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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』2004年5月20日付


首都大学東京:研究費配分を経営準備室が左右 教員が反発

 東京都が都立4大学を統廃合して来年4月開学を目指している「首都大学東
京」を巡って、4大学の教員に配分する今年度の研究費を新法人の経営準備室
が、教員の新大学への賛否によって制限していたことが分かった。まだ実体の
ない新大学経営陣が現大学の予算配分を新体制への協力姿勢で決めることにつ
いて、教員の間から「越権行為による差別だ」と反発する声が上がっている。

 都の大学管理本部によると、従来は都立大、科学技術大、保健科学大、都立
短大の大学ごとに研究費が配分されていたが、今年度は都が一括して管理し、
研究費の半分近い3億5000万円を応募による「傾斜的配分研究費」にする
ことにした。これを受け、新大学の経営準備室は4月23日、4大学の総長・
学長に「新大学の教員に就任を予定していない者は応募できない。ただし、新
大学発足前の定年退職予定者でも新大学の発展に寄与する意思がある者は応募
できる」などと室長名で通知した。

 これに対し、教職員組合は「現大学の研究費なのに無関係であるはずの準備
室が決めるのは、つじつまが合わない」「新大学への賛否という『思想』で教
員を差別するものだ」と反発。都立大の一部教員からは、文部科学省の大学設
置認可に必要な新大学教員への「就任承諾書」の提出を見送ろうとする動きも
出ている。

 都の大学管理本部は「新大学の経営準備室メンバーは全員、現大学の研究費
配分検討委員会の委員も兼任している。室長名ではなく、配分委員長の名で通
知を出すべきだった。傾斜配分は新大学の予算配分の試行である」と釈明した
うえで、「反対する人は外部から評価されることをいやがっているのではない
か」と教員側を批判している。【奥村隆】