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Academia e-Network Letter No 89 (2004.04.06 Tue)
http://letter.ac-net.org/04/04/06-89.php
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━┫AcNet Letter 89 目次┣━━━━━━━━━ 2004.04.06 ━━━━

【1】都立大総長から学長予定者・管理本部長への意見書

都立大・短大教職組「手から手へ」2273 号 2004.4.6 より
http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0406.pdf

【2】北見工大、全教員任期制の北海道内私大への影響についての懸念
全国国公私立大学の事件情報ウェブログ 2004年04月06日より
http://university.main.jp/blog/archives/000723.html


━ AcNet Letter 89 【1】━━━━━━━━━━ 2004.04.06 ━━━

都立大総長が学長予定者・管理本部長に「意見と要望」
―3月29 日、教学準備委員会とその結果を受けて―

都立大・短大教職組「手から手へ」2273 号 2004.4.6 より
http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0406.pdf
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#(「手から手へ」によれば、第7回教学準備委員会(3月29日)
の結果について3月31日に審議したの都立大学評議会で、この意
見書の提出が確認された。)
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教学準備委員会座長 西澤潤一殿
大学管理本部長 山口一久殿

第7回教学準備委員会(2004年3月29日)の審議等に関連した意見と要望

                 東京都立大学総長 茂木俊彦
                 2004 年4 月2 日


3月23日の4大学総長・学長等による懇談会および3月29日の第7回教
学準備委員会において確認したように、新大学の設立準備に当たっ
ては、今後、現大学の代表たる総長・学長、大学管理本部長、学長
予定者、理事長予定者の十分な協議を行いつつ、これを進めること
となっています。重要なことは、これを各種委員会の編成と運営等
においても具現化することです。

この観点から、本学の1月27日評議会の見解と要請を踏まえ、また
第7回教学準備委員会での審議およびその後の経過を検討し、若干
の意見と要望を申し述べます。よろしく

ご高配のほどお願い申し上げます。

1)教学準備委員会の在り方について

これまでの教学準備委員会は第7回をもっていったん区切りをつけ、
今後はその名称問題は別として、新たな教学関係の委員会を作る方
向が示されました。その委員について、当日座長より公にされた4
人の学部長予定者と座長とが相談して決めるとされましたが、この
点について意見があります。

1つは、「十分な協議」の具現化の観点からみて、これまでは教学
準備委員会の委員とはされていなかった都立大総長および短大学長
を委員に加えるべきです(総長を委員に加えるべきであるとの意見
は当日にもある委員から発言がありました)。

2つは、新たな委員会の編成に当たっては、現大学の長たる4大学の
総長・学長に委員を推薦する機会を与えるべきです。

3つは、新たな委員会の開催に当たっては議題等および資料の事前
送付を行い、また事後には議事録(議事要録)を作成し、その確認
に日程もとるべきです。なお議事録については当然のことながら3
月29日についても作成すべきです。

なお、いかに期限が迫っているとはいえ、審査項目の多さからして
議論のための十分な時間をとるべきであり、そのためには委員会開
催時間・回数などを見直し、精力的な審議をすべきであると考えま
す。


2)設置申請の事前協議の問題

4月末の設置申請に当たっては、その後の設置審査が円滑に進めら
れるようにするためにも、事前にその全資料が現大学に示され、そ
の内容をめぐって協議がなされるべきです。あらたな教学関連の委
員会の設置が何時になるのであれ(仮に5月に入ってからであれば
いっそうのこと)、この点は必ず実行される必要があります。

3)「都市教養学部」の名称問題

3月29日の教学準備委員会では、ご承知のとおり、この学部名称に
ついて時間をとった審議があり、ここで詳細は触れませんが「総合
教養学部」のほうがベターであるとの意見が4名、「都市」という
言葉を残すべきだという意見が1名、「都市的教養学部がよい」と
の意見が1名であったと思います。

最終的には座長一任となったことは承知しておりますが、結果とし
て、いわば少数意見であった「都市教養学部」が採用されたことに
ついて、強い違和感を覚えるとともに、「都市教養学部」とした合
理的理由の説明を求めます。

この点に関連して言えば、3月23日、3月29日(当日)に新大学の準
備のために「十分な協議」をするということを確認した状況のもと
で考えると、協議、審議は何のためにするのか、疑わしいという意
見が出ても不思議ではありません。協議に基づく今後の準備活動の
スムーズな展開を期待する見地から、「強い違和感」があることを
表明しておく次第です。

4)単位バンクについて

第7回教学準備委員会でのこの件に関する報告と質疑では、単位バ
ンク制度そのものに関する質問が多数でました。結果として今後詳
細な検討がなされなければならない問題が多面的に存在することが
判明したと言ってよいかと思います。継続して審議するとされたの
は適切であったと考えます。

ただし、設置申請に当たっては、単位バンクの基本枠組みに関して
だけでも現大学との間で協議をさらに行うべきです。

ここで改めて強調しておきたいのは、新大学の教育課程の編成、単
位認定等々の事項は教員組織の責任と権限に属する問題であり、単
位バンクシステムにまつわる諸事項もその例外ではないということ
です。この点について自覚しつつ単位バンクの設計を進めるべきで
す。

