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新首都圏ネットワーク

定員外職員(日々雇用職員と時間雇用職員)の身分は国家公務員か?


1、定員外職員は国家公務員か?
2、定員外職員は公務員(労働基準法が適用されない)
3、定員外職員は国家公務員


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1、定員外職員は国家公務員か?
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各位     3/15/04

   山形大学職員組合書記長 S

私自身、山形大学における山形地区事業場過半数代表としての立場から、これまでのいわ
ゆる定員外職員の4月1日以後の扱いについて勉強中しているところです。その中で、疑
問点が生じ、本学人事課職員に照会しましたが、要を得ません。どなたかご存じでしたら
、お教えください。

といいますのは、現在の、いわゆる定員外職員(日々雇用職員と時間雇用職員)の身分は
、国家公務員なのでしょうか、それとも非公務員なのでしょうか?

こうした職員(特に時間雇用職員)は、雇用保険や健康保険に加入していますし、どうも
国家公務員ではないとする見方が有力なのですが、もし国家公務員でないとした場合、適
用される労働法規は、原則、労働基準法とかんがえていいものでしょうか?

このことは、そういった職員の今後の継続雇用に関連して重大な意味を持ちます。

つまり、これまで、3月30日までの契約を複数回(すくなくとも3回)繰り返してきた
定員外職員の場合、非公務員であって労基法が原則適用で有れば、これは、3月30日で
一旦切れていたとしても、事実上、契約が繰り返されていますから、期限のない労働契約
であったと考えられます。したがって、そうした職員を、4月1日以後、有期の雇用契約
に切り替えるのは、労働条件の一方的不利益変更となり労基法上認められないと考えられ
ますが、いかがでしょうか。

労基署は、国家公務員から非公務員である法人職員となる場合は、制度の変更になるから
、それまでの国家公務員としての労働条件や実績が、法人職員としての労働条件に、無条
件で引き継がれるわけではないと考えているようです。


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2、定員外職員は公務員(労働基準法が適用されない)
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高等教育フォーラム各位

 品川さんがおたずねの件ですが、現時点での非常勤職員は国家公務員
法にもとづく任用と理解しています。だとすると労働基準法が適用されて
いないということになります。

 これまで非常勤職員の雇い止めについて争った裁判は、残念ながらお
おむね雇い止め有効という結果です。確か山形大学でも1980年前後にか
なり大規模な闘争をやったはずで、パンフレットが東北大学職組に残って
います。

 なぜ雇い止めされてしまうかというと、ご存じと思いますが、労基法が適
用されていないと、反復更新した有期雇用労働者の雇い止めに関して、
解雇権濫用法理が適用されないからです。つまり、何度も再任用した非
常勤であっても、雇い止めが解雇に匹敵するものとはみなされないという
ことです。

 とはいえ、東北大職組が調べてみたところ、国家公務員の非常勤を雇
い止めすることについて、解雇権濫用法理を類推適用した判例が一つだ
け発見されました。岡山中央郵便局事件で、2002年秋日に岡山地裁の
判決が出ています。結論としては雇い止めは有効とされてしまったのですが、
解雇権濫用法理の類推適用を認めたという点で意味を持っています。
 この裁判に関し「池田さん裁判を支える会」というところのサイトが以前は
あって判決文も読めたのですが、なくなってしまったようです。以下のペー
ジなどで少し様子がわかります。
http://www.interq.or.jp/red/rodo/bulletin/bn/0209/okayama.html

 東北大職組がこの判決文を人事課長交渉で引用した様子は以下にあります。
http://ha5.seikyou.ne.jp/home/touhokudai-syokuso/docs03/jjk030515.html


東北大学 K


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3、定員外職員は国家公務員
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定員外職員の身分等取扱いについては、1991年発行の全大教「要求活動の手引き」に記されていますので参考にされてはどうで
しょうか? 定員外職員の雇用根拠は、国公法附則第13条に基づいています。したがって、その意味では国家公務員ということにな
ります。ただ、その処遇規定は根拠が国公法の附則規定であることもあってか非常にあいまいなもののままに推移してきたのも確かで
す。賃金や休暇等について人事院規則で規定されているにもかかわらず、品川先生指摘のように雇用保険や健康保険加入の対象です
し、日々雇用職員の場合厚生年金の加入対象でもあります。大学高専の定員外職員の場合、歴史的経過があってその前身である常勤的
非常勤職員問題が昭和36年時点で終息したものとされたため、特にその法的根拠や処遇を巡って昭和40年代以降解釈が種々揺れ動
いてきました。一時大学によっては労働基準法適用職員であると説明されていたところもあります。それが大阪大学蛋白研裁判や室蘭
工大裁判などを通じて採用根拠が国公法附則第13条にあることが明らかにされ、休暇等の労働条件についても労働基準法以下であっ
たものが、労働基準法に準じて改善される措置なども講じられてきました。雇用や身分問題については、何年かは忘れましたが、昭和
40年代後半の国会で定員外職員問題が取り上げられた際の政府答弁で、常時勤務を要しない職員とは常勤職員の4分の3未満の勤務
時間の者をいうこと、および3回以上雇用更新された職員には期待権が発生し期限の定めのない雇用になるという趣旨の政府答弁がな
されたことによって解釈が定着しました。この答弁は、当時民間でも同様の問題が頻発し、それに関連した裁判の判決で先の趣旨の判
決が出されたため、政府としてそれを追認したことによると記憶しています。私の記憶も年とともに曖昧になっていくものですから、
絶対とは言い切れませんが、確かそういう経過であったと思います。したがって、雇用期間を3回以上更新している定員外職員は期限
の定めのない職員ということになります。こういう経過があるから、これまでも期限付き雇用は、更新2回の範囲に留める3年雇用と
され、大学当局もそのことにこだわってきたものと思います。以上です。

室蘭工業大学工学部 K