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新首都圏ネットワーク


『読売新聞』2004年3月28日付

国の大学評価に「待った」、教授らが"別組織"旗揚げ


 4月から全国の大学に義務づけられる第三者評価の手法や基準に問題がある
として、学者ら約140人が新たに「大学評価学会」を設立、国主導の大学評
価システムに「待った」をかけることになった。

 28日に京都市で開く設立総会には、素粒子物理学者の益川敏英・京都産業
大理学部教授や海部宣男・国立天文台長も参加、学会の活動方針ともなる「も
う1つの大学評価宣言」を採択する。

 学会設立を呼びかけたのは、田中昌人・京都大名誉教授と池内了・名古屋大
大学院理学研究科教授、篠原三郎・元日本福祉大教授。

 呼びかけ文によると、現在、国が進めようとしている大学評価は、経済的視
点ばかりが強調されているという。こうした手法では、短期間に経済的な利益
を生み出しにくい基礎科学や人文科学といった分野が軽視され、最悪の場合は
切り捨てられかねない。

 呼びかけ人の1人、池内教授は「国の大学評価・学位授与機構が国公立大に
対する評価の試行結果を発表したが、分野や評価委員によって偏りが大きい」
と指摘する。

 同学会は大学に対する評価を「大学評価学」という学問として位置づけ、学
者や学生、市民の目線で研究。国主導の評価に対抗して、独自の評価手法や評
価基準を提案するほか、将来的には学会付属の大学評価機関を設立することも
検討している。

 ◆大学の第三者評価=文部科学相の認証を受けた「第三者評価機関」(認証
評価機関)が7年以内に1回、国公私立すべての大学の教育研究活動を評価す
る制度。第三者の立場から客観的、継続的に評価して大学の質を保証するのが
目的。