5)学部の教育組織編成について

現段階では学部は基本的に1学科で、その下に系・コースを設置す
る構想になっていますが、学生の帰属意識、系統的な学習の保障、
入試などのことを考慮し、各学部に複数の学科・専攻を設置すべき
です。この点は第7回の委員会では論議になりませんでしたが、重
要な点であるので指摘しておきます。

以上


━ AcNet Letter 89 【2】━━━━━━━━━━ 2004.04.06 ━━━

北見工大、全教員任期制の北海道内私大への影響についての懸念

全国国公立大学の事件情報ウェブログ 2004年04月06日より
http://university.main.jp/blog/archives/000723.html
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「北見工大は、4月1日開催された「教育研究評議会」において任期制
の導入を正式決定した。この任期制は,新たに採用・昇任する教員
全員が適用されるという「極めて異例」な制度であり,私立では長
野大学が同じような制度を決めたが,国立大法人では他に例はない。
もちろん道内初でもある。

この任期制の詳細については,手元に資料がなく以下で掲載する新
聞報道によらねばならないが,その目的は「大学間の生き残り競争
が激化しており、より魅力ある大学に変ぼうするための足掛かり」,
「少子化などを背景に、大学が優れた研究成果を挙げ、生き残るた
めには不可欠」,「地方大学を存続させ、優秀な人材を確保する」
等々が唱われている。要するに,任期制導入は「学内の緊張感を高
め」一定期間内で必ず研究成果を出させることによって「魅力ある
大学」に変え,また「優秀な人材の確保」にもつながるとの判断の
ようだ。

この北見の全教員任期制は,大学教員任期制法との関係でいえば,
おそらく一般的・包括的な対象規程である「先端的・学際的研究な
ど多様な人材が特に必要な教育研究組織の教員とする場合」を適用
したのであろう(そうした適用について学内で問題にならなかった
のだろうか)。また新聞報道を見る限り,「教員評価の公平性をど
う保つかなど懸念の声」もあるようだから,評価方法に少なからず
課題を抱えているのかもしれない。いずれにしても,同大学は大々
的に銘打って全教員任期制を導入した。しかも,それは教授会の承
認の上で決定されたのである。

こうした北見工大のやり方は,様々波紋を投げかけた。全国的にも
そうであるが,少なくとも道内私立大学に勤務するわれわれ教職員
や組合にとっては,迷惑この上ない改革と受けとめざるを得ない。
 今,道内中小私大の多くは入学者の定員割れ(あるいはその寸前)
といった経営の岐路に立たされている。各大学とも定員の縮小をも
視野に入れた改革を余儀なくされつつある。その中で,教職員の雇
用の不安定化は着実に進んでおり,既に一部大学では整理解雇問題
も発生している。私学経営サイドは,これまでもそうであるが,学
部・学科改変を前提に雇用の柔軟性を確保するため一般非常勤とは
異なる有期「契約教員」,「契約特任制」等の導入を模索してきた。
こうした状況にあって,北見工大の全教員任期制は,今後の道内他
大学における有期雇用等類似制度の導入にきっかけを与え,また確
実にそれに拍車をかけたといわざるを得ない(何につけ国立右習え
思考の根強い北海道私大ではなおさらだ)。新聞報道によれば,北
見工大内部では「制度導入で教員が実際に職場を追われる可能性は
それほど高くはない」とか、常本秀幸学長自身も「運用上の懸念を
否定した」というが,もし当該教授会がこうした判断に基づいて導
入を決定したとするならば,それ自体他大学への影響を無視した全
く一人よがりの決定である(学内では,2004年以降の採用と昇任に
適用するのだから既存の教授はこの任期制とは無縁だと考えている
のかもしれない)。

過疎地域も含め広い北海道における均衡ある高等教育機会の保障と
魅力ある大学づくりは,いまや市場原理にもとづく個別大学間の競
争(それは中小私大の崩壊に導く競争)を促進することで達成され
るとは考えられない。北海道高等教育界が問題として抱える進学率
の長期低迷や大学生の大規模な道外流出,あるいは郡部大学の危機
をどうやって解決すべきか。少なくとも大学間の教育面での相互補
完や連携・共同を進め(ある場合には各大学間の学部定員調整への
模索も含めて),道内全体の大学教職員の血のにじむような努力の
下,多様な学生サービスと教育内容,および提供する教育水準を総
体として高め進学率を上げていく以外に活路はないと考える。そし
てそれは当然ながら各大学で働く教職員の身分や安定した雇用条件
の保障になしには,実現されないのである。その意味で,今回の北
見工大の全教員任期制導入は,今後の北海道高等教育の再生と教職
員の安定的雇用の確保において,マイナスの方向を決定づけたと評
価するものである。

これまで全国的にもそうであるが,こうした問題について全大教と
私大教連が本格的に共同して取り組むことなかったと言ってよい。
この点は運動する側の決定的な弱点でもあった。したがって,この
際「全大教北海道」と「北海道私大教連」は早急に協議し,取り組
みの強化を図るべきである。
(文責 ホームページ運営・管理者)」

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