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新首都圏ネットワーク

手から手へ2272号紹介


http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0402-2.pdf

3月31日 大学全構成員と社会に対して責任をもてる新大学準備の協議体制
の早急な確立を求める──3.29都立大総長声明を受けて──

2004.3.31 東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会 
(手から手へ第2272号)

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大学全構成員と社会に対して責任をもてる新大学準備の協議体制の早急な確立を求める
       ──3.29都立大総長声明を受けて──

           2004.3.31 東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 都立大学総長は3月30 日、都立大学全学教員に「2004 年3月29 日拡大教学準備委員
会とその評価について」を公表しました。そこでは3月23 日に総長の呼びかけで行われ
た四大学総長・学長と大学管理本部長・理事長予定者らによる懇談と、それを踏まえた
3月29 日の第7回教学準備委員会の結果概要が報告されるとともに、総長としてのその
評価が述べられました。それによれば、@二つの会合を通して、新大学開設について大
学の代表たる総長・学長、大学管理本部長、学長予定者、理事長予定者による十分な協
議を行いつつ準備をすすめることが確認された、A新大学は、大学院部局化の方向をと
り基礎研究も位置づけるなど、教育と研究の一体となった総合大学とする方向で議論が
行われた、B学部名称の変更についての論議が行われ、単位バンク等については継続し
て協議することとなったとされています。その上で、これらの結果について「総長とし
ては、そこに重要な前進があったと考える」とその評価を述べています。

 4大学代表者との協議を行うという今回の確認は、昨年8月1日以降これまで、大学
管理本部によって4大学との正式協議を一切行うことなく進められてきたこれまでの新
大学設立準備が、これをもって改まるのであれば、きわめて遅まきであるとはいえ、教
職員組合として歓迎すべきものといえます。同時に、ここに至るまで、「意思確認書」
の提出をめぐる様ざまな恫喝などにもかかわらず、ねばり強く「開かれた協議の実現」
のために努力を重ねてきた都立大学総長・評議会、4大学教員声明をはじめとする多く
の教職員の奮闘に敬意を表したいと思います。
 また、教育と研究の一体となった総合大学の方向性は、4大学の教育・研究の蓄積の
継承という点で重要なものであるといえます。単位バンクなど教育課程上重大な障害と
なる問題についての修正可能性も歓迎すべきものです。
 さらに今回の総長談話には触れられていませんが、人文学系国際文化コースで河合塾
案を撤回させ、人文科学分野での大学院設計において現研究科の意向をふまえた具体化
がこの間になされたことなども重要です。3月8日以降も折衝を重ねながらこうした前
進をつくるとともに、4大学との協議の実現に向けて働きかけてきた人文学部教授会の
努力にも敬意を表します。

 しかしこれらの結果は、今後に可能性を開く前進であるとはいえ、早急に具体的な姿
をとらない限り、確実な成果とはいえません。一例を挙げれば、教学準備委員会では異
論が続出して座長預かりとなった学部名称等については、議論を一定反映して、保健福
祉学部については健康福祉学部に、エクステンションセンターについてはオープンユニ
バーシティに変更になったものの、総合教養学部への変更を求める意見の強かった都市
教養学部については変更しないことになったと伝えられます。誰も説得的な説明ができ
ない学部名称がそのまま残されることは「協議に基づく設計」という当然の手続きが今
後堅持されるか不安を抱かせるものです。

 第一に、協議体制をどのように具体化するかが問題です。設置本申請まで実質的に残
された時間が4週間を切っている現在、これは早急に具体化される必要があります。こ
の点で重要なことは、あくまで協議は正規に教員組織を代表している4大学・学部・研
究科の代表者と設置者との間で行われなければならないことです。教学準備委員会の場
では、3月末をもって任期の満了する現委員に代わって、新大学学部長予定者等を加え
ることが示されたと伝えられます。しかしもし教学準備委員会ないしはそれに代わる組
織を協議の場にするのであれば、学内委員は「指名」による新学部長予定者ではなく、
短大を含め現大学・学部・研究科から選挙によって選ばれたもので構成されなければな
りません。
 さらに言えば、教職員組合は、新学部長予定者を学長予定者・管理本部が指名するこ
と自体に反対です。教授会構成員によって直接信任されていない者が教授会運営にあた
ることは考えられないことであり、当然選挙などの信任手続きがとられるべきです。

 第二に、単位バンクなど「目新しさ」のみを求め、教育上重大な障害となることが懸
念され、また教授会等の教学の権限を侵す内容について、協議を通じて早急に修正され
るべきです。本申請までの間に、これらの問題については十分な協議と必要な修正が行
われるべきです。また、文部科学省や大学設置・法人審議会には、その点で諸法規とそ
の趣旨にしたがった厳正な審査を求めます。

 第三に、大学院部局化にあたっては、現短大教員等を含む全ての教員が大学の意思決
定に参加できるように、十分配慮した仕組みとすることを求めます。

 第四に、教員以外の階層、とりわけ学生・院生の声を協議の中に反映できること、さ
らに都民らの声を可能な限り反映させることを求めます。これは、大学側代表が正規の
代表者であれば当然、学生、院生の自治組織との協議等を通して可能となるはずだし、
この間、2.28集会等を成功させてきた諸団体と教学準備委員会との協議も行うべき
です。

 第五に、「意思確認書」をめぐる問題です。教学準備委員会では人文学部・理学研究
科を含めこれまでに提出された総数が報告され、その提出時期による取り扱いの区別等
については何も言及されなかったと伝えられます。しかし一部の新聞報道では、未だに
提出時期によって何らかの差別的取り扱いをする可能性があるかのごとく伝えられてい
ます。大学管理本部は、提出時期や提出の有無によって差別的な取り扱いを行わないこ
とを明確に4大学教員に表明すべきです。また、提出の有無にかかわらず、新大学就任
意思をもつ教員を今後とも排除しないことを表明すべきです。

 教職員組合は以上を踏まえ、大学管理本部および4大学・学部・研究科執行部に対し
て、真に大学全構成員に責任をもった協議体制を早急に確立し、就任承諾書の送付以前
に、全ての教員が安心して就任の可否についての最終的判断を行える条件を、雇用・勤
務条件を含め整えるよう、強く求めます。そのために管理本部・学長予定者らには、4
大学との協議を早急に真摯に行うことを求めます。また4大学教授会・評議会は協議体
制の構築に早急に対応して、協議に加わる各代表者がその構成員の意思を十分に代表で
きるものとなることを求めます。