トップへ戻る   以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Academia e-Network Letter No 93 (2004.04.11 Sun)
http://letter.ac-net.org/04/04/11-93.php
ログ http://letter.ac-net.org/log.php

━┫AcNet Letter 93 目次┣━━━━━━━━━ 2004.04.11 ━━━━

【1】都立大学管理本部長から教職員宛の文書4/9 の吟味
都立大の危機 --- やさしいFAQ
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-p.html#yamaguchikun040804

【2】都立大学の経済学コースはどうなるのか
http://www.nabenavi.net/kubi/kubi1.htm

【3】森 祐行氏(九州大学名誉教授)からのお便りより
毎日新聞コラム【経済観測】:「民族の『持病』」について

【0】編集後記


━ AcNet Letter 93 【1】━━━━━━━━━━ 2004.04.11 ━━━━━━

山口大学管理本部長から教職員宛の文書の吟味
都立大の危機 --- やさしいFAQ
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-p.html#yamaguchikun040804
───────────────────────────────
P-12 2004年4月9日に山口大学管理本部長から教職員宛の文書が届
いたそうですがどんな内容なのですか? (「4大学総長・学長懇
談会のまとめ」編)
───────────────────────────────
ポーカス博士

4月9日に大学のメールボックスに配布されて,さっそく大問題にな
りつつある。合計7ページの文書だが,最初の1ページを読むと,
随分管理本部の文書も穏当になったな,と思ってしまう。が,実は
2ページ目からすでに今までと変わらない一方的な判断の押しつけ
と未決定事項を決定事項として扱う姿勢に溢れていることが分かる。
まず第1ページ目(*1)。ここでは4月7日に文部科学省に事前相談資
料を提出したことが述べられており,「この間の経緯を理解できる
ように主な事項をまとめた」となっている。問題は第2〜5ページ
(*2)の管理本部長のまとめの部分だ。
(*1)<http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/yk-page1.html>
(*2)<http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/yk-page2-5.html>

最初に指摘しなければならないのは,3月23日の4大学総長・学長
懇談の概要に,意見の一致を見たとして挙げれられている部分が
「3/30総長メモ」にはほとんど存在しないという点だ。「3・30総
長メモ」と今回の「4・9山口文書」を比較のために以下に再録する。

──────────────────────────
3/29総長声明(別称「3・30(配布)総長メモ」)

  全学の教員のみなさんへ2004年3月29日拡大教学
  準備委員会とその評価について

  標記の件について、その主な内容を報告し、総長として
  の評価をお伝えします。

  1.3月23日、総長の呼びかけで、総長・学長、大学
  管理本部長、理事長予定者の懇談会が開催された。

  (ア)そこでは、2005年(平成17年)4月、新大
  学を開設すべく、大学の代表たる総長・学長、管理本部
  長、学長予定者、理事長予定者による十分な協議を行い
  つつ準備をすすめることが確認された。

  (イ)経済学部の経済政策専攻(COEグループ)も新
  大学に参加する方向をとるよう働きかけを行うこととなっ
  た。

  2.3月29日、第7回教学準備委員会において、おお
  むね合意した内容ないし方向性のうち、重要と考えられ
  るのは、以下のとおりである。

  (ア)上記1の(ア)をあらためて確認した。

  (イ)新大学では教育と研究の一体となった総合大学と
  する方向で議論が行われた。より具体的には、大学院部
  局化の方向をとり、基礎研究も位置づけるなどである。

  (ウ)学部等の名称について、これまでの仮称とは別の
  ものを採用する可能性について議論した。また、単位バ
  ンク等については継続して協議することとなった。

  3.昨年8月1日以降の経過を念頭におき、3月23日
  の懇談会および3月29日の教学準備委員会の内容を評
  価すると、総長としては、そこに重要な前進があったと
  考える。
──────────────────────────

4/8管理本部長のまとめ(別名「4・9(配布)山口文書」)P.2

  1 四大学総長・学長懇談概要(平成16年3月23目開催)

