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時間外・休日労働労使協定案:秋田大学

 どこも同じでしょうが、労使協定の締結が行われようとしているところかと思います。
秋田大学教職員組合で出したニュースを紹介します。時間外労働の具体的事由のところに
教育や研究・医療をいれていいのか、まだ悩んでいます。
 
 
 3月18日、過半数代表候補者に、「給与控除に関する労使協定書(案)」「1年単位
の変形労働時間制に関する労使協定書(案):保戸野事業場のみ」「一斉休憩の適用除外
に関する労使協定書(案)」「時間外労働及び休日労働に関する労使協定書(案)」「給
与の口座振込に関する労使協定書(案)」が交付されました。これらに加えて、1ヶ月単
位の変形労働時間制(主に附属病院に適用)が早々に提案されるようです。教育系職員に
ついての裁量労働制については、4月以降、より検討を深めた上で導入したいとのことで、
当面は、一般の労働時間制でスタートするようです。
 以下には、1年単位の変形労働時間制と、時間外労働・休日労働に関して、人事課案と
組合からの案とを掲載します。有効期間は、1年単位の変形労働時間制が1年であるのに
対し、他は、時間外労働・休日労働と同じように、自動更新制になっています。自動更新
制は、いちいち締結する必要がなく、過半数代表者を選ぶ必要もなくなるのですから、き
わめて簡易な方法といえます。しかし、自動更新となると、不利益条項がいつまでも残る
ことになりかねません。時短なども世の中の趨勢なのですから、毎年改善を続けていくべ
きでしょう。また、自動更新の場合、最初に署名した職員代表が退職していない場合が生
じてきます。その時に誰が改正を発議できるのか、問題が残ってしまいます。それ故、期
限を明確に定め、そこで失効することとし、改めて協定を結ぶ形にすべきだと考えます。
 ぜひ、組合と、各過半数代表候補者の方にみなさんのご意見をお寄せ下さい。

時間外労働及び休日労働に関する労使協定書(案)
<人事課案>
前文略
 (時間外労働又は休日労働を必要とする場合)
第1条 学長は、次の各号のいずれかに該当するときは、国立大学法人秋田大学の職員の
 勤務時間等に関する規程第16条第1項並びに国立大学法人秋田大学非常勤職員就業規 
則第39条第1項の規定に基づき、公民権の行使に支障がない場合に限り、職員に時間 外
労働又は休日労働を命ずることができる。
 なお、教育系職員については、第3号から第5号までの業務について、時間外労働又 
は休日労働を命ずることができない。
 一 大学入試センター試験、入学試験及び入学試験の問題作成・採点のため、法定外労
  働時間内の勤務では処理が困難なとき
二 学位論文審査のため、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
 三 秋田大学の規則その他法令等により定められた期限までに業務を実施するため、法
  定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
四 年度始め、年度終わり等季節的に業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が
  困難なとき
五 臨時の業務を行うため、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
 六 その他本学の業務運営上、特に時間外労働又は休日労働を必要とするとき
 (時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数)
第2条 時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数は、次の各号に掲げ
 るとおりとする。
一 入学試験及び学位審査に関する業務    人
 二 部局運営に関する業務          人
 (時間外労働時間数)
第3条 時間外労働の限度は、次の各号に掲げるとおりとする。
 一 1日                 6時間
二 1箇月(月の初日から末日まで)   45時間
 三 1年(4月から翌年の3月まで)  360時間
2 前項の規定にかかわらず、臨時の業務が集中するなどの理由により本学の運営に支障
 をきたすときは、学長と職員の代表者との協議を経て、次の各号に掲げるとおり時間外
 労働の限度を延長することができる。
 一 1日   8時間
 二 1箇月 81時間
 (休日労働日数等)
第4条 休日労働は、1箇月2日以内とし、1日の労働時間は、12時間以内とする。
 (育児又は介護等を行う職員の時間外労働の制限)
第5条 職員が学長に対し勤務時間規程第16条第3項並びに非常勤職員就業規則第39条 
第1項の規定により、第3条に規定する時間外労働の限度より短くすることを申し出た 
ときは、1箇月24時間、1年150時間を限度とする。
 (有効期間)
第6条 本協定の有効期間は、平成16年4月1日から平成17年3月31日までとする。ただし、
有効期間満了の3箇月前までに、学長又は職員の代表者から別段の申出がない限り1年間
有効期間を延長し、以降も同様とする。

