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新首都圏ネットワーク

裁量労働制について

多くの大学で裁量労働制が導入されようとしています。
これには,いくつかの問題点があります。

(1)「主として研究に従事する者」
の判断基準を
「講義時間数が週20時間未満」
としています。
そうしないと,学部教員はまず適用できません。

しかし,このようなとんでもない基準を公認すると,
将来,「20時間までなら講義させてもよい」
と考える経営者が出てくるでしょう。

非常勤講師削減が迫っているときに,
「講義時間だけが教育している時間」
などという無茶な基準を認めるべきではありません。
認めたら,非常勤講師削減の穴埋めで,
専任教員の講義負担がどんどん増え,
研究どころではなくなります。

講義も,講義の準備も,
院生の研究指導も,
色々な本を読んで充電するのも,
全て教育活動の一部です。

(2)時間管理が厳しくなります。
「みなし労働時間」という話とは逆に,
使用者は実際の労働時間を把握する責任が生じ,
タイムカードにしろ自己申告にしろ,
実際に何時間働いたかを
厳しく管理されることになりかねません。
裁量労働制は,
勤務時間がルーズになることではありません。
むしろ管理は厳しくなります。

ところで,
この問題は,
兼業(他大学での非常勤講師)する教員の
勤務時間を平日に割り振ると
残業手当を支払うことになる
ということを回避するために生じたという面があります。

そこで,私は代案を提案しています。

兼業した場合は,
土曜日を週休日としないで
土曜日に勤務時間を割り振る。

これで残業手当の問題はなくなります。

今までは国家公務員だったので,
土曜日は法定週休日でした。
(勤務時間法第6条)
しかし,非公務員の場合は,
この制約はなくなります。

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          遠藤 隆
佐賀大学 理工学部 物理科学科
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