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『静岡新聞』2004年5月12日付

国立大半数が数値目標 教育・研究・運営の指針原案 静岡大「特許倍増」

 文部科学省の国立大学法人評価委員会は十一日、四月から法人化した国立大
八十九校が提出した今後六年間の教育・研究と運営の指針「中期目標・中期計
画」の原案を了承した。

 昨年秋に提出した素案段階に比べ、特許取得数や公開授業の時間数などの数
値目標を書き込んだ大学が三十七校増え、目標の達成時期を追加した大学も三
十二校に上った。この結果、最終的に数値目標や達成時期を明記した大学は、
それぞれほぼ半数に達した。

 河村建夫文部科学相は週内にも正式な中期目標として決定。各国立大はこれ
に基づき、二○○九年度までの六年間、運営に努め、達成状況に対する国の評
価を受ける。評価は国からの運営費交付金額に反映される。

 昨年秋の素案は抽象的な内容が多く、数値目標を盛り込んだのは一部だった。
これに対し評価委が一月、具体的な記述を増やすよう再検討を要請。八十九校
中八十五校が修正に応じ、学内手続きを経て提出した。時間の制約もあって大
幅な計画変更をした大学はなかった。

 数値目標は「特許取得数を中期目標期間中に倍増」と明示した静岡大など、
新たに三十七校が盛り込んだ。達成時期を明記したのは三十二校。

 これらとは別に「学内英語統一テストなどで全学的な学習到達度の基準を設
定」(横浜国立大)など七十二校が具体的な記述を追加した。(共同)

浜医大ほぼ素案通り

 文部科学省の国立大学法人評価委員会が十一日了承した八十九校の「中期目
標・中期計画」の原案のうち県内大学分をみると、静岡大は素案段階に比べて
目標を達成するための施策の実施時期や内容を明確に示し、数値目標を掲げる
など、より具体性を持たせた。浜松医大は素案と大きく変わらない内容。両大
学の資金計画なども公表された。

 静岡大は、教養教育カリキュラムの全面改定や高校教育を補完する授業科目
の開講、現行の成績評価法の改正などの時期を「平成十八年度から」と明示。
素案で「多様な方法により学生の意見を集約」となっている部分は「オピニオ
ンボックスや学生モニター制度を活用して学生のニーズを把握」と改めた。

 数値目標では、「(十六年度二十五件の)特許取得数を中期目標期間中に倍
増を目指す」と掲げた。知的財産本部を中心とした取り組みで、特許は外部資
金獲得にも関係するため、積極性を示している。

 このほか、教育活動や研究活動の評価と改善、広報活動などに力を入れるこ
とを、より明確に打ち出しているのが目立つ。六年間の資金計画によると、収
入は国からの運営費交付金が六百三十四億円、授業料や入学検定料が三百六十
八億円、支出は人件費七百三十二億円など。教員の雇用方針では任期制、公募
制の積極的活用を掲げている。

 浜松医大の中期目標・中期計画は、ほぼ素案通り。具体的な数値目標はほと
んど盛り込んでいない。既に同計画に沿い、学生の問題解決能力を養う「チュー
トリアル教育」を医学科に導入している。

 今回の公表で明らかになった同大の平成十六年度の予算規模は百七十四億円。
収入は、国からの運営費交付金が五十二億円、病院収入が百八億円、授業料や
入学検定料収入が六億円など。

 支出は人件費八十三億円、診療にかかる薬品や施設稼働費などを含めた物件
費が七十三億円、借入金償還経費十一億円など。付属病院の収支は単年度で約
一億四千万円の黒字を見込む。