<組合案>
 (定義)
第1条 この協定において、「時間外労働」及び「休日労働」とは、次に掲げる労働をい
 う。
 一 時間外労働とは、法定労働時間を超えて行う労働をいう。
二 休日労働とは、週休日(毎週1日又は4週4日)に行う労働をいう。

 (縮減努力義務)
第2条 大学は、臨時又は緊急の必要がある場合にのみ、時間外労働及び休日労働を命じ
 ることができる。
2 大学は、時間外労働及び休日労働の縮減に努める。

*基本的に、時間外労働・休日労働は望ましくないことを明確にすべきです。もし、恒常
的に行われるのであれば、職員増で対応されるべきです。

 (時間外労働又は休日労働を必要とする場合)
第3条 大学は、次のいずれかに該当するときは、国立大学法人秋田大学の職員の勤務時
 間等に関する規程第16条第1項並びに国立大学法人秋田大学非常勤職員就業規則第39 
条第1項の規定に基づき、公民権の行使に支障がない場合に限り、時間外労働又は休日 
労働を命ずることができる。
 なお、教育系職員については、第3号から第5号までの業務について、時間外労働又 
は休日労働を命ずることができない。
 一 入試に関わる業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
 二 教育指導、学生支援に関わる業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難
  なとき
 三 研究に関わる業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
 四 医療に関わる業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
 五 秋田大学の規則その他法令や、契約等により定められた業務について、法定時間内
  の勤務では処理が困難なとき
六 災害又災害発生のおそれがある時など、臨時に作業を行う必要があるとき
七 年度始め、年度終わり等季節的に業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が
  困難なとき
八 各種行事又は会議に関わる業務で、臨時的に法定労働時間外の勤務が必要なとき
八 その他前各号に準じるもので、本学の業務運営上特に時間外労働又は休日労働を必
  要とするとき

*教育や研究、医療という本来業務の繁忙や行事・会議を理由とする場合が多くあること
から、規定に加えた方がよいのではないか。

 (時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数)
第4条 時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数は、次の各号に掲げ
 るとおりとする。
通常の労働時間の労働者 職種 職員数
 1月単位の変形労働
     時間制の労働者
1年単位の変形労働
     時間制の労働者

*時間の上限などが労働時間の形態によって異なるのであるから、3種類に分けて掲載し
ておいた方がよい。

 (時間外労働時間数)
第5条 時間外労働の限度及び休日労働日数の限度は次のとおりとする。
通常の労働時間制の労働者
  1日 4時間  1箇月 45時間  1年360時間
 1年単位の変形労働時間制の労働者
  1日 4時間  1箇月 42時間  1年320時間

*6時間が必要な場合は、病院の夜間で交替要員が臨時にいなかった場合であるとすれば、
病院以外の部分は、どんなに多くても4時間程度に抑えられるべきである。通常、朝8時
30分から夜中の12時まで働くなどということはあってはならない。1箇月、1年の上
限は、法定基準を掲げているが、もっと引き下げたいところである。
人事課案では「特別条項付き協定」として、1日8時間、1箇月81時間が掲げられて
いるが、いくら臨時的とはいえ、これだけの過重負担は認められない。通常規定でうまく
いかないことが明らかになった時点で検討されるべきである。

 (休日労働数等)
第6条 休日労働は、1箇月2日以内とし、1日の労働時間は12時間以内とする。

 (育児又は介護等を行う職員の時間外労働の制限)
第7条 職員が学長に対し勤務時間規程第16条第3項並びに非常勤職員就業規則第39条 
第1項の規定により、第3条に規定する時間外労働の限度より短くすることを申し出た 
ときは、1箇月24時間、1年150時間を限度とする。

 (通知)
第8条 大学が、第3条により時間外労働又は休日労働をさせようとするときは、あらか
 じめ本人に通知するものとする。
2 前項の通知は、原則として時間外労働については4時間前、休日労働については前日
 の正午までにこれを行う。
3 職員が時間外労働及び休日労働に従事できない正当な理由があり、その旨を告知した
 場合には、大学は当該職員と誠実に協議する。

