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Academia e-Network Letter No 92 (2004.04.09 Fri)
http://letter.ac-net.org/04/04/09-92.php
ログ http://letter.ac-net.org/log.php

━┫AcNet Letter 92 目次┣━━━━━━━━━ 2004.04.09 ━━━━

【1】落合栄一郎氏からのお便り:
福井氏講演「アメリカの大学の年俸制、任期制」に関して

【2】[JMM 265Ex] 『from 911/USAレポート』 第140回
   Date: 9 Apr 2004 06:51:15 -0000
   「自衛隊は即時撤退しても日米同盟は壊れません」

【3】メール紹介
(1)茂腹敏明氏より
(2)小野有五氏(北大)より

【4】ウェブログより

 【4-1】猫の夜会ライブラリーウェブログより
 「神話の力/ジョーゼフ・キャンベル/今のイラクとアメリカに必要なこと」
  http://library.cocolog-nifty.com/night_clowder/2004/04/post_4.html

 【4-2】気流の彼方日記「随想」 2004.4.9
http://d.hatena.ne.jp/atm/20040409

 【4-3】パンドラの時代より
http://www.impala.jp/pandora/archives/000112.html

【5】アジア太平洋資料センター:Appeal to the Mujahiddin
http://www.parc-jp.org/home/appeal_mujahideen.html

【6】自衛隊の即時撤退を求める法律家による緊急声明

【0】編集後記
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━ AcNet Letter 92 【1】━━━━━━━━━━ 2004.04.09 ━━━━━━

落合栄一郎氏からのお便り:
福井氏講演「アメリカの大学の年俸制、任期制」に関して

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福井氏の講演の内容に全面的に賛成するものです。私も及ばずなが
ら、アメリカの大学−私の場合は私立の4年制大学(いわゆるリベ
ラルアーツカレッジ)ですがーの実情をなんとか知ってもらおうと
「高等教育フォーラム」などに投稿を試みてきたのですが、どうも
日本では、アメリカの事情を知らないかまたは曲解しているケース
がかなりあるように感じていました。

日本で、大学教職員に「任期制」を採用する動きがあると聞いて、
どこからそんな案が出てくるのだろうと不思議に思っていました。
アメリカでは、普通最初の5−6年間はプロベーショナリー期間で、
その間にその人物の能力その他が評価されて、それをパスすると通
常昇任し、テニュアーを得ることになり、それ以後は、よほどのこ
とがないかぎり終身雇用状態になる。テニュアー取得後の教師の精
進も数年毎にある程度の評価が行われるようにはなっている。しか
し刑事事件を起こすとか、大学側の経済事情の変化などの極端な場
合を除いて、首を切られることはない。また小さな大学では、各学
科内の教師も数も少なく、接触も密なので、怠けているという状態
は居心地を悪くする。

教師の評価、特に私共の所のように教育主体の大学では教育評価に
重点が置かれるのでその評価はかなり徹底して行われるが、それで
も絶対的なものはないし、教育効果は授業終了時点で計ることは不
可能である。私自身も評価委員を何年も勤めたので、その困難さは
承知しているが、そのなかで最善を尽くす努力はしている。

「年俸制」とはどういうことを意味するのか、福井氏の講演内容か
らは判断しかねるが、給料が年毎に教師の成果に依存して決められ
ることを意味するのでしょうか。研究主体の大学教員の場合、その
研究費から、研究するための時間を買う(教育義務を減らす)がで
きるようになっていることは周知のことと思う。教育主体の大学の
場合には、給料はランクと経験年数によって大体決定される。我々
のような小さな私立大学は財政基盤は豊かではないので、教師の給
与を決定するのは容易ではない。教員側には大学側と給与その他に
関して交渉するための委員会があり、毎年昇給の要求を大学側に提
出するが、最終的には理事会のさじ加減で決まる。

落合栄一郎
JUniata College
Huntingdon, PA, USA

━ AcNet Letter 92 【2】━━━━━━━━━━ 2004.04.09 ━━━━━━

[JMM 265Ex] 『from 911/USAレポート』 第140回
   Date: 9 Apr 2004 06:51:15 -0000
   「自衛隊は即時撤退しても日米同盟は壊れません」より
   冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
http://ryumurakami.jmm.co.jp/index.html
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#(ログが既に見れなくなっていますので、特に重要な部分だけ抜
粋しました。国益の観点でも撤兵以外に道はない、撤兵は積極的な
戦略である、撤兵を拒むことこそ犯人の罠にはまることである、撤
兵しても(そもそも日本が出兵しているということを知っている米
国人は少ないので)日米関係は悪くはならない、撤兵せず米軍の足
手まといとなって米軍に被害がでる方が、米国民の対日感情を悪化
させる、「悪の仕掛けた罠からは、堂々と距離を置くべき」等々、
言葉と意を尽して政府高官に英断を呼び掛けています。)

