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BNN 2004年3月24日付 国立大法人化 北海道大学教官の「憂鬱」 第2回 文: 浅野 北大教官が明かす、法人化後の懸念問題。 来年度から、文部科学省が「100年に1度の大改革」とうたう国立大学法人化 が、全国の国立大で開始される。 法人化を4月に控えた北海道大学。匿名を条件に法人化移行後、予想される問 題点を北大の5人の教官に聞いた。 ――現在、各国立大の法人化はどのような状況にあるのか。 A 当初、国立大学法人法案を整備する段階では、あくまでも独立行政法人 ではない別の制度であって、大学にふさわしい設計をしているとの答弁が繰り 返されてきた。しかし、法施行後、財務省は国から交付される運営費交付金を、 ほかの独立行政法人と同様に効率化係数で判定し、必要に応じて削減していこ うと決めている。 また、法人化に向け、大学は中期目標を策定しているが、その中で最も重視 されるのが数値目標だ。ここには人件費をいかに効率的に管理するかなどを盛 り込まなくてはならない。こうした数値目標が重要だということは、国立大を 評価する第3者評価委員会ではごくあたりまえに語られてきた。 法施行前は大学に配慮すると言っておきながら、現段階では行政改革と同じ 発想で大学改革が行われている。4月に法人化がスタートすれば、より一層そう した発想は強まる。 政府の規制改革会議では、昨年10月ごろから、国立大法人化の次ぎのステッ プとして、国立大の民営化案が出ている。法人化の中期目標期間は6年間となっ ているため、政府はそれまでに民営化移行のスケジュールを決め、民営化が必 要な大学は順次移行させる体制準備を進めている。 つまり国立大は、4月から国立大学法人になり、6年後には民営化を迫られる 過渡期にあるわけだ。 ――北大は法人化に対し、どのような準備を進めているのか。 B 昨年10月に国立大学法人法が施行されたため、準備期間はほとんどなかっ たというのが実態だ。どの国立大も同じだと思うが、北大では中期目標をつく り、新しい体系の下でどのように法人化の体制を維持していけばよいかを検討 した。 それでも時間的な余裕がなかったことは大きな問題だ。数ヵ月間、全部駆け 込みで準備してきたものを、4月に開始しなくてはならない。スタートしてから さまざまな矛盾点が出てくると思う。 ――教官の身分も変わると聞いているがノ。 B 法人化すると、我々は国家公務員から、大学という一法人の社員に転じ る。そのため、賃金や労働条件など、さまざまな条件を整理するための規程を つくる必要があった。 A 同時に、法人化でさまざまなリスクが生じるのも事実。例えば、病院で 医療事故を起こした場合、これまでは国家が賠償していたが、法人移行後は各 国立大がリスクを負うことになる。そうなれば、保険をどうするのかなど、予 測されるリスクに対し、ありとあらゆる策を講じておかなくてはならない。 以下、次回に続く。 |