*直前になって命令すべきではありません。職員の側もいろいろな予定・都合があるのは
当然です。一定の場合には、拒絶することも認められるべきです。

 (健康等配慮義務)
第9条 大学は、職場内、職場外における職員の勤務実態を適正に把握するよう努める。
 ただし、裁量労働制及びフレックスタイム制の適用を受ける職員については、別途の措
 置を講じる。
2 大学は、時間外労働及び休日労働の実施に際して、職員の健康及び私生活を十分に配
 慮する。

*これまでは職場内でも超過勤務が適正に処理されず、サービス残業になっていました。
また、家庭への持ち帰り仕事や、職場外での生徒引率・指導なども多くが業務外とされ、
手当の対象外になっていました。これらを適正に管理し、サービス残業を一掃すべきです。
 ただ、特に教授、助教授、講師の部分については、職務の性質上、自由度を高くしてお
くべきだと考えます。

 (有効期間)
第10条 本協定の有効期間は、2004年4月1日から2005年3月31日までとする。

*有効期間は1年間とすべきである。自動更新は監督署も望ましくないとしており、今後
時短を進めていく観点から、1年ごとに見直すべきである。
 また、政府の公文書ではないので、元号にする必要はない。外国人職員の存在や、元号
はいつ変わるかわからないことなどから、西暦の方が望ましい。


1年単位の変形労働時間制に関する労使協定書(案)
<人事課案>
前文略
 (対象期間)
第1条 平成16年4月1日から平成17年3月31日までの1年間とする。
 (勤務時間等)
第2条 前条の期間中における勤務時間等は、別紙年間カレンダーのとおりとし、1年を
 平均して週40時間を超えないものとする。
 (適用対象者)
第3条 本協定による変形労働時間制は、教育系職員のみ適用する。
 (特定期間)
第4条 特定期間は定めないものとする。
 (協議)
第5条 育児を行う者、老人等の介護を行う者、研修を受ける者その他特別の配慮を要す
 る者に対する本協定の適用にあたっては、学長は職員代表と協議するものとする。
以降略

<組合案>
前文略
 (対象期間)
第1条 2004年4月1日から2005年3月31日までの1年間とする。
 (勤務時間等)
第2条 前条の期間中における勤務時間等は、別紙カレンダーのとおりとし、1年を平均
 して週40時間を超えないものとする。
2 期間中における1日の労働時間の限度は10時間、1週間の労働時間の限度は52時間 
である。労働時間が48時間を超える週を連続させることができるのは3週以下でなけ 
ればならない。対象期間を3箇月ごとに区分した各期間において、労働時間が48時間 
を超える週は、週の初日で数えて3回以下でなければならない。対象期間における連続 
して労働させる日数の限度は6日である。

*第2項は、労基法上の基準である。別紙カレンダーが適正に作られていれば書き込む必
要はないが、確認の上からも書いておく必要がある。
 なお、附属小学校と附属幼稚園のカレンダーについては、第2項に抵触する部分がある
ので改訂しなければならない。

 (適用対象者)
第3条 本協定による変形労働時間制は、教育系職員のみ適用する。
 (特定期間)
第4条 特定期間は定めないものとする。
 (協議)
第5条 育児を行う者、老人等の介護を行う者、研修を受ける者その他特別の配慮を要す
 る者に対する本協定の適用にあたっては、学長は職員代表と協議するものとする。
以降略



時間外労働・休日労働に関する要望書案
 時間外労働及び休日労働については、特に附属学校園と附属病院の状況について善処を
求めます。
 附属学校園では、職場における長時間勤務が日常化し、処理できない業務を家庭に持ち
込まざるを得なくなっています。土日にも処理できなかった業務を行ったり、部活の指導
などに追われ、ほとんど休日も取れない状況になっています。
 附属病院では業務の量に職員数がみあっておらず、時間外労働、休日労働が日常化して
います。夜間勤務が必要である上に、患者の生命を預かる職場として、常時緊張と重い責
任を強いられています。病気になっても代替要員が確保されず、休めない状況になってい
ます。
 これまでサービス残業が強いられ、経済的に報われず、職員の心身の健康と家族・家庭
生活の犠牲の上に、附属学校園や附属病院の運営は支えられてきました。法人化後は、こ
れまでの問題が解消され、適正な労働時間管理が行われるよう、強く要望いたします。
                           
         

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佐藤修司(Shuji SATO)
秋田大学教育文化学部
010-8502
秋田市手形学園町1-1
ssato@ipc.akita-u.ac.jp
TEL/FAX 018-889-2541
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