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『朝日新聞』2004年5月4日付声欄 教育の生命は知事より長い 無職 今村 喜夫 (横浜市 80歳) 新首都大学構想について石原・東京都知事の威勢のいい発言が目立つが、都 民や都立大出身者の声がほとんど聞かれないのは不思議だ。 知事構想は新大学の性格や学部の構成から見て、単なる改組というより廃止 と新設と言えるほどの内容である。知事が言うように、問題の多い大学がある と見るのは同感だ。大学を安直にたくさんつくりすぎてしまった。しかし、都 立大学はそんな大学とは違う。 知事に理想の計画があるなら私財をなげうって、あるいは同志を結集して資 金を集め、私立大学の新設に努力すべきである。それができないなら、大学の 生命線にむやみに踏み込むべきではない。 知事には都立大学統廃合の権限があるかもしれないが、教育の生命は知事の 任期よりはるかに長い。一知事の発想と大学という公器の重みは比較にならな いことを知るべきである。都立大学は多少の手直しをするにとどめて、そのま ま残すべきだ。 |