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新首都圏ネットワーク


共同通信配信記事詳報 2004年5月11日付

国立大半数が数値目標明記
6年間の中期計画で

 文部科学省の国立大学法人評価委員会は11日、4月から法人化した国立大
89校が提出した今後6年間の教育・研究と運営の指針「中期目標・中期計画」
の原案を了承した。

 昨年秋に提出した素案段階に比べ、特許取得数や公開授業の時間数などの数
値目標を書き込んだ大学が37校増え、目標の達成時期を追加した大学も32
校に上った。この結果、最終的に数値目標や達成時期を明記した大学は、それ
ぞれほぼ半数に達した。

 河村建夫文部科学相は週内にも正式な中期目標として決定。各国立大はこれ
に基づき、2009年度までの6年間、運営に努め、達成状況に対する国の評
価を受ける。評価は国からの運営費交付金額に反映される。

 昨年秋の素案は抽象的な内容が多く、数値目標を盛り込んだのは一部だった。
これに対し評価委が1月、具体的な記述を増やすよう再検討を要請。89校中
85校が修正に応じ、学内手続きを経て提出した。時間の制約もあって大幅な
計画変更をした大学はなかった。

 ▽各国立大が今回の原案で新たに加えた数値目標や特色ある計画は次の通り。

 ▽大学院で2005年度から優秀な成績を収めた学生の表彰制度創設(北見工業大)

 ▽女性の採用・登用を拡大、教職員の20%になるよう努力(岩手大)

 ▽卒業生の大学評価と、卒業生に対する社会の評価の調査を継続的に実施(秋田大)

 ▽1年間で5件以上の学部横断的プロジェクト研究を目指す(山形大)

 ▽医師国家試験で合格率90%以上を維持(筑波大)

 ▽地域との多様な連携を60件以上実施(東京農工大)

 ▽学習到達度の指標として、学内英語統一テストなど全学的基準を設定、活用(横浜国立大)

 ▽学生サービス向上のためトイレの自動洗浄化などを計画的に実施(長岡技術科学大)

 ▽特許取得数拡大を目指す。本年度25件、中期目標期間中に倍増(静岡大)

 ▽全教員の個人評価を試行し、06年度から実施(名古屋工業大)

 ▽全授業の2分の1以上を公開授業として地域住民に提供する(高岡短大)

 ▽非常勤講師依存率を法人化前の50%をめどに減少。石川県や金沢の地域
性を生かした日本文化体験型の教育プログラムの充実(金沢大)

 ▽留学生受け入れを2割増加(兵庫教育大)

 ▽3次被ばく医療機関としての機能を整備(広島大)

 ▽卒業研究は原則として一般に公開、社会的評価を受ける。南海大震災を想
定、自治体などと防災の準備を整える(高知大)

 ▽司法試験で法科大学院が全国平均を上回る合格率を目指す(熊本大)

 ▽大学を基盤とするスポーツクラブを創設(鹿屋体育大)

 ▽特化型研究プロジェクト推進のため、学部横断型の「特別研究推進機構」
を学長直轄で設置(琉球大)