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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』2004年5月9日付

<東京大>新シンボルマークを商標登録 国立大でもUIの波


 東京大学(佐々木毅学長)が新しいシンボルマークを作り、商標登録を出願
していることが分かった。4月の国立大学法人化を機に、学生や卒業生の帰属
意識を高めるのが狙い。同様の動きは他の国立大でも出始めており、ユニバー
シティー・アイデンティティー(UI)作りの波が広がりつつある。

 東大によると、新マークは多摩美術大学の原田泰助教授(41)がデザイン
した。イチョウの葉2枚に「大學」の文字をあしらった既存マークを踏まえ、
2枚の葉を残しつつ、上の葉に黄色、下の葉にスクールカラーの「淡青」色を
つけた。原田助教授は「モダンで若々しいイメージを出した。伝統と新しさの
折り合いをどうつけるか苦心した」と語る。

 東大は2月、新マークと「東大」のロゴマークに既存マークを加えた計5種
類の商標登録を出願し、特許庁が審査中だ。新マークはホームページや名刺な
どで既に使われている。「東大アイデンティティ作業班」班長の渡辺浩副学長
は「旧マークが消えるわけではないが、新マークは法人としての新たな出発の
シンボル。日本の大学教育や学術研究をリードしていこうという決意の表れ」
と話す。

 既存マークは1948(昭和23)年、学生服に付けるバッジとして作られ
た。大学構内のイチョウ並木にちなんだとされる。

 国立大では既に、佐賀大が県鳥のカササギをモチーフにした学章、山口大は
大学のマークや略称の「山大」などの商標登録を出願。広島大もフェニックス
をあしらった学章を近く出願する。

 商標登録は私大では一般的。登録されると、他大学などは類似マークを使え
なくなる。【千代崎聖史】

 ■商標に詳しい木棚照一・早稲田大法学部教授の話

 商標は元来、商品に付けられていたものが、商標法改正でサービス(役務)
も含まれるようになった。シンボルマークはサービスマークの一種であり、国
立大が国の行政機関だった時代とは違い、法人化による競争で「教育」という
サービスを売る時代になれば、マークは収益を考える大学の象徴として、重要
な意味を持ってくる。収益に直結する盗用を防ぐため商標登録の動きが広がる
のは自然な流れだろう。