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新首都圏ネットワーク

『北國新聞』2004年3月31日付

時間外診療、軽症者は「ご遠慮を」 金大附属病院、あす法人化


 金大附属病院は四月一日の法人化に伴う勤務体制の変更で、軽症患者に対す
る時間外診療の大幅縮小を、県内の医師会や医療機関に通知した。医師や看護
師らの負担を軽減し、生命に危険が及ぶ重症患者の救命に全力を傾ける。軽症
患者には時間外診療を遠慮するよう呼び掛け、地域の中核的な病院として「か
かりつけ医」との役割分担を明確にしたい考えだ。

 国立大学法人の教職員は労働基準法の適用で時間外労働の規制が強化され、
附属病院の医師らの当直も減らさざるを得なくなった。これまで通りの時間外
診療体制をとるのは難しく、重症患者と医師の紹介状のある患者を優先して治
療に当たることを決めた。四月一日付で病院長に就任する小泉晶一教授は「柔
軟に対応したいが、ぜひ県民のご理解をいただきたい」と話している。

 金大附属病院の調べでは、同病院の時間外救急患者数は一日平均三十三人で、
このうち通院で済む一次救急は九割に及び、入院を要する二次救急は8%、生
命の危険がある三次救急はわずか2%だった。中には「風邪をひいた」「腰が
痛い」などの明らかに緊急を要しない患者や、昼間に病院に行けなかったサラ
リーマンが夜間に治療に訪れたりするため、近所の住民の間では「二十四時間
営業の小立野診療所」とやゆする声もある。

 一方、金大附属病院で時間外に待機する医師はたった一人で、あとは入院患
者約八百人をみる医師が各診療科に一人ずつ計二十人程度が配置されるだけ。
「一晩に何十人もの外来患者が来ると、三次救急に十分な力が回らない可能性
もある」(医学部教授)という。

 小泉教授は「時間外患者が多いのは地域の皆さんに信頼されている証拠と思
いたいが、高度先進医療を提供する特定機能病院の使命を達成するため、他の
病院や診療所と役割を分担したい」と話している。