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新首都圏ネットワーク


『上毛新聞』2004年4月23日付

統合を一時棚上げ 群馬大と埼玉大


 群馬大(本部・前橋市荒牧町)と埼玉大(同・さいたま市下大久保)の統合
問題で、鈴木守・群馬大学長と田隅三生・埼玉大学長は二十二日、それぞれ両
大学で記者会見し、統合を一時棚上げにすることで合意したと発表した。埼玉
大側が統合棚上げを申し入れ、群馬大側が了承した。統合時期は最短目標とし
てきた二〇〇五年十月から〇六年秋以降にずれ込むのは必至。当面、非常勤講
師の相互派遣などで協力関係をつくり、統合への道を模索するが、統合に対す
る両学長間の温度差が見られ、統合問題の行方は不透明だ。

 鈴木、田隅両大学長は二十一日、さいたま市内で学長懇談会を開催し、初め
て顔を合わせた。田隅学長が「学内の機が熟していない。統合の白紙化や打ち
切りは考えていないが、一時棚上げにしたい」と申し入れた。

 鈴木学長は「誠に残念だが、やむを得ない」とこれを了承。埼玉大側の提案
で、当面は連携を強化し、協力関係を築くことで合意した。非常勤講師の相互
派遣や、コンピューターの共同システム導入などを視野に入れているという。

 学長懇では、棚上げの期間や次回の学長懇時期についての話し合いはなかっ
た。

 二十二日の会見で、鈴木学長は「学内の調整や地元との話し合いを十分に行
い、自然体で統合したい。埼玉大との協力は前向きに考えるが、統合と切り離
された形では困る」と語った。

 これに対し、田隅学長は「両大の協力関係が希薄。群馬では関係者のサポー
トはなく、むしろ反対運動が起きている。相互に信頼関係ができない限り、統
合はできないと思う」と述べた。

 両大学は二〇〇二年一月、統合に向けた話し合いを開始。しかし、同年秋に
本県で群馬大教育学部の移転に反対する声が高まり、統合協議が難航していた。
また、昨年の埼玉大学長選で、統合慎重派の田隅氏が統合推進派の前学長を破っ
て当選したこともあり、初の学長懇が注目されていた。

一時棚上げ歓迎

 群馬大教育学部の存続運動に取り組んでいる坂西輝雄・群馬に教育学部を残
す会代表の話 両大学から一時棚上げという方針が出されたことは、教育学部
の存続を求めているわれわれとしては歓迎すべきこと。地域に根ざした教育活
動の拠点として、何としても残してもらいたい。今後も推移を見守る。