  (1)現時点で意思確認書の提出のない経済学グループを
  含め、多くの人が新大学に参加してほしいという西澤学
  長予定者の意向に出席者一同が賛同した。

  (2)茂木総長から、これまでも17年度新大学開設に向け
  努力してきたが、引き続き経済学グループの説得に最大
  限努力する旨発言があった。発言を受けて三大学学長も
  支援する旨快諾した。

  (3)今後とも、何か重要なことがあったときに、このよ
  うなそれぞれ学長が率直に意見をいう機会があればよい
  ということを確認するとともに、以下の点について意見
  が一致した。

  ・経済学グループの主張する定数間題では妥脇しないこ
  と。

  ・総長推薦の経済学の窓口担当教員を変更すること。

  ・新大学への参加意思を示した人たちは、新大学の基本
  的な枠粗みを了解したうえで建設的に新大学の実現に取
  り組むことを表明したのであり、文部科学省への申請段
  階で反対運動を展開するということは許されない。

   詳細設計で意見を戦わすことはあっても、新大学に向
  け建設的に取り組むこと。

  ・教学準備委員会を決定機関として、新大学の開学準備
  を進めていくこと。

  ・過去のことは問わないが、法科大学院のようなことは
  二度と起こさない。今後も、この教訓を重く受け止める
  必要があり、このようなことを二度と起こさないことは
  我々の義務であること。
──────────────────────────

4・9山口文書の(3)に「以下の点について意見が一致した」という
箇条書きの部分があり,この部分が問題だ。1つ1つ見ていこう。

  ・経済学グループの主張する定数間題では妥脇しないこと。

いわゆるCOEグループの問題だが,8・1構想でそもそも16名の
COE事業推進者のうち13名を経済学コースに割り当て,3名を過
剰人員(略して過員(かいん))としてしまったことに端を発す
る。ここでの管理本部長のまとめは,8・1構想で示された定員は
絶対に変更しないぞという姿勢じゃ。そもそもCOE事業推進者の
人員全員を新大学の定員として受け入れないなんて姿勢が信じら
れない暴挙だな。日本の研究拠点として文部科学省に位置づけら
れたのに,そのメンバーの一部を定員から外すなんてことがあっ
ていいはずがない。最初に決めたリストラの数字は死守する,と
いうのがおそらく管理本部のやり方で,どんな研究・教育上の理由
があっても変更しないつもりなのだろう(後の大学院問題にもこ
の姿勢が登場する)。

  ・総長推薦の経済学の窓口担当教員を変更すること。

これは一体何を言っているのかというと,文字通り解釈すれば<
総長が推薦した経済学教員がいて、その人は窓口となって外と交渉
していたのだが、その経済学の教員ではない別の人を今度は窓口
にする>という話。具体的な名前が出てこないのと、総長の意見
が反映されているのかどうかは不明だ。3・30総長メモでは,
「経済学部の経済政策専攻(COEグループ)も新大学に参加する
方向をとるよう働きかけを行う」となっているだけなのだが。

  ・新大学への参加意思を示した人たちは、新大学の基本
  的な枠粗みを了解したうえで建設的に新大学の実現に取
  り組むことを表明したのであり、文部科学省への申請段
  階で反対運動を展開するということは許されない。

これは,おそらく管理本部長の本音で,3月23日の懇談会の話題に
なって意見の一致をみたとは到底考えられない。分かりやすい言
葉で言い換えれば,「意思確認書を出したら,就任承諾書を出さ
ないなんてことは許さないぞ」ということで,就任承諾書が4月
末以降,もし多量に提出されないような事態になれば,管理本部が
ふっとぶことを本部長が考え,この機を捉えて警告したのだろう。

  詳細設計で意見を戦わすことはあっても、新大学に向け建設
  的に取り組むこと。

この部分は,総長が「十分な協議を行うこと」とした部分に対応す
るように見える。しかし,この「建設的に取り組む」という部分が
ちょっと怪しい。反対意見を出した結果,その意見は建設的でな
いから却下する,ということがあることを公に認めよ,とも読め
る。

