就任承
諾書等の提出について」という西澤潤一教学準備会議座長からの文
書が配布される。教員の氏名等を記載した書類(様式第3号)は,6
月4日中間まとめ,6月17日最終まとめ。ついに来ます。就任承
諾書の提出期限は6月17日(木)。

◎ 2004年5月20日,毎日新聞(朝刊,都内,東京ワイド)に5段抜
き記事「来春開学目指す『首都大学東京』 教員側との溝深く:7月
末認可予断許さず」。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/news/20040520ddlk13040215000c.html

毎日新聞(朝刊,<事件 話題 暮らし>)に「賛否で研究費を配
分:首都大学東京経営準備室 教員が『差別』と反発」。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20040520k0000m040154000c.html

◎ 2004年5月20日発売,ブックレット『都立大学はどうなる』は都
立大生協書籍部にも入荷。生協を入ってすぐ右側のカウンターの上
に平積みになっています。花伝社の紹介のページ:
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~kadensha/shinkan/200405_toritudai.html


━ AcNet Letter 116 【3】━━━━━━ 2004.05.26 ━━━

再任拒否の処分性を認めた韓国大法院の判決

#(神戸大学大学院法学研究科の阿部泰隆教授が解説。京大井上教授
再任拒否事件にも言及。)
全文:http://ac-net.org/dgh/blog/archives/000600.html
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韓国大法院2004年4月22日宣告トウ7735 教員再任用拒
否処分取消

主文:原審判決を破棄し、事件をソウル高等裁判所に差し戻す

・・・・・・・・・

大法院判決が、任期制にもかかわらず、再任拒否を処分と認めた理
由は、大学の自律性、教員地位法定主義に関する憲法規定等に照ら
し、学問研究の主体である大学教員の身分は、任期制で任用された
教員といえども、一定の範囲内で保障される必要があるという点に
あり、学問の自由を害しないことは明らかとする京都地裁判決との
違いに愕然とする。

また、この判決は、再任用の義務や手続及び要件に何ら規定がなく
ても、教育部長官は人事管理指針を示していること、これまでの再
任用に関する実態などを理由に、再任用について、「合理的な基準
による公正な審査を受けその基準に適合すれば特別の事情がないか
ぎり再任用されるとの期待を持って再任用いかんについて合理的な
基準による公正な審査を要求すべき法規上又は条理上の申請権をも
つものとすべきであり、」「任期満了の通知は・・・処分に該当す
る」という。これは、法規がなくても、条理上の申請権があるとか、
合理的な基準による公正な審査を要求するということで、まさに私
見とも一致する。

京都地裁は、再任審査基準が内部基準であり、職務上の基準にすぎ
ないとするが、これはおそらくは、憲法は眼中になく、実定法の条
文だけ見るいわゆる制定法準拠主義の発想であり、法治国家の考え
方を逆用して、法律が不備な場合には一切救済しないという放置国
家に陥っているものである。しかし、法律が不備な場合には、憲法
に遡って考えるのが法律解釈学の常道である。そうすると、法律が
不備なら、その法律が憲法に適合するように解釈するとか、憲法に
適合するようにしないと違憲との解釈(韓国の憲法不合致判決)を
行い、行政訴訟の対象となるように、「処分性」を認めるべきこと
になる。韓国の判例はこのような常識的な法解釈手法をとっている
のである。京都地裁の判決は、法解釈の基本を知らないものである。

二  再任基準と救済などを求めた韓国憲法裁判所の違憲判決

(略)

三 違憲判決後の再任ルールの設定

(略)

━ AcNet Letter 116 【4】━━━━━━━ 2004.05.26 ━━━

Publicity 927 2004.5.23 より
静かなジェノサイド〜イラク侵略背景(その2) から
http://www.emaga.com/bn/?2004050063296899015235.7777
登録申込:http://www.emaga.com/info/7777.html

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#(益岡賢氏「イラク侵略背景」2004.4.24
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/iraqintro.html
より 1991年からのイラク経済封鎖についての記述:)

「・・・表は、五歳未満と五一歳以上のイラク人について、一九八
九年九月と二〇〇一年九月の死者数を対比したものである。

----------------------------------------------
死因      1989年9月 2001年9月

5歳未満
 下痢        123人   2932人
 肺炎         96人   1594人
 栄養失調       67人   2354人

51歳以上
 下痢        106人    638人
 肺炎         73人    557人
 栄養失調      260人   1701人
----------------------------------------------
出典:Simons, G. (2002) Targeting Iraq. London: Saqi.

・・・・・・

経済封鎖に抗議して一九九八年に国連イラク人道調整官の職を
辞任したデニス・ハリデーは、この経済封鎖について、次のよ
うに述べている:

「私が実施を指示された政策は、ジェノサイドの定義に合致す
るようなものでした。ゆうに一〇〇万人を超す人々---子供も
大人も---を実質的に殺害してきた、意図的な政策なのです。

私たちはみな、経済封鎖の代償を払っているのがイラクの政権---
サダム・フセイン---ではないことを知っています。逆に、彼
の権力は強化されたのです。きれいな水がないために子供を失
ったり両親を失ったりしているのは、普通の人々です。

国連安保理が、現在、制御不能状態にあることは明らかです。
安保理の行動は、国連憲章に反し、人権宣言に違反し、ジュネ
ーブ条約を犯しているのです。歴史が、責任者たちを裁くでし
ょう」

湾岸戦争後、二〇〇三年のイラク侵略が開始されるまで、イラ
クの人々に、静かなジェノサイドが加えられていた。


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