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『神戸新聞』コラム正平調 2004年4月5日付 「これからは、いっそう学生に対するサービス向上が求められている」「研 究者は自ら研究資金を調達する力を」「国際的に存在の意味があり、競争力の ある大学をめざしていこう」。国立大学が国の直轄から離れ、今月一日から一 斉に法人化した。これは学長訓示の一部だが「学生」を「お客」に「大学」を 「企業」に変えれば、民間の社長訓示と間違いかねない。 法人化の狙いは教育や研究の質を高めるとともに、民間的発想を導入して経 営の効率化をはかることだという。国立大学も「競争の時代」にはいったとい うことらしい。 その象徴が、大学の経営課題を審議する経営協議会だ。半数以上が外部から 起用するように決められているが、多くの大学が経済人や地元知事、元文科省 官僚らを迎える。 なかでも、なぜかJRの幹部が目につく。東大には東日本社長、北大に同会 長、京大に元西日本会長、九大に九州社長といった具合だ。民営化の先輩たち の経験に期待するところが大きいということだろうか。神大には井戸敏三知事 や矢田立郎神戸市長が名を連ねる。 学内の代表者による教育研究評議会とともに法人化の両翼だが、いくら外部 から人材を入れても、大学人が変わらなければ変わらない、という声も聞く。 世界の大学と競い合う大学がある一方で、地域と連携するなど、その地方に根 ざした、開かれた大学も必要だ。個性化を競ってほしい。 社会・経済の激しい変化に国立大学はどう対応していくのか。法人化はその 試金石かもしれない。 |