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新首都圏ネットワーク


『紀伊民報』2004年4月4日付

和大法人化スタート
小田学長「変わらなければ」
経営協議に民間人起用

 和歌山大学は1日から国立大学法人として、民間人を含めた新体制でスター
トした。教授が地位を利用して学生に暴力をふるうアカデミック・ハラスメン
トや完全禁煙化への紆余(うよ)曲折など様々な問題が相次ぐ中、小田章学長
は「新体制で教職員の意識改革と大学自立を目指す。小さくても地域に愛され
る大学になりたい」と意気込みをみせた。

 法人化で、学長、元副学長ら4理事でつくる役員会、経営を話し合う経営協
議会、教育研究評議会の3組織が発足した。役員会には安達益三・元三菱自動
車バス社長が就任。経営協議会の18委員のうち半数の9委員は、大桑育嗣・オー
クワ社長や島正博・島精機社長ら学外から招いており、「外部からの資金導入
やコストダウンをにらんで、企業や民間の視点を盛り込んだ人選をした」と説
明している。

 小田学長は法人化に当たっての記者会見で、「大学人として『象牙の塔』に
こもらず、社会の一員として認知されるよう地域に関わっていきたい」と地域
貢献への決意を語った。学生への暴行で停職処分になったシステム工学部教授
(46)の事件について尋ねられると「起こさない仕組みを作る。今までわれわ
れは半ばぬるま湯に浸かっていたが、非公務員化されて身分の保障はない」と
教職員の意識改革の必要性を強調。2004年度中に能力制を導入したいとし
ている。

 組織改編のメリットとしては、「役員会が責任を追うシステムが確立したの
で、今までのように全てを教授会にかけなくてもいい」とトップダウン型の迅
速な改革のやりやすさを挙げた。学長主導で進めた学内完全禁煙が教授会の反
発で失敗したことで「教授からじっくりと意見を聞くべきところは聞く」とも
述べ、実際面での意見調整の難しさをうかがわせた。