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真理の探究を存立の根拠として −奈良教育大学の新たな出発にあたっての声明− 大学は、研究による真理の探究と、教育による真理の普及を社会的使命として存立 している。奈良教育大学の新たな出発にあたり、そこに働く私たちは、大学のこの社 会的使命をあらためて心に刻み、この使命にのみ忠実であることを誓う。 真理の探究とその普及は、人間だけがもつ知への渇望に由来することからすれば、 大学は、人間存在の根本にかかわる営みの場所であることになる。また、人間は真理 によってのみよりよい未来を築くことができることからすれば、大学は未来を拓く営 みの場所であることになる。国立大学法人化が、こうした認識に立ち、大学を真の意 味でそうした場所とするために企図されたものではないことは明らかである。法人化 は、真理の探究を経営に服従させ、さらに、その経営の基盤を国家のさじ加減に委ね ることで、真理の探究を国家に服従させようとするものである。大日本帝国による研 究・教育への弾圧という悲痛な歴史を経て、日本国憲法によって私たちが獲得した学 問の自由と、その制度的保障である大学自治が、いま、再び岐路に立たされている。 私たちは、真理の探究とその普及を脅かすいかなるものにも屈しないことを誓う。 真理の探究とその普及が、社会に開かれたものであるべきは自明である。しかし、 それは大学が社会に追随することではない。真理にのみ忠実であるためには、時に社 会の大勢に抗うことも必要となろう。そもそも、社会とは、そこに生きる一人一人の 人間の営みの総体である。真理の探究とその普及を社会に開かれたものにするため に、私たちは、人間を人間として尊重し、人間に対する限りない愛情をいだいて、こ とに従事することを誓う。 真理の探究とその普及という社会的使命を全うするために、私たちは安定した雇用 と安心して働き続けることのできる労働環境を不可欠とする。これを、私たちは奈良 教育大学組合連合に結集して実現することを誓う 。 私たちは、奈良教育大学を、人間存在の根本にかかわる真理の探究とその普及とい う営みを深める場とし、それによって人間が人間らしく生きることのできる未来を拓 く場とすることを誓う。 2004年4月1日 奈良教育大学組合連合 |