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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』北海道版 2004年3月17日付

[ミューズに抱かれて]道教大札幌校音楽コース、岩見沢へ

 ◇OB、学生が"待った"――「7200人の署名」「学長へ意見書」
 ◇大学側「少子化の中で検討」

 北海道教育大札幌校の音楽コースを岩見沢校に集約することは「札幌の音楽
文化や教育の担い手を失いかねない」と、OBや学生が相次いで反対運動を始
めた。すでに7200人分の署名を集めたほか、村山紀昭学長への意見書を提
出した。同大は「少子化で学生数の減少が見込まれる中、慎重に検討してきた」
と予定通り計画を実施する考えを示しており、双方の溝は埋まりそうもない。
【筑井直樹】

 同大は昨年9月、今年4月の独立行政法人化に向けた学内体制の再編案を発
表。「各校ごとの特色を出し機能を分担させる」(村山学長)として、現在札
幌、旭川、函館の3校にある音楽、美術、体育系の各コースを、数年以内に岩
見沢校に集約する方針を示した。このことを新聞報道で知ったOBらが危機感
を募らせ、昨年11月末「札幌校の音楽コース存続を願う会」を結成し、署名
活動や街頭アピールを始めた。

 代表の小関靖晃さん(71)によると、札幌校音楽コースは、市民会館や札
幌交響楽団、パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)ととも
に、札幌の音楽文化の一翼を担う存在として半世紀の歴史を刻んできた。

 小関さんは「計画は市民にも詳しく知らされていない。再編を大義名分に岩
見沢に移すことは、文化の支えの一部を失うことに等しい」と訴える。願う会
は今後も署名活動を継続するとともに、市議会への陳情などを検討している。

 今年2月には、こうしたOBの活動に触発された学生有志が「札幌校に音楽
科を存続させる会」を結成、学生35人連名の意見書提出に続き、札幌校の三
上勝夫分校主事との話し合いを申し入れている。

 音楽を志す学生にとって、外部の音楽団体との交流がよりよい音楽表現を生
む。札幌から離れることによってその機会が減ったり、負担が大きくなる。同
大大学院生で存続させる会代表の板倉雄司さん(24)は「移転後は札響楽団
員からの指導を受けることが難しくなるなど、研究や教育環境が悪化するのは
明白」。

 ◇佐々木茂副学長の話 岩見沢校への集約は、現在の学生がそのまま移転す
るわけではなく、誤解もあるようだ。分校主事を通じて説明し、理解を求めて
ゆきたい。