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・・・・・・・
「 テロリズムの悪に屈するのではありません。悪の仕掛けた罠からは、
堂々と距離を置くべきなのです。悪の敵になる道を選ぶのではなく、
悪を憎むがゆえに悪を遠ざけることで間接的に悪の力を削ぐのです。
この局面での撤兵は、紛争地全体の緊張と対立のレベルを上げるの
ではなく、下げるための積極的な行動なのです。

撤兵ではあっても消極策ではないのです。撤兵こそ戦略的な積極策
なのです。動くべきです。決断の時です。手をこまねいて泥沼に入
りつつあるブッシュ政権の外交政策とは一線を画すべきです。ここ
は兵を引くべきです。胸を張って引くべきです。今がそのタイミン
グです。」
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冷泉彰彦:著書に
『9・11(セプテンバー・イレブンス)―あの日からアメリカ人の心はどう変わったか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860920/jmm05-22

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【3-3】池澤夏樹氏「パンドラの時代より」2004.4.9
http://www.impala.jp/pandora/archives/000112.html
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「 ・・・・・・
 では、今、日本はどうすべきか?

 自衛隊を撤退させればいい。それ以外に取るべき道はありません。

 ただし、3人が誘拐されたから、その生命を救うために撤退する
のではない。

 それでは取引になってしまう。

 今後、日本に対して何か強い要求を持つ者に対して、日本の民間
人を誘拐すれば目的はかなうという前例を与えることになる。

 それこそテロに屈することになる。

 そうではなくて、自衛隊を復興支援という名目のもとに派遣した
ことが間違いであったことを公式に認め、今のイラクを平和に導く
ために必要なのは武力ではないことを認め、その上で撤退を速やか
に実行する。

 言い換えれば、誘拐とは無関係に、政策の転換を内外にはっきり
表明する。

 政治というのは日々変わっていきますから、過去に遡って責任を
追及するばかりでは今の現実を見失いかねない。去年の3月20日
にアメリカ軍がイラクに対する戦争を始めたのは明らか誤りでした。
大量破壊兵器などなかった。

 アメリカを支持した日本政府の姿勢も誤りだった。
 しかし、それはしばらく措きましょう。


 たった今、問題なのは、戦闘終結をブッシュ大統領が宣言したあ
とでアメリカが取ってきた政策がことごとく間違っていたことです。
その結果、事態はますます悪くなっている。ブッシュ政権が正しい
という前提に立った日本政府の自衛隊派遣にも根拠はなかった。

 自衛隊が復興支援のために行っている、という論法は相手が認め
ないかぎり意味がありません。

NGOに任せれば年間1億円以下の予算で10万人分の水が供給で
きる。自衛隊は年間300億を超える予算で、1万6000人分を
供給しているにすぎない。その一方で自衛隊は武装したアメリカ兵
を運んでいる。

 彼らの駐屯の主たる目的が給水でないことはイラクの人々の目に
も明らかです。

 何よりも自衛隊は軍隊です。威圧と恫喝のための組織です。イラ
ク国民の目には星条旗に縫いつけられた小さな日章旗しか見えてい
ないでしょう。

 自衛隊を引き上げましょう。

 日々の現実はいつも「今日」から始まります。過去の誤りの積み
重ねの上に今日の苦境があるわけだけれど、新しい今日はリセット
が可能です。

(池澤夏樹 2004−04−09)」

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【0】編集後記

今、捕われている人たちは、日本の若い世代のポテンシャルを象徴
するような人たちである。日本の未来そのものが苦難に陥っている。
「国益」や「国の威信」のために古い世代がこの人たちを事実上見
すてることを傍観することは、日本が日本の未来を見捨てることで
もある。しかし、自業自得だとか、自作自演だ、という情けない意
見がネットでは溢れているし、政府高官になり切って、愚かで迷惑
なひとたちだ、と言葉を尽して非難する人たちが五万といるが、大
学教員からも以下のようなメールを二通頂戴した。

「危険地帯へ周囲の助言を無視して行ったのは個人の責任です。そ
れを政府にお願いするのは我が儘以外の何者でもありません。危険
な雪山に軽装備で行って税金で救助してもらうのと同じことです。
無謀な行動に対しては自己責任があるのは仕方ないと思います。」

「本メールマガジンはあくまで「国立大学法人化問題」のためのも
のであって、特定の政治活動を行なうためのものではないはずです。
私自身も政府のイラク問題に対する対応には多少含むところはあり
ますが、そもそも今回テロ勢力に拉致された彼らは政府の「渡航自
粛勧告」を無視してイラク入りをしている私人の方々なので、結果
責任も冷たいかもしれませんが自分で取らなくてはならないと考え
ます。」

もしもこういう皮相的意見が大学社会の多数派を占めているとすれ
ば寂しいかぎりであるし、大学が社会から疎まれても仕方がないだ
ろう。

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