  ・教学準備委員会を決定機関として、新大学の開学準備を進め
  ていくこと。

3月29日をもって教学準備委員会は終了してしまったが,最後の2
回を除けば,総長は茅の外に置かれ,出席者は個人の資格で出席し,
議事録は取られず議題だけが公表され,議論されないうちに様々な
事柄が決定されて一方的に発表されてきた。これが「首大」の開学
準備を進める決定機関であることを3月23日の懇談会で改めた,と
いうことらしい。しかし,4・9山口文書の2〜5ページのまとめを見
ると,こんなことは決まってないはずだという事項がてんこ盛りだ
(これを議事録というのなら,(案)と付記して,訂正を入れるべ
きだろう)。

  ・過去のことは問わないが、法科大学院のようなことは
  二度と起こさない。今後も、この教訓を重く受け止める
  必要があり、このようなことを二度と起こさないことは
  我々の義務であること。

これも管理本部長の意思表明であろう。「過去のことは問わない」
とまとめたことにより,法科大学院問題は,へんてこりんな論理で
責任追求をすることはないということだ。この合意は覚えておこ
う。2番目の文では,また「就任承諾書の提出で混乱が起きること
を阻止したい」というのも管理本部長の願いをまとめたものと解
釈できる。もちろん,懇談会出席者は,現都立4大学の混乱を静
めたいとの意向は持っているはずだ。法科大学院の混乱はなぜ起
きたのか?それは,あまりにも一方的で強引な「8・1大学構想」
の進め方に原因があった。その一方的で強引な手法を管理本部が
改めない限り,都立4大学の混乱は沈静化するどころか,ますま
す大きな流れとなって爆発する危険性があることを管理本部は覚
えておく必要があるだろう。最後に,総長4・9文書を引用してお
こう。(1)と(2)が3月23日の懇談会に関する部分で,3・30総長メ
モの内容が間違っていないこと,「当日に出た意見を一部採録し」
ているのみで,「『一致』と表現できるような確認を、いちいち
行ったわけでない」ことを主張している。近日中に,総長からの
新たな見解が発表されるはずだ。

──────────────────────────
全学教員のみなさんへ(緊急)2004年4月9日

  総長

  4月8日付の大学管理本部長山口一久氏による文書を受
  け取られたことと思います。この一連の文書には、総長
  として了解できない部分が多く含まれていますが、配布、
  配信だけは認めました。しかし、その内容には詳細なコ
  メントを付すべき部分がたくさん含まれています。とり
  あえず簡単に3点のみ記しておきます。

  (1)3月23日の4大学総長・学長懇談については、
  3月30日付けの総長メモ(全学教員に向けて送信)の
  通りであることを改めてお知らせします。

  (2)8日付け本部長文書の同懇談に係る「まとめ」は、
  当日に出た意見を一部採録したものであり、「一致」と
  表現できるような確認を、いちいち行ったわけではあり
  ません。なお、総長が発言した内容については、その多
  くが掲載されていないことも付け加えておきます。

  (3)第7回教学準備委員会の「まとめ」に関しても、
  不正確・不適正な部分を多く含んでいます。

  なお、法人化及び人事制度に関する事項に関する記載は、
  3月29日の第2回経営準備室運営会議で扱われた内容
  ではありません。

  今後、可及的速やかに事実の検証を行い、改めて報告します。


━ AcNet Letter 93 【2】━━━━━━━━━━ 2004.04.11 ━━━━━━

都立大学の経済学コースはどうなるのか
http://www.nabenavi.net/kubi/kubi1.htm
2004.04.07, 2004.04.10一部更新
───────────────────────────────
読売(*1)や朝日(*2)の記事を読んで、「都立大学経済学コースがど
うなるのか教えてほしい」「ここまでの経緯を教えてほしい」との
声を頂きました。実は私自身もどうなるかよく分からないというの
が現状ですが、自分なりに今までの経緯と、今後の予想を述べてお
くことにします。詳しく知りたい方は、人文学部が提供している都
立大の危機FAQ(*3)も参考にしてください。

