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<国立大学法人>生き残りかけ「数値目標」明示増加


毎日新聞ニュース速報

 今年4月に法人となった国立大学・短大全89校が向こう6年間で達成しよう
 とする中期目標の原案と中期計画案を、文部科学省が11日公表した。昨秋の
 素案段階では抽象的な記述も目立ち「数値目標」は少数派だったが、第三者機
 関の国立大学法人評価委員会(委員長、野依良治・理化学研究所理事長)から
 修正を促された結果、具体的な特色づくりや数値目標を明示する大学が増えた。

 週内にも河村建夫文科相が各目標を決定、計画を認可する。教育・研究をはじ
 めとする法人運営のマニフェスト(政策綱領)が出そろい、国立大は生き残り
 をかけた本格的な競争時代に入る。

 評価委の1月の意見を受け、89校中85校が素案に修正を加えた。数値目標
 は37校が新たに掲げた。東大は研究体制充実のため、学長が部局長に諮らず
 裁量で、力を入れたい分野に配置できる教員を「200人」分確保する。高岡
 短大(富山県)は地域貢献のため「全授業の2分の1以上」を地域住民も受講
 できる公開授業とする。

 鹿屋体大(鹿児島県)はやはり地域貢献で学内の人材・施設を活用したスポー
 ツクラブ新設の構想を盛り込んだ。これを含め17校が新たな特色づくりを追
 加した。横浜国大が教養の語学教育充実策として「学内英語統一テスト」など
 到達度の客観的指標の活用を挙げたのをはじめ、72校は抽象的記述を具体化
 した。新制度導入などの時期も32校が新たに示した。

 電気通信大、東京芸大、名古屋大、富山医科薬科大も評価委から修正を促され
 たが「素案段階で十分検討した」などの理由で見直しはしなかった。【千代崎
 聖史】

◎ことば=国立大学法人 国立大学法人法に基づき、全89国立大・短大が4月
1日に移行した。それまでは国の付属機関にすぎなかったが、国から独立した法
人格を持ち自律的に運営する。役員会が最高意思決定機関と位置付けられ、その
トップである学長の権限が強まった。運営の経費を国が出す点は従来通りだが、
中期目標・計画によるそれぞれの業績を国立大学法人評価委が評価し、その結果
が国からの運営費交付金の額を左右する。



[2004-05-11-19:32]