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新首都圏ネットワーク


asahi.com 2004年3月13日付

法人化の国立大、メーンバンク固まる 三井住友銀が強み


 国立大学の4月の法人化を前に、全国87校で民間取引銀行がほぼ固まった。
これまでは国庫金として日本銀行が各校の口座を管理してきたが、4月からは
民間銀行が出納を担当する。4大銀行別に取引大学数(重複あり)をみると、
12日現在で三井住友33、みずほ30、UFJ23、東京三菱22となって
いる。銀行側が新たな得意先として争奪戦を繰り広げたのに対し、大学側は課
題となる経営効率化へのパートナーとして選んだといえる。

 各大学は入札や選考会などを実施し、取引銀行を選んだ。東大と京大は一行
単独で三井住友銀行をメーンバンク(主取引銀行)に決めた。一方で、一橋大
や神戸大のように、学生の利便性などを考えて複数の銀行と取引するところも
ある。

 北大は地元の地方銀行である北洋銀行がメーン。東北大も地元の七十七銀行
がメーンだが、みずほ銀行とも取引する。これに対し、九州大は地元の3行な
どを取引に加えたものの、「ほとんどの業務は三井住友銀行」としている。

 銀行選びの基準は大学により違うが、地元での店舗網の充実に加え、財務内
容の健全性も重視された。来春には銀行破綻(はたん)時の預金保護額を原則
1000万円までとするペイオフが完全解禁されることもある。

 栃木県の宇都宮大は、破綻した地元の足利銀行をメーンに選んだ。「現在は
国有化されているため経営に不安はない。数年後に譲渡先が決まればその時に
再検討する」としている。

 銀行側はメーン争奪戦を制しようと、振込手数料を優遇したり、大学構内の
店舗外ATM(現金自動出入機)の増設に動いたり、採算度外視で大学の要望
に応じたところもあった。

 国立大全体の年間の予算規模は総額2兆8000億円。収益力向上を急ぐ銀
行にとっては新たな巨大市場といえる。各行とも経営への助言や「大学発ベン
チャー」の育成などに力を入れ、ビジネス拡大の好機をうかがっている。

    ◇

■主な国立大とその取引銀行

大学      取引銀行

北海道  <北洋>
東北   <七十七> みずほ
筑波   <東京三菱> <常陽>
宇都宮  <足利> みずほ 栃木
埼玉   <三井住友> 埼玉りそな
東京   <三井住友>
一橋   <三井住友> UFJ みずほ 東京三菱
東京工業 <三井住友>
お茶の水女子 <東京三菱> 三井住友
名古屋  <UFJ> 三井住友
京都   <三井住友>
大阪   <UFJ> <三井住友>
神戸   三井住友 東京三菱 UFJ みずほ みなと
九州   三井住友 東京三菱 福岡 福岡シティ 西日本

12日現在の朝日新聞社調べ。銀行は<>がメーン