(*1)<http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040407-00000301-yom-soci>
(*2)<http://www.asahi.com/national/update/0408/001.html>
(*3)<http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html>
───────────────────────────────
経緯

* 平成15年7月:COE拠点に選定が決まる。申請書で、大学全体
の将来構想には「国際水準の研究」と「都民のための研究」
の2つの柱が謳われていました。都立大学経済学部の中で
「COE事業推進者」となった者は16名、これは経済学部第1第
2講座の教員、近代経済学グループの教員、と同じです。

* 平成15年8月以前:平成17年に新大学が独立行政法人として
スタートするため、そのための話し合いが続いていた。

* 平成15年8月:知事は、今までの大学改革では改革とは言え
ないとし、今まで作り上げた案を大幅変更し、今後はトップ
ダウンで改革すると方針を変更。(都庁の新構想
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2003/08/70d81100.htm )

* 新大学案では都立大学経済学部は、都市教養学部の経済学コー
スと経営学コースの2つに改組される予定となる。

* COE事業推進者16名は全員、経済学コース所属を希望してい
たが、都は経済学コース教員数を13名とし、3名が過剰人員
となる。COE事業推進者うち3名は経営学コースに配置される
ことになる。(この定数削減は抗議の大きな理由の1つとなっ
ています。)

* 平成16年1月:COE事業推進者16名は抗議声明
http://www.coe-economics.jp/seimei.html を発表。

* その後、COE事業推進者2名が転出を決める。これに伴い経営
学コースに配置されたCOE事業推進者のうち2名が経済学コー
スに配置変更になり、残る1人だけが経営学コースに配置。
この1人は私です。この時点で、経済学コース所属予定教員
は13名で、これに経営学コース配置予定の私を加えた14名が
COE事業推進者になる。

* 2月:都は就任意思「確認書」を教員の各自宅に配達証明で
送付し、新大学の設置案を文科省に提出する前に、それを提
出するように、また提出しないものは、新大学に移れないと
通告。

* 14名のCOE事業推進者のうち更に1名の転出が決まる。しかし
私は、依然、経営学コースに配置されたまま。残り13名の推
進者のうち1名は確認書を提出、残り12名は提出を拒否。

* 2月末:新学長予定者(西澤潤一)、新理事長予定者、新大
学の名称などが次々と決まる。都は2月末までに確認書を出
さないものは新大学に移れないと通告。西澤氏は、反対する
者との話し合いは重要だと発言。(文書1
http://www.nabenavi.net/kubi/nishizawa1.htm


* この時点で、学部内の多くが確認書を出していない3組織
(理学部、人文学部、経済学部の近経グループ)の代表と、
新理事長予定者との会談が3 月8日に予定される。ここで大
学院の方向性などが確認されれば...と和解の機運が高ま
る。

* 3月4日:都庁は突然新理事長との話し合いを中止にすると言
い、翌日5日までに確認書を提出しなければ新大学には移れ
ないと通告。ここで理学部、人文学部の多くは確認書を提出。
私達のグループだけが孤立。

* 3月8日西澤学長予定者名で改革に関する考え方が出される。
「改革である以上、現大学との対話、協議に基づく妥協はあ
りえない。」(文書2
http://www.nabenavi.net/kubi/nisizawa2.htm


* 3月23日:私が確認書を提出。COE事業推進者13名のうち、経
済学コース所属予定者12名のうち11名が就任意思「確認書」
を提出していない状況で、残り1名の私は経営学コースに所
属している状況。

* その後、何度か折衝が続くが折り合いがつかず、4月5日夜に、
都庁で話し合いと最終意思確認が行われ、新大学開学時平成
17年度には経済学コースが設置されないことを都から通告さ
れる。

* 都は、設置審に出す書類を4月7日提出。読売新聞の報道から
推測するに、その書類提出時点で開学16年度における経済学
コースの設置を断念したことになったと思われます。

* 確認書を出した私以外の1名も確認書を取り下げ、経済学コー
ス所属予定教員は12名全員が確認書を未提出となりました。

───────────────────────────────
今後どうなるか(予想)
───────────────────────────────
* 就任意思「確認書」を提出しなかった経済学コース教員11名
がどうなるか。

o 文科省の設置審が通った後に、各教員へは新大学への
「就任承諾書」の提出が改めて求められる予定です。
この時点で、都は確認書を提出していない者には承諾
書は送らないと言っています。しかし独法化の法律に
よって、独立行政法人化する際に就任承諾書を送らず、
法人に移さないことは認められていないと言われてお
り、承諾書は送られるのではないかと言われています。

* 就任承諾書が送られなかった場合、もしくは送られても承諾
しなかった場合

o その教員は、平成16年度までに入学した学生のための
「旧都立大学経済学部」に所属することになります。
この大学は最大平成22年まで存続するので、その間に
再就職を求めるか、本人と都が認めれば、途中で新大
学のどこかのコースに移行することになります。

* 就任承諾書が送られ、それに承諾した場合

o どうなるかは良く分かりません。過剰人員として経営
学コースに所属になるか、学内の別の部署に過員とし
て配置されるか、と言われています。

o 4月8日の報道にでは、都は公募により平成18年度以降
に経済学コースを作ると言っています。今のところ、
平成18年にすぐできるかどうかは分かりません(難
しいと思います)。就任承諾書に承諾した場合、その
教員は18年度には経済学コースに所属するかもしれま
せんし、所属できないかもしれません。

* なお、現在、確認書を提出しない教員の多くはほとんど、再
就職先を探して転出するつもりだと言っています。たぶん就
任承諾書に承諾しないのではないかと思われます。

* いずれの場合も、16年度までに入学した旧都立大学経済学部
の学生が卒業するまでは、現経済学部が形式的には存続しま
す。平成22年までと言われています。

* 私はどうなるか

o 私だけ経営学コース所属になっていますので、就任承
諾書に承諾すると、新大学では経営学コースに所属す
るのでしょう。5日の報道では都は公募により平成18
年度から1年遅れて経済学コースを作るとも言ってま
すので18年度からそちらに移るのかも知れません。

o 就任承諾書に承諾しないと、上記の教員の承諾しない
場合と同じになると思います。

* 経済学コースはなくなってしまうのか

o 昨日(6日)まではなくなってしまうと思っていまし
たが、本日(7 日)の読売新聞の報道では都が平成18
年度に公募により新しい経済学コースを作ると言って
います。この場合、新しい経済学コースの教員は、公
募により採用され、現在の教員と大幅に入れ替わると
予想されます。

o 一方で、経営学コースが大きくなってその中に経済学
を一部含むようなコースや、経営・経済コースのよう
なコースになるという話もあります。このあたりは良
く分かっていません。

* COEはどうなるのか


━ AcNet Letter 93 【3】━━━━━━━━━━ 2004.04.11 ━━━━━━

森 祐行氏(九州大学名誉教授)からのお便りより
毎日新聞コラム【経済観測】:「民族の『持病』」について
──────────────────────────────

「・・・・・・大学がひたすら競争、競争へと駆り立てられていく
ような恐れを感じています。競争的資金の獲得という大義名分のも
とに、競争に打ち勝つために研究を行うということになっては、本
来、「手段」であるべき研究費の獲得が「目的」になってしまう恐
れがあります。

昨日、新聞を眺めていましたら、以下の毎日新聞のコラムが目にと
まりました。競争することに生きがいを感じるのは、わが民族の
「持病」なのでしょうか。以下に、そのコラムを転載します。

ご一読いただければ幸いです。」

──────────────────────────
毎日新聞 2004年4月9日 朝刊  
コラム【経済観測】:「民族の『持病』」

旧ソ連は60万人もの日本人を、不法にも極寒のシベリ
アに連行して強制労働に従事させ、そのため6万人近い
日本人が異郷で命を落とした。

これは北方領土問題とともに、棚上げの許されない問題
であるが、健忘症の日本人は、いつの間にか、問題解決
に正面から取り組もうとしない気配だ。

シベリア抑留と強制労働に関連して、日本人にも反省す
べきことがあったようだ。それは、強制労働の際に課せ
られたノルマ(達成すべき目標)に関してである。

旧ソ連側の管理者は、ノルマを課すに当たり、ノルマを
超過達成すると、食糧を増配する仕組みを作り、それで
成果をあげようとした。

そうしたら、増配に目がくらんで、めちゃくちゃに働く
日本人が現れた。それを見て、他の日本人も一斉に能率
を上げる。収容所に割り当てられている食糧の総量に変
わりはないから、ある日、ノルマが引き上げられて、増
配は消えてしまった。そうすると、更に働く日本人が現
れ、健康を害する者が続出して……。

それに対し、同じ地域にあったドイツ人の収容所では、
ノルマを超過達成するかどうかについて、仲間で十分に
相談し、決して抜け駆けをしないことにしたそうだ。

その日独の違いは、残念ながら今日でも生きている。ド
イツではハンバーガーの半額セールなんか、やる人はい
ないそうだ。「やった結果どうなるか、誰がトクするか、
少し考えれば分かるハズ」と言う。

この違いが民族性によるとは思いたくないが、健忘症と
ともに、日本人の持病であることをしっかり反省して、
治療に取り組むべきだ。(大三)

http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/04/09/20040409ddm008070091000c.html

───────────────────────────────
【0】編集後記

◆ 都立大学管理本部は、実社会では相手にされなくなるような類
の背信行為を繰り返している。こういう組織が大学を支配すること
を防ぐ術がない独立行政法人制度を甘受しなければならぬ、都立大
関係者の無念さは察して余りある。


◆高遠さんたちを解放する声明がサラヤ・ムジャヒディンからアル
ジャジーラに届いたことが報じられた(*)。
(*)http://www.asahi.com/international/update/0411/002.html
http://www.asahi.com/international/update/0411/007.html

日本社会の各層からの無数のメッセージがイラクに届き、3名の活
動内容がアルジャジーラの報道を通してイラク社会全体の知るとこ
ろとなり、また、(ネットで知られているだけでも)イラクの邦人
NGO、高遠さんと一緒に活動していたイラク人、フランスのNGO、等
がそれぞれのルートでイラクの諸部族長に働きかけていたこと等々、
を始め、日本社会全体が真剣になって可能な手段を尽した結果と感
じる。表には出ていないが、政府もあらゆる方策を尽したに違いな
い、と信じたい。

今回の事件を通して、イラク復興のために日本の若い「私人」達が
命がけでイラクで活動していることがイラク社会全体に知れわたっ
たこと、また、イラク復興についての方法について日本社会の意思
が政府の意思とは大きく異なることが明確に伝わったことにより、
自衛隊派遣の実態が明かになるにつれて悪化しつつある対日感情が
大きく持ちなおしたと推測される。

民主党の有志17名が、サマワ周辺がイラク特別措置法に基く戦闘
地域になった以上、自衛隊撤退を決断すべきだ、と昨日意見表明し
た(*1)。この事件とは関係なく、イラク政策を見直すことは、政府
の緊急課題となった。
(*1)http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20040411k0000m010039000c.html

なお、サラヤ・ムジャヒディンの声明全文の邦訳はいまだに報道さ
れていないようだが、これまでのところ東京新聞に掲載された記事
(*2)が紹介しているもの原文に近いと推測されるが、米国によるファ
ルージャ包囲戦で何がいま行われているか、それを日本社会が正視
することを求める悲痛な文で終っている。
(*2)http://www1.jca.apc.org/aml/200404/38782.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集発行人連絡先: admin@letter.ac-net.org
ログ:http://letter.ac-net.org/log.php
趣旨:http://letter.ac-net.org/index.php
#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
一部が全角となっているアドレスは半角にして使用してください。
登録・解除・アドレス変更:http://letter.ac-net.org/s.html